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日記(キーボード/〈20世紀SF〉シリーズ/コールミー・バイ・ノーネーム/あたらしいサハリンの静止点)

仕事の現実逃避にしか文章が書けなくなっている。本当に……? テキストこそが現実なのでは? 仕事こそが幻想なのでは……? どうして俺は休業日に仕事を……?(自宅勤務で手元に社用パソコンにデータがたまってきたので移行させるために出社しただけ)

キーボードについて

外でのテキスト執筆は主にスマホを使っている。パソコンは持ち歩く気がしないのだ。音声入力を用いることもあれば、電車の中で膝にキーボード叩くこともある。そのため、「出先に持ち運び可能なBluetoothキーボード」は個人的に重要である。しかし、一時期色々と秋葉原の家電量販店をハシゴして探してみてもいい感じのものは見つからない。
もちろん持ち運び用のコンパクトなBluetoothキーボードはある。あるのだが、ごく個人的な印象を言えば、端的に「チャチい」のである。持ち運び用のキーボードはコンパクト性を優先されるので、たいていの場合折り畳み式か、極薄軽量、数は多くないがシート式(丸められるようなやつ)。しかし正直、
打鍵したときの手応えが全然ないのである。失礼を承知で言えばおもちゃを扱っている気持ちになる。
そういう用途なら、コンパクトめの高級キーボード、たとえばHHKBあたりとかを使えばいいのではという反応が返ってくるのはよくわかる。わかるが、冷静になってほしい。世の中には持ち運び用キーボードに2万円をぽんと出せるひとばかりではないのである。あと2万円出すならErgoDash買って自作キーボードデビューしたい。

そんなこんなで、色々探した結果、結局いきついたのは10年近く前に販売終了した「小型ストレートキーボード」であった。学生時代に持ち歩いてた思い出の品だ。ときどき接続不良が起きることをのぞけば、外で扱っているときの「打鍵感」がしっかり残るのが気持ちいい。
どういうものかは写真を見てもらった方が早い。この写真に映っているキーボードのうち、下二つが愛用の品。メルカリで2つ買った。

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ちなみに、上側は私用PCで雑に使っているロジクールのK310、別によくも悪くもない(というか私用PCで文章書く機会が少ないので放置している)。真ん中はロジクールのMK470。キーボードの影になった部分に「スマホやタブレットをさしこむスリッド」があるBluetoothキーボードで、自宅のスマホやiPadで文章書くときに丁度いいので重宝している。

さて、個人的に気に入っているのは下の2つである。エレコムのTK-FBP013(白い方)と、その後継であるTK-FBP043(黒い方、こちらは白が壊れた時用の予備)。既に終売している。

何が良いかというと、そのコンパクトさである。指を置いてみた写真からその小ささを感じてもらいたい。

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とにかく、指を動かさなくていいんですよ。このピッチの狭さが安心する。そしてなにより持ち運びやすい。鞄の中で邪魔にならない。勿論邪魔にならないという点だと折りたたみ式キーボードの方に軍配が上がるが、「コンパクトなのに打鍵感に手応えがある」ものだと、今のところ自分はこれしか知らない。
とはいえ、この商品も10年前のもので、Bluetoothも2.0対応とボチボチ古くなりすぎているのではという気もする。似たような商品がそのうち出てくれないかなと思うばかりである。なにせ自作キーボードだとここまでコンパクトな商品は今のところ存在しない筈なので。

〈20世紀SF〉シリーズ完読

〈20世紀SF〉シリーズ全6巻を完読した。面白かったが、1巻目を読み終えたのは2011年。9年前である。嘘……私の加齢、進みすぎ……?
元々本を読むのが速くない上、SF短編は読んだときの情報量が多いのであんまり多読する気持ちにならない。なので1冊読んだらしばらく時間を明ける、みたいなことを繰り返していたらこんなことになった。
1940年~90年の世界SF(主に英米SF)の流れを的確に追っていくのがすばらしい。それはそうと、最終巻(1990年代)のダン・シモンズ「ケンタウルスの死」はどいひーな傑作でビックリしました。読み終わった瞬間割と怒ったんですが、そういう結末にした意図と作品全体の構成がめっちゃくちゃきれいなので「クソ……お前……そんなことが許されると……いや……巧いから許されるのか……?」みたいな感じになる。「デス博士の島、その他の物語」とかを通ったあとにこれをぶつけたくなる気持ちはよくわかります。中村融さんのブログ「SFスキャナー・ダークリー」でもそういうことが書かれていた。

『コールミー・バイ・ノーネーム』

星海社が電子書籍解禁ってことで買わずにいてしまった本があったな→斜線堂さんの本が電書であるやんけしかも百合ってことで読んだ。それはそうと、電子書籍予約注文したと思ったら実際は「発送まで10日くらいかかる物理書籍」を注文していたのに届いてから気づいた。
主人公の大学生世次愛が深夜のゴミ捨て場に倒れている美人(琴葉)を見つけるところから話ははじまり、二人の間で「琴葉の『本当の名前』を当てたら友達になる、それまでの間、二人はつき合う」という約束が交わされる。おそらくは友情すら存在しない段階から恋人同士になった二人の交流を通して、琴葉の抱える名前の秘密(本名ではあるが、ある事情から改名して今の名前になった。その事情とは何かを当てろという趣向)、人となりのつかめない琴葉に引かれていく愛が逆に「友達に戻る」ことを怖れていくという転倒、その辺りが巧いのだけれど、なにより、なんだろうな、「刺さる」一文が連続するのでマジでツボに入ってしまった。村上春樹が好きなせいで誰とでも寝る女に脆弱性を抱えている可能性はある。
あと、これは『恋に至る病』のときも思ったんですが、根幹にあるネタはそれほど珍しくないもので(インターネッターなら耳にしたことがあるはずのネタ)(インターネッターとは?)、そのネタがキャラクターにとって重要な・無視できないものとして位置づけられている・つまりネタを十全に活かしてるのが不思議な読み味だった。

あたらしいKindleの静止点

『あたらしいサハリンの静止点』の電子書籍版をKindleで配信開始しました。Kindle Unlimitedもあるよ。

3月末に紙で印刷した同人誌が売り切れたタイミングでどうしよっかという話は出ていたんですが、そのときは「大体届いたと思うし、既に発表した作品にこだわりつづけるよりあたらしい作品を発表していった方がいいのでは?」と思い、3人の中でも無理しなくて出さなくても良いのではという話になったのでスルーしてたんですよね。でも8月くらいにエゴサしてたら「『あたらしいサハリンの静止点』を読みたい」という意見を見かけたので、いっちょ出してみるかと思いやりました。
それにしてもInDesignのe-pub出力機能がどんな文だろうとゴミに変えて垂れ流すだけの産業廃棄物としか言いようがない代物だったのでAdobeはマジで反省してほしい。表紙画像をIllustratorファイルで配置しただけで本文自体出力されなくなるとは誰も想定しとらんわ。InDesignはidmlというマークアップ言語に還元できるはずで、e-pubは特定フォーマットでまとめたhtmlファイル群をzip化しただけの代物で、マークアップ言語同士のidmlとhtml同士なら理論上変換が容易なはずじゃないですか。そんなことはないんですよね…。
最終的に「InDesignの本文ファイルをアウトラインエディタ(ワードとか一太郎とか)にコピペ」→「htmlファイルで出力」→「htmlタグごとhtmlファイルに貼りつけ」→「書式情報を全部手動で入力(一括置換)してInDesignファイルと称号」みたいな作業をすることになった。
なお、htmlとCSSの読み書きが最低限できるなら、KDP作るのはSigilというe-pubエディタが一番楽です。おすすめ。プレビューもついてくる。
あとは、KDP制作ガイドが存在するのでそれを一読するのもおすすめする。
以下amazonのpdf日本語ガイド。

というわけであたらしいKindleの静止点をよろしくお願いします。

ちなみに織戸さんや千葉さんの所属するストレンジ・フィクションズの新刊も出るらしいです。

織戸さんの新作もあるよ。千葉さんの新作はパージされたらしい……。

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