米津玄師 タイアップ作品への公式コメント一覧
米津玄師の曲は2024年2月までに述べ31もの映像作品やイベントなどに採用されている。すでに発表済みのNHK朝ドラで32作品目だ。
但し「Lemon」「感電」のように本来はドラマ主題歌として書かれた曲がのちに当該ドラマとは関係のないCMに使用されたこともあり、楽曲数としては30曲ということになる。
うち7曲は既存曲で書き下ろしは23曲だが、5曲は本人名義ではなく他アーティストへの楽曲提供。
米津は、他アーティスト名義であっても書き下ろし楽曲にはほぼすべてに
公式コメントを発表している。本記事では、どの作品にどのようなコメントをしたか?また、コメント内容の特徴やエピソードなどをまとめてみた。
記念すべき初タイアップは東京メトロCMソング
東京メトロは2013年から、女優の堀北真希を起用し「Color your days.」と銘打った企業キャンペーンを開始。初年のCMソングは松任谷由実が「Hey!girl 近くても」を書き下ろした。
翌年、2代目として大御所ユーミンの後を任されたのが、当時まだ無名に近かった米津玄師。東京メトロの先見の明はなかなかのものだと思う。
アイネクライネ
(2014/04/23リリース)
CM:東京メトロ「Color your days.」キャンペーン
初タイアップ仕事に寄せたコメントは、クライアントへの敬意をきちんに伝えようとする平易な言葉が生真面目に並んでいる。真摯さとおずおずと様子を伺っているような緊張感が初々しい。
米津玄師コメント
立て続けにCMに起用された3曲
翌2015年〜2016年には、ニコン、ミズノ、ホンダと大企業のCMに次々と起用されたものの、どれも書き下ろしではないため本人からの公式コメントはなかった。
Flowerwall
(2015/01/14リリース)
CM:Nikon 「D5500」
ちなみに同曲が収録されたアルバム「Bremen」のCMナレーションは小栗旬が務めている。
特にコメントはなかったもののこんなクライアントサービスツイートを残している。広告担当者のガッツボーズが目に浮かぶ。
アンビリーバーズ
(2015/09/02リリース)
CM:MIZUNO「WAVE ENIGMA5」
書き下ろし曲ではないが初めてCMに曲名がクレジットされた。
LOSER
(2016/09/28リリース)
CM:HONDA「JADE」
CMソングに起用されたのは楽曲リリースから約2年後。
絵と音楽のダブルタイアップ!
六本木ヒルズで2016年7〜 9月まで開催された「ルーヴル美術館特別展〜ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」は、「建築」「彫刻」「絵画」「音楽」「文学(詩)」「演劇」「映画」「メディア芸術」に続く9番目の芸術として漫画を展示した特別展である。
幼い頃から漫画家になりたかった米津との親和性は極めて高く、この展覧会のために音楽のみならずイラストも書(描)き下ろした。
ナンバーナイン
(2016/09/28リリース)
ルーヴル美術館特別展
『ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~』テーマ曲
米津玄師コメント
絵に関しては”恐れ多い”、”光栄”、”恥じることのないように”などと謙虚だが、音楽に関しては溢れ出る野心を隠そうともしない堂々としたコメントを残している。↓
他人の曲に歌詞を書いた唯一の曲
直木賞受賞作「何者」の映画化にあたり、音楽を担当していた中田ヤスタカが米津をゲストボーカルに迎えた主題歌「NANIMONO」。
NANIMONO*
(2016/10/05リリース)
*中田ヤスタカ名義
実写映画「何者」主題歌
コメントでは他人の曲の作詞をする心情と主人公への共感を率直に語っている。
米津玄師コメント
アニメ主題歌で怒涛の快進撃!
2017年のタイアップはアニメ主題歌の3連発。テレビ2作品、映画1作品だ。
「3月のライオン」と「僕のヒーローアカデミア」は原作漫画の愛読者であり、主題歌を担当できる喜びをそのまま”嬉しい”という言葉で表しているのが印象的だ。
orion
(2017/02/15リリース)
NHKアニメ「3月のライオン」ED曲
OP曲はYUKIの「さよならバイスタンダー」。
米津玄師コメント
ピースサイン
(2017/06/21リリース)
NTV系アニメ「僕のヒーローアカデミア 」OP曲
米津玄師コメント
打上花火
(2017/8/16 リリース)
*DAOKO名義
(米津玄師ver.は2017/11/1 リリースのアルバム「Bootleg」に収録)
アニメ映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」主題歌
「打上花火」は米津とのデュエット曲ではあるが名義はDAOKOであり、米津玄師として初の楽曲提供となった。
(*ハチ時代にLiSAに「エスケープゲーム」という曲を提供している)LiSAの時にも”とてもいい曲”とツイートしていたが、「打上花火」も”とてもいいもの”とコメントしている。
米津玄師コメント
上記のようにタイアップ曲の公式コメントにおいて”いい曲/いいもの”と自賛しているのは嵐の「カイト」含め提供楽曲だけなのだが、それは歌ってくれるアーティストへの感謝と気遣いなのかもしれない。
久しぶりのハチ名義曲で大炎上
砂の惑星feat.初音ミク
(2017/8/31 リリース)
*ハチ名義
(米津玄師ver.は2017/11/1 リリースのアルバム「Bootleg」に収録)
マジカルミライ 2017テーマソング
ボカロ界隈をdisった?と誤解されそうな歌詞、羅列されたボカロ曲名の使用や挑発的とも思えるコメントが物議を醸し、ネット上で大論争となった問題曲。
米津玄師コメント
燃え上がる賛否両論の炎の中に自ら飛び込みTwitterで質問や意見に丁寧に答えていた姿勢からは、自身の”故郷”への深い愛と憂いが感じられた。
安心と信頼のテーマ曲職人が爆誕!
Lemon
(2018/3/14 リリース)
TBS系ドラマ「アンナチュラル」主題歌
CM:ソフトバンク
初のテレビドラマ主題歌であり、米津玄師の名を一気に全国区まで拡大した出世作だが、意外にも公式なコメントは残されていなかった。MA後にも曲を修正していたというエピソードもあり、コメントどころではなかったのかもしれない。
唯一、見つかったのが下記Twitterでのコメント。
米津玄師コメント
また、LemonのMVを使用し、名前の読みにくさをイジったソフトバンクのCMには本人もかなりウケたようでTwitterでもこのCMに言及している。
ここからの米津の快進撃はお茶の間の隅々まで多くの人が知ることだろう。Lemonの感動も冷めやらぬ8月には東京五輪を見据えたNHKの一大プロジェクトが動き出す。
パプリカ
(2018/8/15 リリース)
*Foorin名義
(米津玄師ver.は2019/8-9月にNHK「みんなのうた」で放送され2020/8/5リリースのアルバム「StraySheep」に収録)
NHK 2020応援ソング「東京2020公式プログラム」
この歌って踊れる現代の童謡「パプリカ」で米津人気は遂に子供にまで到達。約5年に及んだfoorinの活動期間のみならず、幼い頃にこの曲に触れた子供たちが親となる未来にまで長く愛され親しまれていくことだろう。
米津玄師コメント
Flamingo
(2018/10/31 リリース)
CM:SONY「イヤホンWF-SP900」
立て続けのコラボやタイアップなど、”対面に自分以外のものが常にあった反動”でできたというノンタイアップ曲「Flamingo」。
だが、これだけインパクトある曲が放っておかれるわけはなく同年12月からO.Aされた本人が出演するSONYのCMソングに起用された。
TEENAGE RIOT
(2018/10/31 リリース)
CM:マンダム「GATSBY」
柳楽優弥×新田真剣佑が出演したシリーズ広告のCMソング。
書き下ろしではないためコメントはなし。
まちがいさがし
(2019/5/14 リリース)
*菅田将暉 名義
(米津玄師ver.は2020/8/5 リリースのアルバム「StraySheep」に収録)
フジテレビ系 ドラマ「パーフェクトワールド」主題歌
元々はタイアップ曲ではなく、米津が菅田将暉に提供した曲だが、松坂桃李主演のドラマ主題歌をオファーをされていた菅田が「この曲を主題歌として起用したい」と提案した。どこまでもこの2人は相思相愛である。
米津玄師コメント(ドラマではなく曲のみ)
海の幽霊
(2019/6/3 リリース)
アニメ映画「海獣の子供」主題歌
18歳の時に原作漫画に出会い、その頃からこの作品の主題歌について思いを巡らせていた米津が、10年の時を経て映画化のニュースをキャッチするや「どうしても主題歌をやらせてほしい!」と熱烈アプローチ。
コメントからはこの作品への畏怖にも似た憧景が溢れている。
米津玄師コメント
長年の夢が叶った喜びとそれ故のプレッシャーを乗り越えて完成した「海の幽霊」は、MV1000万回再生をわずか4日で達成。この記録は「感電」と並んで米津史上最速である。
馬と鹿
(2019/9/11 リリース)
TBS系ドラマ「ノーサイドゲーム」主題歌
もはや飛ぶ鳥を落とす勢いの米津。”米津玄師が主題歌を担当する”ことが宣伝や話題性に直結する広告塔としての期待も露わに、主題歌のオファーが殺到していたに違いない。
テレビドラマ主題歌2作目は事前発表なく劇中でいきなり解禁されるというサプライズ展開で話題喚起。コメントは第1話終了直後に米津のTwitterで発信された。
米津玄師コメント
「アンナチュラル」と同じく”素敵なドラマ”と記されている。そしてTBSのこの2作品以降、ドラマ主題歌には”よろしくお願いします”とコメントし始める。
カイト
(2020/7/29 リリース)
*嵐 名義
NHK 東京2020オリンピック・パラリンピックテーマ曲
東京五輪というイベントへの応援というよりも人気絶頂期に活動を休止する「嵐」への想いを込めたコメントになっている。コロナ禍での開催反対論ですっかり味噌がついた五輪に、コロナ以前の2019年時点で全く言及しなかった米津は予知能力でもあるのか?
米津玄師コメント
感電
(2020/8/5 リリースのアルバム「StraySheep」に収録)
TBS系ドラマ「MIU404」主題歌
Apple Music CM
「アンナチュラル」と同じ制作陣に盟友でもある菅田将暉や星野源が出演するドラマとあって、ファミリー的なチームワークの良さを感じさせる温かいコメントを寄せている。
米津玄師コメント
迷える羊
(2020/8/5 リリースのアルバム「StraySheep」に収録)
CM:大塚製薬「カロリーメイト 」
CM用書き下ろしの2曲目は大ヒットアルバム「STRAY SHEEP」の表題曲「迷える羊」。未来を壮大なスケール感で描いたSF的な映像に、不穏さと希望が交錯したサウンドが見事にマッチしていた。
そして、米津のコメントはそのままカロリーメイトの広告コピーにも使えそうなほど詩的な説得力がある。
米津玄師コメント
STRAY SHEEP以降の進化
ある種の贖罪の意味を孕んでいた「STRAY SHEEP」を経て、米津はまた新たな変化を示した。”遠くへ外へと向かうのではない内なる安らぎ”とか”ユーモア”を大切にしたいという気分だ。
ゆめうつつ
(2021/6/16 リリース)
NTV系 news zero テーマ曲
公式コメントは発表していないが、番組内のインタビューでこの曲に対してこう話していた。以下はその一部の書き起こしである。
米津玄師コメント
pale blue
(2021/6/16 リリース)
TBS系ドラマ「リコカツ」主題歌
ユーモアモードはこのラブコメドラマ「リコカツ」主題歌の「pale blue」あたりから始まった。ドラマチックな甘々ラブソングだが、本人曰く”うわぁロマンチックだなぁー”とばかりにゲラゲラ笑いながらのレコーディングだったらしい。
揺れ動く恋模様を大袈裟に歌いながらも、ふざけんのか?と思うような過剰なドラマのドタバタっぷりにもしっかり寄り沿っている。
だが、コメントはサラっとあっさり特筆すべき内容はなかった
米津玄師コメント
カナリヤ
(2020/8/5 リリースのアルバム「StraySheep」に収録)
NHKドキュメンタリー「ふたりのディスタンス」主題歌
*初回放送は2021/8/16
番組ロゴはスタジオジブリの鈴木敏夫Pが手掛けており、リリースから1年も経って「カナリヤ」が主題歌に採用された。今思えば米津とジブリの蜜月はすでにプンプン匂っていたというわけだ。
POP SONG
(2022/2/7 リリース)
CM:SONY「プレイステーション」
「死神」MVでの和服姿にも驚いたが、プレステ広告キャンペーンでの女装はユーモア米津の頂点と言ってもいいほどのインパクトだった。「POP SONG」やプレステに関する多くのインタビュー記事はあるものの、タイアップについての公式コメントは見つからなかった。
以下はインタビュー記事からの抜粋である。
米津玄師コメント
実るほど頭を垂れる稲穂かな?
押しも押されもせぬJ-POP界のトップスターとなった米津だが、このあたりから「何かの間違いでは?」「青天の霹靂」「まさかこんな機会があるとは」「なぜ自分が?」などと謙虚にも程がある発言をするようになった。「俺以外ありえないんじゃないか」と言っていた頃とえらい違いだ。
次々とヒットを飛ばし、評価が爆上がりし、大いに自信を深めていたであろう米津にとっても、背筋が伸びるようなビッグオファーが増えたこともその一因かもしれない。
M八七
(2022/5/18リリース)
実写映画「シン・ウルトラマン」主題歌
米津玄師コメント
KICK BACK
(2022/11/23リリース)
テレビ東京系アニメ「チェンソーマン 」OP曲
「Lemon」が日本中に米津の名を広めた曲だとすれば、この「KICK BACK」は、アニメ「チェンソーマン」とともに世界に米津の存在を知らしめた曲となった。
コメントからは、激しくもポップな楽曲に似合わず、コツコツと丁寧に作り上げた過程が窺える。
米津玄師コメント
LADY
(2023/3/21リリース)
CM:日本コカ・コーラ 「ジョージア」
曲やCMだけでなく両目を出した髪型にも多くの注目が集まった「LADY」。
極めて短いコメントには「コーヒーブレイク」との共通点がきっちり表現されており、作詞だけでなくコピーライターとしてもかなり優秀なのでは?と思った。
米津玄師コメント
月を見ていた
(2023/6/26リリース)
ゲーム「ファイナルファンタジーXVI」主題歌
自分とタイアップ先との真ん中にピンを打つと常々語っていた米津が、「この作品の為だけに」と言い切った楽曲。この米津の熱い想いにスクエニの吉田Pもこみ上げるものをグッと抑える場面が対談でも見受けられた。
米津玄師コメント
実際、米津作品としては物足りないチャート成績だったが、ゲーム内でこの曲に触れた人の感動は計り知れないことだろう。
地球儀
(2023/7/17リリース)
アニメ映画「君たちはどう生きるか」主題歌
さて、米津玄師が光栄の最上級と言っていたタイアップ案件は、少年期から大きな影響を受けたスタジオジブリの、それも憧れ尊敬し慕い続けた宮﨑駿監督の超大作アニメ映画の主題歌だった。
実に4年もの歳月をかけて完成した「地球儀」には並々ならぬ”熱意”が込められている。その証左として、かつてないほどの長文コメントを自身のTwitterで発表。これはもうプレスリリースやメディア用ではなく、偉大なる宮﨑駿監督へのありったけの愛と敬意詰め込んだ一葉の書簡だ。
米津玄師コメント
さよーなら、またいつか
(リリース日未定)
NHKドラマ「虎に翼」主題歌
最後に、4月から放送されるNHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」の主題歌は情報解禁され、コメントでも「意気込み作りました」と完了形になっているにもかかわらず「まだできてない」という本人からのSNS投稿もあり、その後どうなったか気になるところだ。
米津玄師コメント
とは言え、蓋を開ければまた人々を魅了する歌が流れてくるに違いないが。
以上、すべてのタイアップ曲の公式コメントを調べ上げて時系列でまとめてみた。永久保存版にして時々覗きにきていただけたら幸いです!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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