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「三段切れ」と俳句の鑑賞について(2023.11.25 追記・補足)
三段切れ?
俳句幼稚園のコメント欄でよく見かけるけど、何ぞや?
なんとなくわかってはいるけれど、説明まではできない。
そう思っている方も少なくないと思います。
ここ数日、私も、この三段切れで、あれこれ悩み、そこそこ解決したので忘れないうちに記事にすることにしました。
(2023.11.25 追記と補足をいたしました)
三段切れとは?
まずは、私が三段切れって何ですか?の質問に対し、よく利用するサイトでの簡単な説明を。
三段切れ さんだんぎれ
三句体の5・7・5が、いずれも切れたかたちで、一章中に二つの空間を持つ表現形式。一般的には、わずか十七音の詩形では、ポツン、ポツンとリズム感のない味気ないものとなる。
「いずれも切れたかたち」の例を私の句からみっつほど。
👇
① 高圧線 / 続く国道 / 秋旱
名詞 名詞
(こうあつせんつづくこくどうあきひでり)
追記(2023.11.25)
①については、
高圧線(の or が)続く国道 / 秋旱
上五の後の助詞が省略されている、と考えることができるので、三段切れではない、と解釈できます。
➁ 竹ぼうき / キキになりきる / 秋彼岸
名詞 動詞終止形
(たけぼうきききになりきるあきひがん)
追記(2023.11.25)
➁については、
中七の動詞「なりきる」が動詞ラ行四段活用なので、終止形と連体形がどちらも同じ「なりきる」。
ですから、連体形ととらえ秋彼岸に掛かる、と解釈でき、三段切れではありません。
③ 春めくや / レースの靴下 / 赤き靴
切れ字 名詞
(はるめくやれーすのくつしたあかきくつ)
追記(2023.22.25)
こちらは、上五が切字「や」でしっかりと切れている後、中七も名詞止(体言止)なので完全に三段切れです。
☆ 名詞・終止形・切れ字 に注意する。
これは三段切れか?
私の句
昨朝詠んだ、季語「鞦韆」の句。
私は正直、これが三段切れになるのか否か、迷ってしまいました。
大地蹴り鞦韆たわみ宙を捕る
冷静に考えてみると
大地蹴り / 鞦韆たわみ / 宙を捕る
連用形 連用形
と共に連用形なのでセーフ、三段切れではないのだけれども、音だけに頼ると判断が難しかったりします。
以下、アポロさんのコメントがとても分かりやすいので紹介いたします。
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補足(2023.11.25)
大地蹴り、鞦韆たわみ、宙を捕る。(連用形は読点)
大地蹴る。鞦韆たわむ。宙を捕る。(終止形は句点)
上五、中七に読点、句点どちらがつくか、は三段切れの判断のひとつとしてわかりやすいです。
chiyoちゃんの句
ではこちらの御句はいかに?
雉つがいトコトコ寄せる赤が茶へ
雉つがい / トコトコ寄せる / 赤が茶へ
名詞 動詞終止形
追記(2023.11.15)
「寄せる」はサ行下一段活用なので、終止形・連体形ともに「寄せる」。従って、寄せる赤、と赤に掛かるともとれますので、三段切れではないと解釈できます。(以下のアポロさんの説明と被ります)
このままだと三段切れですが、アポロさん曰く「寄せる赤」との解釈。
アポロさんの鑑賞では
雉つがいトコトコ / 寄せる赤が茶へ
ここの区切りで読めるということ。
575でありながら、548の破調風という捉え方ができるということです。
三段切れではないわけです。
こうなってくると、単に活用や音の切れだけでなく、前の言葉がどのように次の句へ掛かるか、そのことにも気をつける必要があるということですね。
鮎太さんの句
こちらはどうでしょうか?
春遅々と天守居座る老雀
こちらは「と」という助詞がどこに係るか、また「座る」がどこに係るかによるわけですが、意味合い的に三段切れではありませんね。
三段切れで気を付けたいこと
少々、難しいことにまで発展してしまいました。
かえってこんがらがってしまった方もいらっしゃるかなあ、と少し心配ですが、最後に私の今の考えを纏めてみます。
・名詞、名詞、の句は、音的にも意味合いとしてもポツポツと切れてしまう可能性が非常に高いことを念頭におく。
・三段切れには、自分がどうしても詠みたい景には、使ったほうが効果が出る、という場合もある。
・俳句を詠むときは、自分がどう詠みたいか、どの言葉をどう使うかをしっかりと考える必要がある。
追記(2023.11.25)
・三段切れが悪い、と頭から決めつける必要は決してない。
今のところ、以上三点四点です。
質問などがあればコメント欄へお願いします🎵
場合によっては、こちらの記事への加筆もあるかもしれません。(2023.11.25加筆済み)
よろしくお願いいたします。
園医のつるさまが、以下の記事にて、別視点での「三段切れ」についての考察してくださいました。
例を挙げての丁寧な説明です。ぜひ参考になさってください。
俳句の鑑賞について
アポロさんより、俳句鑑賞についてのお考えを伺いました。
俳句鑑賞では「好意的に読むこと」を推奨するのがよいと思っています。
chiyoちゃんの雉の句についてもだし「竹ぼうき」の句についても
竹ぼうき / キキになりきる秋彼岸
と読めば三段切れとは言えない。
類想句についても、好意的に考えています。
特に入門俳句では、先人に近い句を作れたなら
「同じように感じたんだね!」と拍手したくなりますよね。
凡作なら褒めすぎても良くないでしょうが、名作みたいな風格ある類想句にたどり着いたなら、それはセンスがあるといえますね!
俳句幼稚園では、できるだけそれぞれの方が、自由に楽しく俳句を詠めるようにと、連携をしっかりとりながらすすめています。
質問などは、コメント欄に遠慮なくお願いします!
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