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やぎさんゆうびん問題

突然だが、みなさんは「やぎさんゆうびん」という童謡を知っているだろうか。

この童謡は、「しろやぎ」と呼ばれているやぎからの手紙を受け取るところから始まる。

しろやぎさんから お手紙 ついた

現代っ子であればLINEもしくはinstagramのメッセ機能を使うところかもしれないが、調べてみたところ「やぎさんゆうびん」が作成されたのは1939年、ナチスドイツがポーランドに侵攻し第二次世界大戦が始まった年である。
コミュニケーション手段として手紙が選ばれたのも納得である。

しかし、しろやぎさんから手紙を受け取ったくろやぎさんは驚くべき行動に出る。

くろやぎさんたら 読まずに 食べた

くろやぎさんのバカ!!もう知らない!!!
なぜせっかく届いた手紙を食べるのだろうか。
しかも「しろやぎさんからお手紙ついた」と直前に言っているので、「しろやぎさんが書いた」「手紙である」という二点は認識した上での暴挙である。

もしかしたらそういう性質のやぎなのか?と思ってくろやぎについて調べたところ、「韓国在来種黒山羊」というのがヒットした。どうも肉用種らしい。
ちなみにソースは「全国山羊ネットワーク」という山羊を愛する人たちの団体。世の中には本当にいろんな団体がある。


くろやぎさんが肉用種だったということは、手紙が出荷に向けた徴用票だったことが考えられる。まさに死の宣告。
その死の宣告を証拠隠滅するために、くろやぎさんが手紙を食べた、という説はある。

しかし、日本民法は「到着主義」という、簡単に言うと「意思表示をした書面が相手の手元に届いていれば読まれていなくても効力を持つよ」というシステムを採用している。

くろやぎさんが手紙を読まずに抹消したところで徴用票は効力を持つのである。くろやぎさんにも法学教育が必要なことを示唆している童謡なのかもしれない。


童謡は、さらに続く。

仕方がないので お手紙書いた
さっきの手紙の ご用事なあに

「仕方がない」というのは、日本国語大辞典によると「不満足ではあるが、あきらめるほかない。どうしようもない。やむを得ない。しかたない。」という意味である。やむを得ず手紙の内容を聞いている。
そうすると、さっきの「くろやぎ氏の食肉徴用票抹消説」は微妙になってくる。シンプルに手紙を食べてしまったうっかりさんである可能性が高い。

しかも手紙の内容を尋ねる手紙を出していることから、「手紙というものは本来食べてはいけないものである」ということは認識しているようである。自分が出した手紙は食べずに投函できていることからも、手紙に対する衝動はコントロール可能であることも推察される。
誤って手紙を食べるようなミスは二度と起こらないよに再発防止を真摯に検討してほしい。

ここまででこの童謡の1番が終わる。


2番に入ると、話の中心はくろやぎさんが出して手紙を受け取ったしろやぎさんに移る。

くろやぎさんから お手紙 ついた
しろやぎさんたら 読まずに 食べた

おいおいこの世界にはヤバいやつしかいないのかよ!!!!
なんでそんなに手紙を食っちゃうんだよ!!!!
ヤバいやつとヤバいやつが手紙を送りあっているカオスワールドである。

しかも、やぎsが本当にヤバいやつで手紙を食べたことを全く気にしないのなら手紙を食べた時点で終了するのだが、しろやぎさんもくろやぎさんと同様に「手紙というのは相手からの意思伝達であり、内容を把握せずに食べてはいけないものだ」と事態の重大さを認識しており、内容問い合わせの返信をしている。

仕方がないので お手紙書いた
さっきの手紙の ご用事なあに

やぎsがおバカでありつつも絶妙に理性を持っていることによってこの無限ラリーが成立してしまっているのである。
もうここまでくると、やぎが手紙を誤飲しないように手紙の紙に苦みをつける等の根本的対策をとることで事態の解決を図るべきである。



しかし、ここでふと思った。
「山羊って紙食べるんだっけ…?」
よく動物園に行くと「山羊に紙を与えないでください」という注意書きを目にする。

調べてみると、やはり山羊は紙は食べないらしい。

ヤギは本当に紙を好んで食べる動物なのでしょうか?答えはNOです。むしろ、現代の紙は化学薬品やインクが使われているため、ヤギがうまく消化できずとても体に悪いそうです。

ニッポン放送 News Online


ふーむ、そうすると、そもそもなぜくろやぎさんは手紙を食べたのだろうか。
ここであることに気づいた。
この童謡中、「やぎさん」という単語は出てくるが、「山羊さん」という漢字表記ではない。「やぎ=山羊」というのは私の勝手な脳内変換でしかないのだ。

一度固定観念を取り払って考えよう。「山羊が手紙を書く」という設定を私たちはあまりに安易に受け入れすぎではないか。「童謡の中だったら動物は手紙を書く」というのは勝手な思い込みである。
その前提に立って考えてみると、考えられるのは、「やぎさん=山羊さん」ではなく、「やぎさん=八木さん」という「やぎさん人間説」である。

「八木さん」という方が2人いて、二人はクラスメイトとかで苗字がかぶっていたため日焼けしていた八木さんが「黒八木」、日焼けしていない八木さんが「白八木」というあだ名で呼ばれていたのである。
そして、白八木さんが書いた手紙を黒八木さんが受け取って思わず食べてしまうのである。


ダメだ、引き続きカオスである。
二人の八木さんが手紙を送りあってその手紙をむしゃむしゃ食べあっている世界、もはやディストピアである。


もう謎すぎてわからん!と思って調べていたところ、ヤバすぎるものを発見してしまった。


よくわからない顔面お尻みたいな生物が二体くっついていて、手紙どころか郵便屋さんごと食っておる…!

「やぎ同士で手紙送って食べあっててカオス!」とか言っていたが、はるかにカオスな世界がそこには存在していた。

いつだって事実は小説よりも奇なのであった。

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