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「髪を切る」という人間性を試されるイベント問題

またしてもご無沙汰してしまいました。

「ブログ書こうかなーでもなー別のことしてたら時間なくなっちゃったなー」とかうだうだ言ってたら、1か月以上も空いてしまいました。

そしたら「ブログ書かないブロガーはただのブログ書かない人だよ」と言われてしまいました。

おっしゃる通りな気もするし、というかおっしゃる通り以外のなにものでもありません。

これからは、月曜からの仕事へ備えている皆様の一瞬の暇つぶしを提供すべく、毎週日曜夜に投稿を試みます!!!質より量、薄利多売、悪貨は良貨を駆逐する!それはダメなやつ!

まぁそれくらいの感じでやってこうと思います。大事なのは心意気です。


と思いましたが、書くネタがないことに気づきました。

ネタがないなぁと思いながら頭に手をやったら、この前髪の毛を切ったことを思い出したのでとりあえずそれを書こうと思います。



髪を切る。それは誰もが必ず行う行為であり、定期的に訪れるイベントです。

その一方で、一見ありきたりでありながら非常に多くのことが試されるスーパーチャレンジングでありエキサイティングでありながらオーセンティックなエクスペリエンスであり、まぁつまりは私の苦手なイベントなわけです。



「髪を切る」というイベントは、まず「どのタイミングで髪を切るのか」を決断するところから試されています。髪を切る前から勝負は始まっているのです。

「気分を変えてみたくて思い切って髪切ってみました!」
これは100点。私の憧れです。

でも現実の私は、そもそも髪を切っても気分が変わらないのです。というか、自分の視界に1mmも入ってこない髪型に気分が影響されないのです。
友人に「髪切ったね」って言われて、「そういや髪切ったんだった」と思い出す始末です。

そして、「思い切って髪を切る」というのも素晴らしいです。私の場合、「片手を髪の毛に突っ込んでみて、もさっとしてたら切る」という、これまた1mmも思い切りのない判断基準で髪を切るタイミングを判断しています。


そして次に待ち受けるのは、髪を切る場所選びです。

表参道とか代官山で髪を切っている人は、その時点でもう散髪王者です。いうなれば、散髪界の吉田沙保里です。美容界のイチローといってもいいでしょう。もう圧勝・圧巻・あっぱれ。

一方、QBハウスなど1000円カット等で済ませている人。これもまたある種の強者です。「散髪とは髪の毛でなく身銭を切るものである」と言わんばかりに、徹底的にコストカットを行う。素晴らしいです。

そして私のような表参道なんて恐れ多くも近づけないけどQBハウスはなんかプライドが許さない的な中途半端ボーイは、とりあえずホットペッパービューティーで初回クーポンが使える近所の場所を毎回適当に選んでしまうわけです。


さて、そうこうして美容院にたどり着きます。ここからが本当の試練の始まりです。


髪を濡らして席に通されると、こう聞かれます。「どんな雑誌読まれます?男性ファッション誌とかでいいですか?」

そこで「いや、私はガジェットが大好きなので、MONOQLO、家電批評、もしくは百歩譲って日経トレンディあたりが欲しいです。」といえばいいものの、「えー、あ、はい」とかしか言えないので、席の目の前にはよくわからん男性ファッション誌が並べられてしまうのです。

出されたのでとりあえず開いてみますが、なんかよくわからん外国人とかモデルがきめっきめのポーズ取ってる写真ばっかなのです。情報量すくねぇよ!そんなでっかい写真にしなくてもわかるよ!そしてなんか下の方に来ている服の情報載っているけど、めちゃくちゃ高いよ!誰が買うんだよ!


そうこう写真にツッコみを入れていると、担当する美容師さんが来てこう問いかけます。「今日はどんな感じにしましょうか?」

どう、と言われましても、という感じなのです。端的にいうと、「いい感じ」にして欲しいのですが、そもそも何が自分にとっていい感じかもわからないのです。

ぶっちゃけ原状復帰をして欲しいだけなのですが、
「どうお願いしていいかわからない」→「適当に頼む」→「美容師さんがいい感じにしてくれる」→「結果には満足だが、適当に頼んだ結果なので次回どう頼めばいいかわからない」→「そうこうしているうちに髪の毛が伸びてきて髪を切りに行く」→先頭に戻る
を繰り返すわけです。

「まだどういう髪型にしようか決めてないんですよねー」と、まるで普段はどんな髪型にするか決めて美容院に行く人であるかのような嘘をついていると、美容師さんが髪の毛を見ながら「前回は軽く刈り上げた感じですねー」と言ってきて、そこで初めて「そうか俺は前回髪の毛を軽く刈り上げられていたのか」と気づくのです。恐るべき主体性のなさです。


なんか適当にごまかしていると髪型総論に対する質疑が終わり、続いて各論への質疑が始まります。


「前髪は普段どうしてますか?」
どうもしてません、というのが真実なのですが、「そうですね、上げるときもありますが、下ろしてるときもありますね」とかいう中身が1mmもない答弁を繰り広げます。


「髪の毛の耳へのかかり具合はどうしましょうか?」
どうせ髪の毛が伸びていけばいつかは耳にかかるんだからなんでもええやん、という感じなのですが、ポジションを取らないマンなので「あんまりかからない方がいいですけど、少しはかかっても大丈夫です」という、「耳にかかりそうでかからなくて少しかかる髪の毛」みたいな謎答弁をします。


「前髪は左に流してる感じですかね?」
美容師さんも「こいつはオープンクエスチョンだと意味わかんねぇことしか答えねぇな」と思ったのか、凄まじい誘導尋問に切り替えてきます。そして私はそれに「まぁ、そうですね」と安直に乗っかります。右方向に強風が吹いたら前髪なんてすぐ右に流れるのです。私も前髪も安易に流れるものなのです。


そんなこんなでカットが始まり一通り終わると、あらゆる美容院で見るけど美容院以外での需要はないんじゃないかという、パカっと開く鏡で自分の後頭部を見せつけられて質問されます。

「後ろこんな感じにしてみましたが、いかがでしょうか」

髪を切る前の自分の後頭部の状態を把握していないので、「こんな感じにしてみました」と言われても、劇的ビフォーアフターのアフターだけを見せられて「どうよ?」と聞かれてるようなもんなのです。知らんがな、というかんじです。

でもそんなこと言うのは失礼なので、軽く手で触ってみて、「ふむふむ今回はこんな感じのテイストなのね、なかなかやるじゃん」的な表情をしながら「大丈夫です」というわけです。


そして髪を洗うために移動して、髪を洗いながら「どこかかゆいところないですか?」という、「実際に部位を言ったらかいてくれるのだろうか?というか、ここでかゆい部位を申告する日本人は1%もいないんじゃないか?」という質問に対し「大丈夫です」とありきたりな返答をします。


席に戻ると、髪を乾かします。オシャ的にいうと、髪をブローします。あのドライヤーの風力凄いですよね。温泉旅館とかの大浴場にある絶望的に風力の弱いドライヤーには是非見習ってほしいです。そんなパワフルドライヤーで、「撫でられて顔をわしゃわしゃされている犬ってこんな気分なのかなー」とか思っているうちに髪が乾きます。


髪が乾いた後の次の質問は、「ワックスとか何かつけていきます?」です。

私の場合髪を切るのは夜の帰宅前なことが多いので、ぶっちゃけ何もしてくれなくていいのですが、整髪技術も磨いているだろうからとりあえずいつも「じゃあお願いします。」といいます。どこらへんが「じゃあ」なのかは謎です。


そうすると、大体の場合はなんかすごく伸びるワックスをもってきて髪型を作ってくれます。これが結構すごいです。それはまるで芸術作品。でも絶対自分じゃできないなーと思いながら作られていく髪型を観察します。

そして、最後にまたあの美容院でしか見ない鏡を持ってきて、「こんな感じです。いかがでしょう」と聞かれます。
もう二度と再現されることのない髪型をまるで弟子が持ってきた作品を見る親方のような鋭い目つきで各所をチェックし、心から納得したような声で「大丈夫です」と告げるのです。


こうして、しゃべった言葉の半分以上が「大丈夫です」という、まったく大丈夫じゃない散髪が終わるわけです。


ちなみに、「女性が髪切ったことに気づいてあげられる男性は好感度高い」と言われますが、私は先日髪切った直後に「そろそろ髪切ったら?」と言われました。

気分を変えてみたくて思い切って髪を切る人生までの道のりは長いです。

おしまい。

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