【満員御礼!】webtoon座談会イベントレポート
こんにちは!
今回の記事では、5月9日(火)に開催された「webtoon座談会」のイベントレポートを皆さんにお送りいたします!
主催者である井本の記事もございますので、そちらもぜひご一読くださいませ。
◆トークセッション
ピクシブ株式会社の遠藤匠馬さんをお呼びしてトークセッションを行いました。
遠藤匠馬さん(写真右)
IPクリエイション事業部 IPアライアンス部 マネージャー
pixiv事業本部マンガ部タテヨミチーム プロジェクトオーナー
<IPクリエイション事業部 IPアライアンス部>
ビジネス側の領域で、pixivコミックというサービスを出版社と一緒に作りあげるなど、作品をプロモーションしていく部署
<pixiv事業本部マンガ部タテヨミチーム>
webtoonを盛り上げていくためのプロジェクトチーム
日本のwebtoonは「スタジオ形式」で制作されていることが多く、韓国と比べて個人の作家さんが制作しているケースが少ないです。
pixivというサービスは、その固定概念を払拭していくことをミッションとして掲げています。
他にも、pixivでコンテストを行う目的や、独自で展開しているpixivコミックのユーザー層など、とても貴重なお話を伺うことができました!
◆webtoon座談会
メインイベントである「webtoon座談会」では、各スタジオを代表して5名の方がご登壇されました
※※写真左からご紹介※※
熊谷昂洋さん
㈱ソラジマ WT事業本部 執行役員
アッツー/佐藤敦弘さん
漫画背景スタジオアッツー 代表
小林琢磨さん
㈱ナンバーナイン 代表取締役
朝岡優太さん
㈱1LDK/LOCKER ROOM 代表取締役
前田雄太さん
㈱まんがたり 代表取締役
webtoonの最前線でご活躍されている方ばかりですね!
スタジオとしての方針も各社で異なるようで、その違いがとても興味深い内容となっていました。
みなさんにもその一部をお届けいたします!
Q.自社の一番の特徴を教えてください。
熊谷昂洋さん(以下、熊谷):
ビジョン
アッツー/佐藤敦弘さん(以下、アッツ―):
背景
小林琢磨さん(以下、小林):
作家と編集が一緒に仕事をしている
朝岡優太さん(以下、朝岡):
原作開発~出版マーケ
前田雄太さん(以下、前田):
全員マンガ家
ドラマ原作/歴史モノ
井本洋平さん(以下、井本):
オリジナルをつくらない
井本:
ソラジマの熊谷さん、「ビジョン」というと?
熊谷:
弊社のミッションはやはり「今世紀を代表するコンテンツを作る」というところです。今後のwebtoon作品の展望として、IP化とかマルチメディア展開というところも視野に入れているので、「ビジョン」とさせていただきました!
井本:
なるほど。朝岡さんはいかがでしょう?
朝岡:
うちはあえて、転生モノや令嬢モノとかを基本的に作らないという戦略をとっているので、プラットフォームや書店さんで売れ筋のものは作りません。
どちらかというと「ドラマ化や映像化に向いてる作品を作る」というのがうちの会社の特徴です。
井本:
路上伝説とかなんか見てると確かにそうだなと思いました。
朝岡:
男性向けも作ったんですけど、どう考えても女性向けの方がいい、と判断していたので、基本的には女性向けのものを作っています。
井本:
その話だけでも30分以上喋れそう…残念ですが一旦飛ばしますね(笑
Q.流行ジャンル以外に積極的ですか?
熊谷:
YES
アッツー:
回答不可(元請けではないため)
小林:
NO
朝岡:
YES
前田:
YES
井本:
回答不可(クライアントとの相談次第)
井本:
朝岡さんからもお話ありましたが、「悪役令嬢」とか、「俺TUEE」以外の今までにないジャンルの開拓に積極的ですというスタジオさんにはお話伺いたいです。
ソラジマの熊谷さんはいかがですか?
熊谷:
そうですね。ソラジマの事業計画上のポートフォリオでは売れ筋で組んではいるものの、やっぱり売れ筋一辺倒だと先細りになるっていうところもあります。
だから少数に絞りつつも、そこで次の壁を開けるような作品を全力で探しているという状態です。
井本:
意外ですね!ソラジマさんで制作している女性向け作品の展開がめちゃくちゃ素晴らしいなと思ってたので、裏でキン肉マンとか作っていたら、ちょっと嬉しいですね。(一同笑い)
井本:
ところで、webtoonってあまりギャグ系のジャンルがないですよね。
朝岡:
あ、うち作ってますよ!
小林:
え、それ絶対上手くいかないじゃん!
井本:
やめなさいっ!(一同笑い)
Q.3Dはどれくらい利用していますか?
熊谷:
70%
アッツー:
用意してもらえれば
小林:
40%
朝岡:
背景小物で30%
前田:
50%(背景は結構使っている)
井本:
30%
井本:
韓国は結構3D素材使ったりするんですけど、国内は様々な手法がある印象ですね。弊社は30%くらいです!
悪役令嬢作品に登場する神殿とかは、3D素材の方がクオリティを担保できるなと思って使っています。
ただバトルアクションなどの男性向け作品だと、どうしても部分的に使用することが多く、最適なところを探しながら使用範囲を増やす方向で動いています!
アッツ―:
うちは背景を作る会社なんで、データを用意してもらえれば使います。
ただ3D素材をそのまま載せても冷たさが残るので、基本的に書き起こします。
井本:
3D素材って工数削減にはなるかなと思うんですが、背景専門の立場的に、SketchUp(背景のモデリングサービス)あたりってどのように見られてますか?
アッツ―:
スタジオの体制的に、描いてる人間がページ単位…ヘタすればコマ単位で変わったりするんですよ。そんなときに3Dはアタリとして置いておくとすごくやりやすいんです。
そういった使い方ですね!
井本:
3D素材で100%補完するのはなかなかできないので、やっぱり30%ぐらいで活用しながら、調整していくのが安パイかもしれないですね。
Q.スタジオ制作ではなく、個人制作もできますか?
熊谷:
めっちゃあり。探してます。
アッツー:
できる!
小林:
週刊連載はムズかしいかな…
朝岡:
できるしやり方次第
前田:
連載のペースがいけるかどうか
井本:
個人でもできる(個人が投稿できるプラットフォームがあればいいな)
井本:
週刊連載のマンガ家さん…あの人たちは本当に人じゃない、『狂人』です。人間をギリギリ超えた存在ですね。
弊社は9人で週刊連載回してますけど、それでも苦労しているので、本当に異常だなと思いながら、『天才』だと思っています。
ソラジマさんのめっちゃ探してますという話、お聞かせください。
熊谷:
スタジオ制作はどうしても作家性とのトレードオフになるのではないかという懸念があります。個人の作家性を生かした作品作りについて考えて、内々で動いている状況です。
個人作家さんが週刊連載でやっていく方法を見つけたいので、我こそはという人がいたらお願いします。
井本:
素晴らしい。
隔週連載にするであったり、モノクロのwebtoonでもいいじゃんだったり、
取り組み方とやり方っていうところが結構大事かなと思っています。
Q.作品を作っていく上で大事にしていることは何ですか。
「納期」「クオリティ」「人柄」から一つお選びください。
熊谷:
クオリティ
アッツ―:
クオリティ
小林:
納期
朝岡:
納期
前田:
人柄
井本:
クオリティ
井本:
あえて「納期」「クオリティ」「人柄」の3択にさせていただきました。
フーモアはズバリ!クオリティです。
スピードはアシスタントさんの力をお借りして上げていくことができますが、クオリティはそうはいかないなと感じています。作品自体の売れ行きにも大きく関わると思うと、一番最初に見るケースが多いですね。
まんがたりの前田さん、ある程度のクオリティや納期意識があることを前提にした上だとは思いますが、人柄を最優先で選んだ理由をお聞かせください。
前田:
納期とクオリティについては、応募していただいた時点であと一歩だとしても、一緒にやっていく中で変わっていくところがあると思っています。
しかし人柄は後から変わることはないので選びました。
井本:
前田さんとは、広告マンガの事業を行っていたときにイベント一緒にやらせていただいたことがありますが、
作家さんを探す際、誰でも来てほしいというよりは、信頼できる方と一緒に組んで二人三脚でガッツリやりたいっていう信念を感じました。
前田:
そうですね、たくさんの作品はできないんですけど、その分一人一人の作家さんやその作品と向き合ってやっていきたいと考えています。
座談会終盤には、ご来場いただいた作家さんからの質問にお答えしました。
Q.先日持ち込みに行ったときに、絵柄が合わないと言われました。絵柄の個性があると思うのですが、流行りのタッチに合わせた方がいいのでしょうか。
小林:
絵柄を見てないんで何とも言えない部分はあるんですけど、今の流行りの絵柄に合わせにいくのは全然ありだと思います。むしろあり、超絶あり。
そもそもその漫画家としてデビューしたいならまずドラゴンボールを模写しろみたいな格言があるぐらい、模写ってすごい大事なんですよね。
webtoonでいえば、今の流行りのタッチを模写するってのはすごく良いことだと思います。
どれだけ模写しても消えないものが個性だと僕は思うので、私はこれだけでやりたいんですというよりは、まず今流行りの絵柄やタッチを模写してみるとすごくいいのではないでしょうか。
朝岡:
別に流行タッチじゃなきゃダメっていうのは全然ないです。
僕らの場合は、基本的にはプロデューサーとアートディレクターで、どういう作品を目指すかのベンチマークを決めています。例えばBLだったら、線画はこういうふうなのがいいよねとか、恋愛系だったらこういうジャンルで、こういう絵柄にしようという話をします。
それに対して、寄せていただけたらめちゃめちゃ嬉しいし、その人の味を生かした方が実は良くなったらそれもまたしかりという形なので、プロデューサーの構想と合う合わないを優先しています。
前田:
原作があるのかないのかでも変わりますよね。原作がある上でのwebtoon化みたいな話だとしたら、やっぱり原作にあるイメージや世界観に合うかどうかは一つの判断要素になります。
小林:
現在webtoonというのはまだマーケティングのフェーズで、現時点では売れ筋以外はなかなか難しいと思ってます。
例えばLINEマンガで出す場合はLINEマンガで売れてる作品、ピッコマで出す場合はピッコマで売れてる作品を見て、その作品の絵柄やジャンルを研究して作るのが当たり前だと思っています。
売れ筋以外っていうところは今だとちょっとチャレンジングになるのかなって感じています。ただ一生ずっとこのままなのかっていうとそれは違うと思います。
そこをLOCKER ROOMさんでギャグの道を切り開いてもらって…(一同笑)
◆ライトニングトーク
最後に、1人3分でプレゼンを行うライトニングトークを行いました!
今回4名の方が登壇されました。
1人目:主催者 井本
トップバッターは主催の井本が「イベントの感想をあらかじめ予想する」というテーマで会場を温めました。
「会場が熱気で暑い…」という井本の予想は、会場の素晴らしい空調で外れてしまいましたが、「座談会で話しすぎて時間が押す」という予想は見事に当たっていました(笑)
2人目:板野はこさん
webtoon作品の原作を担当されている板野はこさんは現在連載中の
「まじかるとりぷるふぁんたじあ」についての紹介でした!
現在、ジャンプルーキーにて当作品が連載されています。
とても可愛らしい絵柄ですので皆さまぜひ、「まじかるとりぷるふぁんたじあ」をよろしくお願いいたします!
3人目:天川まなるさん
主に背景制作をされているマンガ家アシスタントグループの「PASS」の
代表・天川まなるさんによる、PASSについての紹介でした!
週間連載でもクオリティの質を保つために、メンバー同士のスケジュール調整や役割の細かな分担、そして作品に合った3Dの制作を行い背景作画の効率化を図っているとのことです。
4人目:蒼乃白兎さん
webtoonの原作・脚本も執筆している小説家・蒼乃白兎さんによる「webtoon脚本のチェックポイント」というテーマでした!
蒼乃先生は、フーモアで制作した「禁忌の転生大魔導士~無能からレベルアップで最強に~」、「異世界陰陽師と十二天将の式神」そして「転生魔術師の異世界生活 原作知識で世界最強」の原作と脚本を執筆されております。
webtoonの脚本クオリティを判断する際の主なチェックポイントとしては
「固有名詞」、「セリフの情報密度」、「戦闘内容」の
3つとのことでした!
また、蒼乃さんはシナリオ特化の会社を立ち上げる準備をされているようです!
詳しくは蒼乃さんのTwitterをご確認くださいませ。
◆後記
初めてwebtoonの制作会社と作家さんが一堂に介したイベントでした!
他スタジオの作家さんへ発注金額や各工程の制作範囲について情報収集が出来たとても貴重なイベントでした。
また、作家さんからも数多くのご質問をいただき、作家のみなさんが普段どのようなことを気にされているのかを知ることができ、スタジオの立場ながら勉強になりました。
作家さんと制作会社で理解し合い、協力し合うことでより良いwebtoon作品を作り上げていけるのだなと改めて感じました。
自分たちもさらに作家さんに寄り添って作品作りをしていけるよう、身が引き締まる思いです。
参加してくださった各制作会社様、作家の皆さま本当にありがとうございました。
今回参加できなかった方は是非第2回目でお会いしましょう!
改めて、ご協力ならびにご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。
◆告知
6月14日(水)にオンラインのwebtoon座談会を行います!
ピクシブ株式会社の遠藤さん、LINEマンガを運営されるLINE Digital Frontier株式会社の小室さんそして井本の3名でオンラインイベントを行います。
詳細については、井本の下記ツイートよりご確認ください。
◆最後に
フーモアでは、AD・作家問わずクリエイターさんの応募をお待ちしております!
ご興味がございましたら下記よりご応募ください。
■募集職種
◎制作スタッフ
各工程における制作業務になります。
・ネーム(絵コンテ)担当
・背景線画担当
・着彩担当
・メイン線画担当
ご応募はこちら
◎アートディレクター(作画監修)
webtoonのクオリティ管理と作画監修業務になります。
ご応募はこちら
■問い合わせはこちら
株式会社フーモア 担当:井本洋平
TEL/03-6228-4310 MAIL/info@whomor.com
文責:今中、菅原、高橋
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