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それぞれの夜を想う:横浜編

2023年11月9日(木) 天気:晴れ

横浜と聞いて僕が思い浮かべるのは、①地上70階建のランドマークタワー、②optionキー(⌥)のような形で順々に低くなる3棟のビル(クイーンズタワーというらしい)、③デジタル時計を中心に、文字通り七色に輝く巨大観覧車の夜景である。その景色は"綺麗な街"そのもの。ホリデーシーズンは赤レンガ倉庫にスケートリンクや豪華なクリスマスツリー、ドイツマーケットが設置・開催され、寒さを口実に身体を寄せ合う(そんなことはないかもしれない)"ふたり組"で賑わう。

そんな街、横浜には小学3年生の冬に訪れたことがある。DEPAPEPEというギターユニットのライブがあり、母親に連れられてやってきた。予想していた以上にライブを楽しむことができ、記念に(ギターは弾けないが)ピックを買ってもらい、チェキも撮らせてもらった。あの可愛い子たち(ピックは2つセットだったと記憶している)はどこへ行っただろうか。大切に保管しすぎて失くしてしまった物のひとつかもしれない。

その帰り道、綺麗な空に満月が浮かんでいた。後部座席に座る僕の左斜め前、静かに浮かんでいた。しばらく建物に隠れて、一瞬、隙間から姿を現したときの堂々とした姿、控えめな威厳をもって佇む光に魅力を感じた。
ところが、どれだけ移動しても月の位置は変わらない。時速60kmで軽快に走っているときも、渋滞でジリジリ進んでいるときも、信号待ちの間も、その様子は変わる素ぶりを見せない。とても不思議だった。追いかけても追いかけても逃げていく月。

次の誕生日かクリスマスかに、なんちゃって天体望遠鏡を与えてもらい、家の屋上に何度もあがった。アホ代表(まさに"yellow monkey")が天体、宇宙、科学に惹かれ、多少お勉強をするようになったのは、あの月のお陰だと、半分本気で思うときがある。ひょっとすると、『山月記』にあれほど心を奪われ、『流浪の月』で涙を我慢できなかったのも、あの白い光のせいかもしれない。
月に感謝すべきか、それを照らす太陽に感謝すべきか。

"バラ色の"と言えるか分からないけれど、横浜で過ごしたあの日はきっと僕にとって大切な一日なんだと思う。

ちなみに、DEPAPEPEの楽曲で好きなのは『半月』。絢香の『三日月』も最高に好きだ。


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