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祖母と新幹線で二泊三日の東北旅行に行った。 半日かけて 花巻編

二日目の朝がやってきた。まだこの北国に来て一日という24時間さえ経っていないのだ。時間がゆっくり進んでいく安心感がある。年に数回の大雪になれば雪だるまを作るような地域に住んでいる私にとって、朝窓からの眺めは美しい雪景色だった。本来の予定では六時に起きて、山の上にある神社に参拝に行こうと思っていたのだが普通に発熱で体がだるく、寝ていたら七時である。だらだらしていると後悔してしまうと体を起こして朝食の時間まで散策に出ることにした。祖母は朝風呂に行くようだ。


圧巻の木々の雪は本当に美しくて、気温差の作り出す煌めきに感動した。近くの近所の方々から信仰されている社まで軽い坂を登って行った。参拝を終えて油断していたら大きな木々からドカ雪が落下してきた。
笑っちゃったよねあんまりにも油断していたから 
タバコは心の日曜日というわかるようなわからないようなコピーになぜか心が惹かれた。
お地蔵さんがあるみたいなのでそこまで歩いた。
Googleマップの口コミが絶えて謎になっている射的場もあった。

朝食は部屋食でこりゃまた美味しかった(食レポは割愛)

旅館を発つ


この日の予定は花巻に移動して大沢温泉に宿泊するというものだった。
しかしXを見ると何かおかしい、東北新幹線がちょうど乗車予定の郡山駅でオーバーランしてしまい復旧の目処が立たないというのである。 まじか もし、新幹線を使わずに花巻へ向かうとなると鈍行や高速バスを使うことになり電車を一つと逃してしまえば宿泊予定の温泉にたどり着くことすらできないという最悪のシナリオに頭を悩ませた。
いろいろな策を考えたが、とりあえず予定通り郡山駅に向かい新幹線の復旧を待つことにした。

出発の時というのはあまりにもあっけなく、早く訪れてしまう。祖母が帳場にいる間に私は旅館の写真のクリアファイルを記念に購入した。これでここの風景は私の目でいつでも心に思い浮かばせることができることが嬉しかった。向瀧の方がお見送りと旅館の前で祖母と私の写真を撮ってくれた。 

バスに乗って会津若松駅に向かう。会津若松駅に着いた頃に新幹線の再開が決まったと知った。
往路と同じワンマン常磐西線に1時間揺られ、郡山駅に着いた。

郡山駅
無事で何より

一体何時に来るか分からない新幹線を待つ。時刻表は全くと言っていいほど役に立たず、逆に混乱をもたらしていた。12時ごろ、東京行きのホーム電光掲示板には3時間ほど遅延しているであろう盛岡行きの新幹線があった。向かいのホームの満員らしい東京行きの新幹線を見送ってから数十分後、私たちの待っていた新幹線が来た。 
自由席では乗車率が100を超えていて、立っていた。乗客みんなの不安やイライラが充満しているのが感じられ悲しかった。結局立つ必要のあったのは1区間くらいだったのだけど。

新花巻駅
夕方に撮った駅舎

無事新花巻駅に到着した。駅員さんに新幹線の遅延返金対象に入ると教えてもらったので手続きをした。数時間しか経ってないというのに私たちを安全に輸送してくれたJR東日本のみなさん、ありがとう、、

・宮沢賢治記念館

駅でタクシーに乗せてもらい5分ほど揺られたところにある。下調べで気になっていた、階段をどうしても登りたかったので私だけ下でおろしてもらった。祖母曰く私が降りてから記念館前の駐車場までで200円ほどタクシーのメーターが上がったそうだ()

雨ニモ負ケズ
階段一段に1文字書いてある

あ、め、に、も、ま、け、ず、、 はあはあ

おつかれさまでした!からも何段かある

、、 めちゃめちゃきつい。標高が上がったのもあって、持久走をした後くらい息が上がっていた。
しかしその分、達成感は一入である。

ほら入り口も見えないよ、、

へとへとの私を見かねて祖母はまずお茶にしないかと言ってくれた。

🐈

あの注文の多い料理店の古のコンセプトカフェと言った方が正しいか、山猫軒である。本当は昼食をここで食べたかったものの時間帯的におやつだったのでアップルパイとドリンクをいただいた。

りんごのタルト控えめに言って今までに食べたタルトの中で最高です
おすすめです

その後記念館を見学した。展示内容は見学料相応だったと思う(ちょっと物足りない?)。冬季ということもあって、他施設や広場庭園の見学ができなかったという点が心残りだ。

私たちはスーツケースを新花巻駅の500円コインロッカーで預けていたのだが、記念館では無料の大きなコインロッカーがありました。。ご予定の方々の参考になれば幸いです。

ちなみに展示室にあった朗読音声の流れるスピーカー。天井に設置されており、下の椅子に座ることでドルビーアトムスを遥かに超える立体感と没入感で衝撃だった。

帰りのタクシーの運転手さんが話から花巻の方々は、本当に賢治さんを誇りに思っているんだろうなあと感じた。そして同時に他の偉人の方々にも目を向けてほしいなあと言っていた。運転手さんがかなり方言の強い方だったのだが私たちの無意識の方言もあって全然意思疎通ができていなかったのが異文化交流を見ているようで面白かった。 Wikipedia花巻市より

ずら〜〜

新花巻駅から大沢温泉までは花巻南温泉郷の合同シャトルバスで行く。17時前の便のマイクロバスは人がいっぱいで、花巻駅経由で待機者全員を乗せ切ることができないほどだった。花巻駅のタクシーのおっちゃんが、乗せてくのうちでよければ手伝いましょうかと声をかけていた。二台目が来るらしいので断られていたけれど あったかいね

4軒ほど旅館やホテルを経て、大沢温泉で下車した。私たちの泊まったのは有名な湯治場の自炊館ではなく、モダンな大型温泉旅館の山水閣の方である。
外は真っ暗だった。


川に面した部屋はとても心地が良かった。少し部屋でくつろいでから、自炊部の方の食堂で夕食を食べた。山水閣で夕食付き会席の宿泊プランもあったのだが、完全に私の好みでここの食堂を利用することにしたのである。

とんがりおろし

私はひっつみ汁、祖母はお蕎麦で二人で天ぷらをシェアしていただいた。雑穀入りのひっつみが5枚。とても食べ応えがあって、柑橘の酸味が優しい出汁を引き立てている。美味しかった。
祖母の特技である、誰からも話しかけられるのがここでもはたらいていた。隣の席でカレーの後にざるそばと生ビールを飲んでいた、地元のご夫婦と話を弾ませた。

湯治場の雰囲気も味わったところで温泉の時間だ。
山水閣の大浴場は時間帯が良かったのか、また貸切で使うことができた。しかし私はこの時、体調が出発後で一番悪かったのでほぼ気合いと惰性で動いていた。 9時は目玉の露天風呂、川に迫り出した形が特徴の大沢の湯へ行った。本来混浴の湯なのだが、女性専用の時間帯が設けられている。

吐息を白くするような寒さを全身で感じながらクネクネ廊下を歩き、回廊を歩いていく。
温泉は入ってすぐあった。
更衣室含め既に10人ほどの人で溢れていた。皆、休息と平穏を求めている者同士でひどく落ち着いた空間だった。隣のお姉さんは身を軽く乗り出して雪で冷却されている凍えるような風を感じて、川を眺めていた。 私も同じようにした。風は私の体を押し上げるように触れて、とても良かった。

売店で購入したくるみゆべしを部屋で食べた。初ゆべし、正解だった。

夜は更ける


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