コンビニエンスストアのお土産

2023年11月27日(月) 天気:晴れ

バーや喫茶店にはそれぞれ違ったものがたりを抱えた人々が集い、そこでは様々な物語が語られる。
コンビニエンスストアはどうだろうか。

23時を少しまわった頃、アルバイトを終えて先輩とセブンイレブンへ寄った。
先輩は、コンソメWパンチ味のカップ麺、チョコラBBドリンク、1日分の1/2の野菜が摂れるスムージーという『深夜のコンビニだけど、あくまで健康を無視してはいませんよ』みたいな凸凹トリオを購入する。
「何かいるかい?」
「いえ、今日は家にご飯あるので。ありがとうございます。コンソメWパンチの感想だけ教えてください。」
後日聞いたところによると50点(めっちゃコンソメパンチやけど中に入ってた謎の液体がめっちゃしょっぱい)らしいので、僕は大人しく罪悪感や背徳感に浸り、ポテチを頬張ろうと思う。
大柄な僕ら二人は身体を縮こませながら車に乗ったが、隣の駐車スペースには、エンジンを切ったままスマホを眺める男性が乗っていた。
寒い日の深夜0ゼロ時のコンビニの、明るさ届かぬ、駐車場の端。

「家に居場所がないんかな。」
スーツなのできっと仕事終わり。一刻でも早く、温かいお風呂とご飯に辿り着きたいところだろうに。朝の出勤前に喧嘩して、奥さんが寝室で眠るまで時間を潰すつもりなのかな。
いつもより少し早く目覚めたので、洗濯機を回したら、色物と白いものを一緒に洗ってしまい、白いタオルを淡い藍色に染めてしまったのかな。慣れない手付きではあるが、日頃の感謝の気持ちを込めて、とったその行動が「余計なことをしてくれるな」の一言で潰されてしまったのかな。
ミスを指摘されるのは仕方ない。普段から家事を任せきりである自分の責任だ。しかし、たまには頼ってほしい、楽をしてもらいたいという気持ちまで否定されるのは心外である。さらに言えば、「だからあなたって人は」などと私の人間性や人格まで否定されるような言い方をされると、普段は温厚な私が弁当を持たずに無言で出勤してきてしまう境遇も誰かが理解してくれるのではないか。いや、むしろ感情的になり、逃げるように出てきてしまったことを反省するのが先か。
…などと回想と後悔を繰り返しているのかな。
まあ、ダッシュボードに足を投げ出していたし、そんなに真剣に何かを考えている様子ではなかったけれど。

またひとつ、おかしな物語を持ち帰ってきてしまったようだ。
明日にでも置いてこようか。あのコンビニの、あの空間スペースに。


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