見出し画像

猫と粉薬

まずはうちの猫の紹介から始めましょう。
5月に16歳を迎えた後期高齢アビシニアンのオス。
ファラオの名を戴く「ラムセス」が今回のお話の中心になります。
ラムセスはルディ(赤みがかった茶)の被毛にオレンジの瞳、口の周りが白く小豆のような肉球をしています。
性格は人見知りもなく来客でも基本フレンドリー、ご飯の催促でベルを鳴らす芸達者な一面もあります。が、ここは関係ないですね。
そして何気にnoteには初登場です。(おっと、ここも無関係)

では、どうして投薬の話を?というと、実は先日、ラムセスの悪性リンパ腫罹患が発覚しました。毎週、抗がん剤治療を受け、日々、抗生剤の投薬が必要です。
猫も人間同様、抗がん剤で白血球数が減少したり体調変化が大きく出たりします。
それでも完治に向けた治療を半年ほど継続しなくてはなりません。

どこの猫もそうかもしれませんが、うちも例に漏れず薬が苦手です。
ラムセスはアビシニアンということもあり、運動能力が高く本気で抵抗されると私も無傷ではいられません・・・
ですので、基本、強制的に飲ませる以外のやり方で投薬を試みるんですが、それがどうしても難しい場合もあります。

今回がその難しい場合ですので、これまでに試した結果と合わせ、似たような状況で途方に暮れてる方の参考になれるよう、代表的な対応パターンを列挙する形で紹介してみます。

ある意味、「飲ませたい私」と「意地でも飲みたくないラムセス」との日々繰り返された攻防の記録といっても良いかもしれませんね。

無味無臭な場合

これが一番簡単です。
動物病院で錠剤を粉にしてもらい、普段与えているウェットフードに混ぜます。
ドライの場合は少しの缶詰やウェット系のおやつ(ちゅーるとか)混ぜれば完了。
何の疑いもなく投薬完了です。
過去の統計では猫の85%くらいは普段からドライフードを食べているそうなので、ウェットフードはちょっとしたご馳走かもしれません。
人と猫、Win-Winですね。

臭いはあるが苦くない

苦くないのでこれも比較的対処し易いタイプです。
が、当然、薬ですので強烈な悪臭を放つケースは無い前提です。
要は臭いが誤魔化せれば良いので、もっと魅惑的な匂いを加えると大丈夫な場合が多いです。
猫にとって魅惑的な匂いとは、そう、マタタビですね。
粉末やボール状、木の枝などもありますが、フードに混ぜる前提ですので、粉末を購入しましょう。
ちなみに似たような商品で「キャットニップ」というものがあります。
全く同じものだと誤解されてる方も結構いますが別モノ。和名を「イヌハッカ」といい、またたびより嗜好効果弱目です。
しかし、薬の臭いを誤魔化せればいいので、猫的にOKならどちらでも構いません。

もちろん、マタタビに頼らず猫用ふりかけ(ドライささみや猫用カツオ節)でも食べてくれるなら大丈夫。
ラムセスはマタタビ一択なので、ある意味簡単ではあります。

苦いが無臭

これ、けっこう対応が難しいんですよね。
苦味が強過ぎなければ動物病院でシロップにしてもらい、ウェットフードに混ぜれば大丈夫なこともあります。
シロップにするのは甘みで誤魔化すのが目的ではありません。
薬をしっかり溶かして均一化し、フードに混ぜ込むことで口当たりを柔らげ、苦味を誤魔化して食べやすくすることです。
猫は甘みをほとんど感じないそうですので、甘いことがアドバンテージにはなりませんからね。
しかし、苦味が強過ぎる場合はこの手は使えません。

臭いも苦味もある、もしくはメチャクチャ苦い

やっと今回説明したかった部分に到達しました。
これまでの説明は、ある意味、食欲があることが大前提で猫の自主性に任せた投薬です。しかし、そういう状況ではない場合もあります。

シロップ化

まずは動物病院で錠剤を砕いて粉にし、さらにシロップを加えて液状にしてもらう方法です。
先ほどの対応方法とは違ってフードには混ぜず、スポイトで直接喉に流し込んで投薬します。
一瞬で終わるので手軽に見えますが、舌にシロップが付くと泡を吹きながら抵抗されることになります。ラムセスの場合は、さらに走り回ったりするので部屋中泡だらけで掃除が大変です。

ねり餌だんご化

意外と良いなと思うのがこれです。
「Mediball」という商品名でペットショップでも販売しているので、見たことのある方もいるかもしれません。錠剤をそのままMediballで包んでフードと一緒に食べさせてしまうことが出来ます。(商品は検索してね)
しかしラムセスは「丸呑みせず、よく噛んで食べる猫」なので、最後に薬だけが残ることになります。
お残し対策は頭を保定し口を強制的に開けさせ、喉に押し込むことしかありません。

それも、粒が1つだけなら対応可能ですが簡単ではないこともたまにあります。
出された薬が粉で量が多い場合は、特に問題です。
粉薬を包んだ団子を何粒も口に押し込まれるのは猫にとってストレスだし、あばれる猫の口に指を突っ込んでいては飼い主さんの指がズタズタになるのが目に見えてます。

最適解

粉がこぼれないように、ストレスをかけないように。
解決策を探ってましたが、やっと1つの解法に辿り着きました。
薬をオブラートに包んで丸めて、さらにMediballで包むことで口当たりを良くし、1回で済ませる。
これが現時点で我が家の最適解です。


お薬の時間です

それでは実際をご紹介しましょう。
手順をなるべく説明します。もし参考になれば。

はい。材料はこちら。

下の写真を見て頂きたいのですが、少し緑がかった粉薬がポイントです。
大好きなおやつに混ぜてもマタタビを加えても全くダメで、口に入れるととても変な顔をしたので、もしや?と思い、ほんの少しだけ舐めてみました。

いやー、これ、毎回ご飯に混ぜられたら餓死を選びたくなりそうなインパクトの不味さ、食欲不振に陥りそうなレベルで後味が苦く、それがしばらく続くなんて。
早々にフードに混ぜる作戦は無理と判断しました。

今回利用したオブラート(左)、Mediball(中)、粉薬(右)

そこで準備したのが、オブラート、Mediballです。
最初、Mediballだけで丸めてましたが、粉薬がはみ出さないように丸めると、大粒の団子が5個・・・うーん無理。

ですので、オブラートも併用することにしました。

粉薬を入れるのは意外と簡単

このオブラート、最初からロート状に加工されているので薬をまとめるのがとても簡単!
説明書きの厚紙がスタンドになっているので、そこに1枚セットして薬を投入するだけです。ただの丸いオブラートだろうと想像していたので目から鱗です。

ここで注意点があります。
オブラートは不要な部分をハサミでカットしましょう。
それと薬が出てこないように軽く水で接着するのですが、水を付け過ぎると穴が開いてしまうので、ほんのごく少量にしましょう。
感覚を掴むために、1枚試してみることをお勧めします。

なら、オブラートだけでいけるか?と思うところですが、たぶん無理です。
相当手際良く投薬出来れば違うかもしれませんが、唾液で溶けて薬が出てしまう可能性の方が高いと思います。

ですので、もう1手間かけることにしました。

これをMediballでコーティング

オブラートの薬包をさらにMediballで包みます。
こうすると唾液で溶けず、口当たりもささみ味の団子ですので、精神的負担も減ります。

ということで、ラムセスへの投薬は負担少なめで出来るようになり、めでたしめでたしとなりました。

とはいえ、投薬攻防が一時休戦になったわけではなく、保定され無理やり口を開かされることに抵抗するラムセスとの戦いは、あと半年続くのだった・・・

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?