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書評『身銭を切れ』

どれだけ明晰に思考しても、現実を適切に反映した理論を頭蓋骨の中の臓器に投影できても、リスクを負って実践し続けないと、価値はないし、他者に貢献できないということに薄々気づいてはいたが、どうしても臆病心や不安を拗らせて躊躇してしまう。

そこでタレブの『身銭を切れ』から実践や地に足つけて取り組むコツを入手できる事を見込んで読むことにした。

まずはどうしても共有したい引用を載せていく。

私生活と知的意見が矛盾した場合、その人の私生活ではなく知的意見のほうが無効になる。

タレブ『身銭を切れ』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2019年、kindle334ページより引用。

言葉の脅しでは、弱さやあいまいさ以外の何も伝わらない。もういちど言おう。言葉の脅しは禁物だ。

タレブ『身銭を切れ』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2019年、kindle313ページより引用。

思想は身銭を切らなければならない。ある思想が何の役にも立たなければ、その思想は不合格の烙印を押され、「時」による反証を受けることになる。

タレブ『身銭を切れ』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2019年、kindle268ページより引用。

失うものが多ければ多いほど、その人間は脆くなる

タレブ『身銭を切れ』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2019年、kindle191ページより引用。

“考え”ではなく、”ポートフォリオの中味”を教えろ

タレブ『身銭を切れ』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2019年、kindle121ページより引用。

複雑な解決策を見つけるよう教育を受け、その能力によって選抜され、報酬を受け取っている人々には、あえてシンプルな解決策を実行する動機がない

タレブ『身銭を切れ』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2019年、kindle290ページより引用。

語る者は実践するべきであり、実践する者だけが語るべきである。

タレブ『身銭を切れ』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2019年、kindle63ページより引用。

身銭を切れば物事はシンプルになる。それも、拍子抜けするくらいシンプルに

タレブ『身銭を切れ』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2019年、kindle65ページより引用。

リスクを背負うという極限の状況や集中から得た知識は、ずっとあとまで手元に残る。鋭さこそ失うかもしれないが、誰もその教訓を奪い取ることはできない。

タレブ『身銭を切れ』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2019年、kindle68ページより引用。

教科書で勇気について学んだからといって、今以上に勇敢になれるわけではないのだ。

タレブ『身銭を切れ』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2019年、kindle79ページより引用。

しつこいようだが、人生とは犠牲とリスク・テイクだからだ。リスクを引き受けるという条件のもと、一定の犠牲を払わないかぎり、それを人生とは呼べない。取り返しが利くかどうかにかかわらず、実害をこうむるリスクを背負わない冒険は、冒険とは呼べない。

タレブ『身銭を切れ』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2019年、kindle217ページより引用。

トランプが型破りな話し方をするという事実は、今まで彼に上司がいなかったことを示すシグナルだ。彼には、説得したり、感心させたり、承認を求めたりする必要のある相手がいなかった。雇われ期間の長い人間は、言葉選びにもっと慎重になるはずだ。

タレブ『身銭を切れ』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2019年、kindle218ページより引用。

常に言葉よりも行動を。言葉の前に行動を。不言実行は有言不実行に勝るというのは、不変の真理なのだ。

タレブ『身銭を切れ』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2019年、kindle219ページより引用。

身銭を切るという概念の本質は、人々の発言ではなく行動、つまりその人がどれだけ首をかけているかに注目することだという点を思い出してほしい。あとは「生存」に判断を任せればいい。

タレブ『身銭を切れ』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2019年、kindle391ページより引用。

お飾りの信念と行動につながる信念とでは違いがある。

タレブ『身銭を切れ』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2019年、kindle394ページより引用。

破滅を完全に避けつつも、リスクを愛することはできる。

タレブ『身銭を切れ』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2019年、kindle421ページより引用。

渇きなくして潤いなし、 栄養なくして食事なし、経験なくして教育なし、身銭を切らずして得るものなし。

タレブ『身銭を切れ』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2019年、kindle424ページより引用。


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ごもっともですね。今後も何度も読み直したい文ばかりでした。

次は本書を読み進めていくプロセスで私が思った事を書き綴ったものです。よかったら参考にどうぞ。

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具体的、行動、実践、結果に落とし込むことに手を尽くし切る

知識をはじめ、あらゆるものは地に足がついてないといけない

リスクがないのに意思決定は必要ない

人のせいにしていると学習できない

成果を出せるのは、予測するからではなく、破壊から超回復するから

失敗や破壊を元に方向性を変更し続けることでしかゴールに行き着けない

建設的な方向性は、実践で遭遇するストレス情報を根拠とする消去法でしか明確にならない

餌を撒き散らして、地雷を除去するイメージ

身銭を切って、地に足つけて手を尽くし切るしかない

考えるだけでは行き先がわからなくても、実践すれば一瞬で分かる

実践に取り組めば、すべてがクリアになる

どれだけコンスタントにイシューを特定できるかより、イシューが的中した時にとことん恩恵を受けるとこに努める

身銭を切ると集中力が増す

複雑になればなるほど脆弱なる

共同体への貢献を目的としたリスクや責任を負うとパフォーマンスが上がる

自分のお金で一定の投資をすれば、自立した生活を好きになるだろうし、さらには、間違ったお金の使い方を見分ける直感を養えるはずだ

お金は所詮テクノロジーであって、お金を稼ぐ事と使うことが目的になることはない。そのような状況は恐怖や不安に対して脆弱でガンバリズムなアプローチになっている状態の兆候であるくらいに割り切る。

とりあえず稼ぐが先行している時は、脆弱な状態である

相手がどう行動したかが重要なのであって、どう思ったかを鵜呑みにしない

何も考えないで、実践することだけ考える

どれだけ真剣に考えたかは、その考えをもとにどれだけリスクを冒しているかで判断できる

生き残る事にもっと真剣にコミットする

勇気を持つ事と地に足を着けて考えることはトレードオフではない

お金を稼ぐために商業に徹する。手を尽くし切る。勤めて稼ぎを追求しない。

実世界を渡り歩くスキルを身につける。実践する

必要な細部は『時』が教えてくれる


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少し極端に振り切ってる気もしますが、今の私にはこれくらいの劇薬が必要な気がします。


その他、本来期待していた文脈ではないが、参考になる情報は以下の通りである。




テクノロジーを使い倒す際に、作り手の意図を参考にはするが、従属する必要はない。

科学の本質は、主にプロセスの厳密さ。

体力というのは、その大部分が分布のテール部分(つまり体力の限界近く)で運動を重ねることによって向上するものなのだ。

タレブ『身銭を切れ』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2019年、kindle298ページより引用。

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