米津玄師のYouTubeを分析してわかった本当に凄いMV8選!
YouTubeチャンネル登録者数が600万人に到達
米津玄師がまた新しい記録を樹立した。これは日本国内における総合ランキングで10位、音楽カテゴリーではぶっちぎりの1位である。ちなみに2位以下には「Avex」や「The First Take」などが続いているが、単体(個人、もしくはグループ)で米津に次ぐアーティストは以下の通りだ。
(2021年8月時点・yutura調べ・国内のみ)
*Twiceは日本専用チェンネルの登録者数。グローバルでは1150万人
ボカロ系とJ-POP/アイドルが混在している様相だが、600万人というのは、そのどちらの層も獲得してやっと到達できるような圧倒的な数字である。
国内トップで満足か?世界の壁に挑むのか?
とは言え世界に目を向ければ総合で2,200位*くらい、音楽カテゴリーでは453位と、グローバルの壁はあまりに高い。
*推定総合ランキング:2224位(8/20現在・SOCIAL BLADE調べ)〜2204位(同日・NoxInfluencer調べ)
参考:日本でも人気の海外アーティストのYouTube登録者数
(SOCIAL BLADE調べ)
米津のチャンネル視聴者を国別で見ると、日本が77%、他のアジア諸国が17%とアジアだけで94%*を占めている。
*YouTubeチャートとインサイト上位50カ国の集計(8/19現在)
だが、ここには巨大市場である中国が含まれていない。YouTubeへのアクセスが制限されているからだ。米津はすでに上海公演を成功させた実績があり中国版TwitterであるWeiboでも564,160人のフォロワーを得ている。
SNOWMANが約103万人、野田洋次郎が135万人、乃木坂46が約331万人、BTSが約555万人、さらに中国人俳優のイー・ヤンチェンシーに至っては約8,855万人と二桁も違うが、春節に合わせて中国限定のグッズ福袋を販売するなど、中国市場を見据えた動きも垣間見える。
グローバル市場への足掛かりは中国からなのか?それとも、欧米でも人気が高いアニメ監督の新作主題歌で一気に名をあげるつもりか?どちらも憶測に過ぎないが、いずれにせよボカロ出身の後輩たちが雨後の筍のようにチャートを賑わすJ-POPシーンにそろそろ飽きているのではないだろうか。
ボーカロイドというものがある種のブランド化しているところもある。(略)自分にとって過ごしやすい世の中になってしまって、個人的には非常に居心地が悪いし、本当に味気なくなりましたね。
(2021年 ナタリーインタビューより)
メインストリームのトップランナーに安住せず、米津が異質なはぐれ者に映るような場所でのさらなる飛躍に期待したい。
もっと良い曲を作りたい。そのために必要なものの一つが、あまり居心地の良い空間ではない、ということかもしれないですね。
(2021年 LINEインタビューより)
米津玄師のYouTubeを深堀りしてみた
野望を叶えるためには現状分析が必須である。と言うわけで、勝手に米津玄師のYouTubeチャンネルを分析してみたw
米津のYouTubeチャンネルには68本の動画がある。その内訳は以下の通り。(2021/8/19現在)
当然ながら本数も再生回数も多いのはMV。特に米津玄師名義のMVは平均再生回数が1億を超え、”まちがいさがし”や”打ち上げ花火”などのプロデュース曲も加えると約1億2518万回にも跳ね上がる。
再生回数が多いMVと少ないMVの差は何か?
平均再生回数の驚異的な数字は、もうすぐ7億回に迫る"Lemon"だけの力ではない。全MV30本中11本が軽く1億を超えているのだ。次点の”海の幽霊”が億の単位になるのも時間の問題だろう。プロデュース曲の回数もエグい。
一方で再生回数が5000万回に及ばないワーストランキングを見てみよう。最低回数の曲でさえ1300万回超なのでワーストとは言い難いが、ベストランキングに入る曲と下記の曲の差とはなんなのだろう?
まず、”死神”はアップからの日数が短いことが1番の原因だろう。その他の曲を見るとドラマ主題歌の”PaleBlue”、CMに起用された”アンビリーバーズ”(ミズノ)、”Teenage Riot”(マンダム)以外はタイアップが付いていない。
”カナリヤ”はつい最近NHKの番組で主題歌に起用されたが、MVを是枝裕和が監督し、製作費も”春雷”あたりの数倍はかかっているように見える。さらに対談をテレビで放送するほど力を入れたにもかかわらず再生回数は伸びていない。”カムパネルラ”もイマイチである。
このように、昨年8月のサブスク解禁以降に公開されたMVの伸びが鈍い。つまり、タイアップの有無だけでなく、音楽を聞くためにYouTubeを利用していた人がストリーミングに流れているのかもしれない。
ベストランキングでタイアップがないのは”春雷”と”灰色と青”の2曲のみ。だが、”灰色と青”は菅田将暉とのコラボという話題性があった。そう考えると、シングルでもなければタイアップもなく、特別なトピックがあったわけでもない”春雷”の実力値は、ずば抜けていると言わざるを得ない。
再生回数だけでは分からない人気MVはこれ!
YouTubeの再生回数は、複数デバイスからのアクセスや短時間内でのリピート再生、更新ボタンの連打などを厳重に監視しており、これらの不正再生は無効となる。しかし、(米津が利用しているということではなく)一般的には組織的な連続再生があったり、再生回数を買うこともできる。
また、不正ではないが熱心なファンのリピート視聴により再生数は加算されていく。だが、高評価、低評価ボタンは1アカウントにつき1回しか押すことができない。
そこで、各MVの高評価率(高評価÷再生回数%)で並べ替えてみた。米津の高評価率の平均は0.45%だが、それを上回ったMVのトップランキングは以下の通り。
この上位4曲は再生回数ではワーストに入っていたがエンゲージメントは高い。
中でも”死神”の高評価率は2.19%と群を抜いている。同様にコメント率でも平均値(0.03%)の5倍の0.15%とダントツだった。いかに”死神”にインパクトがあり、好意的に受け入れられたかがわかる。
但し、1視聴者あたりの再生回数が多い曲の場合、相対的に高評価率は低くなる。このことを鑑みてデータを見直してみると、再生回数が1億以上、且つ高評価率も高い”パプリカ”、”感電”、”Flamingo””、ピースサイン”、さらに”海の幽霊”はかなり強度の高いMVと言えるだろう。
時を経ても見られ続けているMVは何?
再生回数は時間の経過とともに多かれ少なかれ増えていく。
そこで再生回数をYouTubeに公開されてからの日数で割り”1日当たりの再生数”を出してみた。新作は初速で高く出る傾向があるため、公開後2年以上が経過している作品に絞り、1日当たりの再生数が10万以上の曲をピックアップした。
トップの”Lemon”は公開後3年半が経過しているのに、1日当たり54万回以上再生されている計算になる。MV再生だけでなく、いまだにチャートにもランクインし続ける押しも押されぬロングヒット曲だ。
今まで見てきた様々な指標のどれにもランクインしてるのが、”パプリカ”、”Flamingo”、”ピースサイン”、”海の幽霊”である。
この4曲のMVは、多くの人に何度も見られ、高評価され、時を経てもなお見られ続ける普遍性があるのだろう。
結論
以上の分析結果を踏まえると、下記がベスト8と言うことになる。
(順不同)
パプリカ
Flamingo
ピースサイン
海の幽霊
春雷
Lemon
感電
死神
もちろん、これはあくまでもYouTubeだけの偏ったデータによるものであり内容の優劣でも個人的な好みでもない。
この先、ストリーミングとYouTubeが音楽鑑賞の主戦場となっていくだろう。映像への依存度がますます増えればYouTube登録者の多さは強力な武器となる。多くのアーティストがしのぎを削る中、MVの在り方もこのままでは似たり寄ったりに陥りそうだ。
<参考:1億再生超えの楽曲(順不同ランダムピックアップ)>
そこをアートディレクションも絵を描くこともできる米津がどう打破していくか非常に楽しみである。
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