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画家らしいことをしよう - キバタン - 制作過程を紹介してみる
たまには動物画家らしいことをしよう。とは言うものの、何をしようか?
作品紹介も必要かもしれないけれど、それは別な場所でも出来るからnoteならではの使い方が良いだろう。
文章多めで写真も貼れのだから・・・
そうだ。制作過程を紹介しよう。
ということで早速やってみましょう!制作過程紹介です。
・・・はて。どう進めようか。
制作過程を紹介するにしても、今日の進捗を上げていくだけなのは面白くありません。自分でオーダーした作品の進捗報告を日々見ているならいざしらず、遅々として進まない細密画の進捗ほど見ていて何の感慨も湧かないものは無いでしょう。
あたかも植物の水遣りと同様に微細な変化が毎日加わったとしても、前日との差が小さ過ぎて進捗として認識出来ないはずです。
だったら大きく変化するポイントだけに絞って、手順や作業意図を説明した方が読み手的には面白いに違いありません。
ということで。
ざっくり説明するとしましょう。
画材の紹介から
画材の主力は鉛筆・・・と言いたいところですが、実は紙です。
鉛筆画家の多くは表面が固くつるつるしたケント紙を常用してますが、私は水彩紙です。WATERFORDの細目を使ってます。
単に細かく描くだけならケント紙でいいのですが、水彩紙の方が表面の細かな凹凸による風合いと水彩の乗りの良さで仕上がりに高級感が出ると想っています。
加えて、パネルに水張りすると、水分を吸ったり乾いたりを繰り返す水彩表現であっても紙が波打たず綺麗な仕上がりになります。
正直、鉛筆は何で大丈夫です。
三菱鉛筆のハイユニ 22硬度セットを使ってますが、私のスタイルでは尖っていることだけが重要で硬度はあまり気にしていません。
4B、HB、3Hの3本あれば問題無しです。
透明水彩も何でも可です。
動物で使う色は基本的に彩度がそこそこあれば良く、重要なのは耐光性です。
出来るだけ退色させないために高耐光の絵の具を使います。
メーカーによって表記は違いますが、☆の数とかABCで表示されてますので、似たような色で代用出来るなら、より強いものを選びます。
他には鉛筆画と同様にフィキサチーフや練りゴムなどでしょうか。
消しゴムを多用すると紙面が毛羽立ってしまうので、ほぼほぼ使いませんが。
![](https://assets.st-note.com/img/1719713570793-5MhBWoRosr.jpg?width=1200)
下描き
まずは下描きをします。題材はキバタンです。
写真を参考にしても良いし想像だけで描いても構いません。
グリッド線を引いて写真トレースをする人もいます。やり方は自由。
仕上がりをイメージして鉛筆でざっくり描きます。
眼やクチバシなど、ポイントになる場所はしっかりと。あとは大きさのバランスが分かる程度で良いので適当で構いません。
![](https://assets.st-note.com/img/1719711857983-AkHppzDNXi.jpg?width=1200)
透明水彩で着彩
色を乗せます。
頭の飾り羽を見て分かるように適当で大丈夫。
鉛筆で描き込むと眼のようになりますが、大切なポイントがあります。
それは着彩の順番です。
鉛筆で描き込んでから水彩を塗ると、水分と筆の摩擦で鉛筆が流れてしまいます。
薄黒くなってしまうので、塗ってからよく乾燥させて下さい。
![](https://assets.st-note.com/img/1719712643658-AT4KiF8bWX.jpg?width=1200)
あとは細部を描いて描いて描きまくる
羽毛の流れは多くの鳥で共通です。
オウムやインコでもメジロでもフクロウでも、そう変わりません。
魅せたい部分は可能な限り細かく描きます。
逆にどうでもいい、もしくは主題から離れる部分はなるべくラフに、場合によっては陰影のみで表現しても良いと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1719713011688-22e4QZQalL.jpg?width=1200)
次に必要なのは根性か?
スマホで制作中に撮ると勝手にコントラストを上げてくるのでこんな見え方をしてますが、どこをどの程度描き込んでるか分かり易いですね。
とにかくガンガン描きます。
仕上げるために何が必要ですか?とか、どうやれば最期まで描けますか?と聞かれますが、そうですね・・・
必要なのは「根性」一択です。
根性論がお気に召さなければ、羽毛を描くことは精神修養の一環だと思えば頑張れるでしょうか。
![](https://assets.st-note.com/img/1719716027682-aEjkWVpJvS.jpg?width=1200)
本体はもうすぐ出来上がり
あと少し。
尾羽と止まり木で完成です。
ちなみにどんな木にするか、この時点では無計画でした。
![](https://assets.st-note.com/img/1719716155907-e1R9hm5Ai8.jpg?width=1200)
サインを入れて
はい、これで完成です。
スマホの勝手なコントラスト、色味調整が入ってキツイ印象になってますが、鉛筆と透明水彩ですので、もっと柔らかく繊細な印象なんですよ。本当は。
SNSでは小さなサムネイルだったり、大きく掲載したところで画面サイズを超えることは物理的に出来ないのでパッと見、良くみえる作画なのは致し方の無いところです。
しかし、作家としてはもっと細かく繊細な作品だということを知ってもらいたいのですが・・・なかなかにバランス良く見せるというのは難しいものです。
さてさて、話しが逸れてしまいました。
タイトルは「キバタン」見たまんまですね。
水彩紙をF6サイズのパネルに水張りし、透明水彩で着彩。
鉛筆で描き込んで仕上げています。
枯れ木に止まり、周囲の状況を見極め、良い環境を求めてどちらに向かうか逡巡した後、この方角なら・・・と、意思が固まったところを表現しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1719716442261-VQw60G32CQ.jpg?width=1200)
額装もしましょう
続いて額装後もご覧頂きましょう。
映り込みがひどい点はご了承下さい。スタジオではなく私の部屋で撮影してますので・・・(洗濯が干してなくて良かった)
![](https://assets.st-note.com/img/1719716490084-uzkIdmPLWQ.jpg?width=1200)
この作品、私の制作意図を汲んで頂いたのかどうかは分かりませんが、工場を経営されている方のもとへと旅立っていきました。
本当にありがたいことです^^
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