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ドッグトレーナーが愛犬を看取った話。〈後悔せずにすんだこと〉


あっという間に、彼女を亡くしてから8ヶ月が経ちました。更新、忘れていたわけではないんです…!(必死)待っていてくださった方、わたしのnoteを初めて読んでくださっている方、ありがとうございます。

この記事では、私が愛犬を看取った経験をした中で、後悔していないこと…後悔せずにすんだことをお伝えできたらと思います。

前の記事でも書きましたが、あくまで『いま』後悔せずにすんでいることです。この先、もっともっと学びを深める中で、新たな後悔が生まれるだけではなく、いま後悔せずにすんでいることが後悔することに変わるかもしれません。それでも、いまの私に出来る全てを注ぎ込んだ経験が誰かの役に立つことを願っています。



1.愛犬中心の闘病生活を送ることができた

いちばんはこれです。というか、これに尽きる。

1月末に正社員で働いていた会社を辞め、すぐに引っ越し、有給消化を待って3月末にフリーのドッグトレーナーとして独立・開業。

そして時を同じくして新型コロナウイルスの流行。自粛、自粛、自粛………!

フルスロットルでのスタートが切れなかったからこそ、思う存分、彼女と一緒に過ごすことができました。

 あのまま正社員でフルタイム勤務だったら、「もっと傍にいてあげたかった」と思っていたことは間違いありません。

ただ、私がここまで彼女に尽くせたのは、生活していく上で、そして闘病生活を送る上で欠かせない、お金の心配が無かったから。 

りむさん(犬)にとって、私がそばにいることはお金とかの問題じゃないから、と言って、毎日お仕事を頑張ってくれていた夫には、本当に感謝しています。ありがとう。

そして、給付金もありがとう。笑


2.獣医師のことを信頼できた

引越して半年弱での発病。かかりつけがない状態の私たちが、いちばん近くの病院で、信頼できる獣医師の先生と出会えたことは、運の良さだったのかもしれません。

もちろん「ヤブ医者は 論外」。ですが、獣医師ではない私たちは、あくまでシロウト。言われたことを信じるしかない部分って、どうしても出てくると思います。また、相手(獣医師)も人間。人と人との相性もあるでしょう。

だから、本当は、愛犬が若くて元気な間に、『飼い主さんが』信頼できる病院・先生に出会ってほしいと思っています。

私が、この先生なら…と思えたのはなぜか?振り返って考えてみようと思います。


①私の意向や考えを否定しないで聞いてくれた

愛犬が末期ガン、言ってしまえば施しようのない状態だったというのもあるかもしれません。

ただ、「積極的な治療は望まない」「麻酔から目覚めた時に私(飼い主)がいないことの精神的不安がかなり大きいであろうと思われる(これについてはまた改めて…)ので、麻酔下での処置や検査は基本的には望まない(100%良くなると言いきれることなら考える)」「どれだけ長く生きるかより、今この瞬間の、嬉しいとか、おいしいとか、楽しいとか、さみしくないとか、痛くないとか…を大切にしたい」という私の考えを否定せず、その中でできることを『提案』してくださいました。

そう、『提案』。決めるのは、私。

もしかしたら、先生自身の考えとは違ったかもしれませんが、 「自分ならこうする」を敢えて一切言わずに接してくださったのが、「自分はこうしたい」をはっきりと持っていた私には良かったのかもしれません。


②科学的な根拠を示してくれた

「犬 ガン」と調べると、「ガンに効く療法食」や「ガンに効くサプリメント」といったものが、たくさん出てきます。

もちろん、私もたくさん調べて、いくつか試したいなと思ったものはありましたが、最終的に購入するかどうかは全て先生に確認してからにしました。

なぜなら、私は、特にこのペット業界において「何を信じれば良いか」を少なからず知っていたからです。

「犬が吠えなくなる方法!」…その方法って、昔の体育会系みたいな根性論じゃない?

「手ざわりがふわふわ!」…そのふわふわの元の成分、犬の皮膚に良くない影響が全くないと言えるの?

言葉を話せない犬が相手だからこそ、人間都合で仮定したり決めつけたり、「そうであってほしい」という願望を事実として思い込んだりしてしまいがちな世界。

特に、大切な存在が大病を患ったなんて非常事態。冷静な判断をするのはとても難しい。人間ですら、意味わからん壺を買ってしまうくらいです。

感情論、巧い言葉より信じるべきものは「エビデンス」つまり「科学的根拠」です。

ドラマとかで聞きますよね、「不治の病に侵されて、効くといわれているものは全て試した」とか。ワイドショーなんかでも、「○○に効く、と謳った高額なサプリメントを売って逮捕された…」とか。

なんでそんな分かりやすい似非モンに騙されんねんって思いますよね?私も、思っていました。

でも、今は少し、分かる気がする。

騙されちゃうくらい、冷静な判断ができないくらい、いっぱいいっぱいになるんです。

だから、兎にも角にも、まずは「エビデンス」ありき。その上で、自分が納得できるか、やってみたいと思えるか。

トレーニングも「科学」です。「科学」であるということは、「科学的根拠」があるということです。

今回は、病気になった愛犬を持つ身として、科学的根拠を提示される側でしたが、トレーナーとして、これからもたくさんの情報を集め学びを深めるためにも、きちんとした科学的根拠があるかどうかを見極める力をもっともっと養いたいと改めて思いました。


③毎回「かわいいね」と笑顔で声をかけてくれた

私に、じゃないですよ。(当たり前や)

エビデンス!科学的根拠!と言っていたのに、突然こんなふわっとした理由を出したら戸惑いますよね、ごめんなさい。笑

でも、診察が終わって帰るときに、毎回毎回、笑顔で声をかけてもらえるって、やっぱり飼い主としては嬉しいものです。

上顎の裏にできた腫瘍はみるみるうちに大きくなり、自壊を繰り返しました。外見も変わったし、独特の臭いを放つようにもなりました。それでも毎回、両手で優しく包み込みながら「かわいいね」と笑顔で声をかけていただけると、わたしも笑顔になれました。

診察終わりのあの一瞬が、闘病生活においてどれほど重要だったか…。時間が経てば経つほど、感謝の気持ちが大きくなっています。


1つめ、3つめの理由は、わたしの個人的な意見ですが、2つめの「科学的根拠を示してくれる」というポイントは、誰かの参考になればいいなと思います。


3.思う存分の供養ができた

愛犬に最後にしてあげられること…いや、亡くなったあともずっとしてあげられる唯一のこと。それは「供養」ではないでしょうか。

皆さんは、愛犬の供養について…火葬はどこでするのか、遺骨はどうするのか、考えていますか?亡くなった直後にどんなことをする必要があるのか、火葬までにどのように安置しておいてあげるべきなのか、知っていますか?

わたしの経験上、これらは愛犬が健康で元気なうちに調べたり、決めておいたり、候補をピックアップしておくとよいと思います。なぜなら、いざその時が迫ってくると、なかなか冷静に調べられなかったり、なんだか縁起が悪い気がしてついつい後回しにしてしまうものだからです。

人間でも『終活』という言葉がずいぶんと浸透してきましたよね。ワンちゃんは自分で『終活』をすることができません。愛犬の『終活』は、飼い主さまの役割です。

火葬は、合同火葬(ほかのペットさんと一緒に火葬してもらう)のか、個別火葬なのか。火葬はスタッフさんに任せるのか、立ち会うのか。自分たちが火葬場に出向くのか、訪問(出張)火葬に来てもらうのか。

車を持っているかどうかや、お仕事や火葬場の予約状況や予算との兼ね合いもあります。生前に全て決めておく必要はありませんし、実際亡くなってから気持ちが変わることもあります。お住まいの地域の葬儀屋さんの情報を集めて、現時点での「こういうふうにしてあげたいな」というご自身の気持ちを知っていると良いのかなと思います。

今回、わたしは葬儀屋さんに送迎していただくという形で、火葬場へ向かい、個別の立会い火葬という形を取りました。火葬場は、彼女の育った(わたしの実家がある)京都と、最期に一緒に暮らした大阪の、ちょうど真ん中あたりの山の上。どちらの景色も見ながらお空へ帰っていけたのだと思うと、この場所を選んでよかったな、と思いました。


『供養』は、火葬をしておしまい、ではありません。

最近では、ペットのメモリアルグッズの種類もとても豊富で、可愛らしいものもたくさんあるんです。

大阪にペットのメモリアルグッズの専門店があるということで、彼女の火葬が終わったその足で、夫と2人で向かいました。

お店はコチラ↓

あまりに「火葬終わりたて」で向かってしまったので少々引かれるかと思ったのですが(笑)、全くそんなことはなく、とても居心地のよい空間でゆっくりと選ぶことができました。どれくらい居心地がよかったかというと、帰り道で「冠婚葬祭って、接客の究極やな」と夫と話したほど。

お鈴や仏具セットを購入し、後日オーダーした位牌も届き、今ではこんなににぎやかに。笑

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いただいた似顔絵やお花、なぜか飼い主が大好きな『嵐』の記念グッズも。笑

仏壇と呼べるほど立派なものではないけれど、毎日、朝と夜に手を合わせると、それだけで気持ちが整うような気がしています。忙しい日々の中で「今日もがんばろう」「今日もがんばった」と、”わざわざ”思うことって、なんだかいいな、と思っています。

わたしは、手を合わせながら、頭の中で、彼女の全身をなでています。毎日毎日、思い出していたら、忘れることがないから。(浜崎あゆみの歌詞かよ)毎晩、彼女の肉球の感触や、おでこの丸み、目ヤニを取る感触、耳の厚さ、内股の体温、そういったぜんぶを思い出す時間が、今のわたしの幸せな時間です。

もちろん、供養の仕方に正解や間違いはありません。遺骨も、納骨する人が多いと思いますが(わたしも当初はそう考えていました)、四十九日が過ぎた後、「納骨=もう一回お別れをする」ような気がして、それがとても悲しくて、結局ずっとわが家にあります(人間と違って、納骨しないといけないという決まりはありません)。

大切なのは、飼い主さんが望む形の『供養』をすること。そして、そのために準備できることはたくさんあるよ、ということが伝わればいいなと思います。


以上が、『いま』のわたしが後悔せずにすんだことです。

書いてみて思ったのは、後悔しないための第一歩は「知ること」なんですよね。

知らなくちゃ何も始まらない。知った上で、考えて選択した結果の後悔って、知らずに選択した後悔より、ずっと小さいと思います。実際、わたしの後悔は「知らなかったから」ばかりだったのに対し、後悔せずにすんだことはすべて「知っていたから」だったなあと思います。

ただ、わたしは犬に関わるプロのひとりとして、自分の「知っていること」で満足してはいけません。自分の「知らないこと」を知ること、学ぶことで「知らないこと」から「知っていること」に変えていくこと、そしてそれらを飼い主さまに伝えていくことがプロとしての責任だと思っています。

そういった意味で、今回のわたしと彼女の経験が、誰かの後悔をほんの少しでも小さくすることに繋がればいいなと思います。


長く拙い文章を読んでくださり、ありがとうございました(^^)

これからは、いろいろなテーマでnoteを更新していきたいなと思っています。引き続き、チェックしていただけると嬉しいです♪



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