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SDGsで生きづらくなったけど、それでいい

最近私の心を惑わせ、不眠を作り出しているもはや恋敵のような企業がある。
「SHEIN」という多くの同世代がお世話になっているだろう中国最大大手のファストファッションブランドだ。2021年度の売り上げは2兆円を超えたらしく、他大手のユニクロと比較しても実店舗を持たず100%オンラインで回している点などから利益率が物凄いことになっているそうだ。
確かに私の友達でSHEINを知らない人はあまりいない程浸透しているし、コスメや洋服を数百円単位という脅威のコスパで購入できるありがたいブランドであることには違いない。

私はこの企業について考えていると、コプチャンの大食い動画を見たときのような胸焼けがして、気分が悪くなって気づいたら朝になっているのだ。すごい。

なぜこの企業にここまで執着しているのかというと、大量生産、大量消費という点をのぞいてSHEINは今の時代のSDGsと呼ばれるサステナブルや人権尊重といった点から思い切り逆行しているのだ。すごい。え、ゴールそっちじゃないよ?!戻ってきてください?!と呼び戻したくなる。

SHEINのやばいポイントは色々あるが、色々とあげられるのが劣悪な環境での労働力の安価な搾取、デザインの盗用、大量生産による環境汚染など、だ。

しかもインフルエンサーが嬉嬉として爆買いし、着れないものがある前提で「当たり外れ」企画を組むくらいだからたちが悪い。

この問題について、残念ながら同世代間で絶妙に声に出しづらい雰囲気がある。なぜならあまりにも身近だからだ。「SHEINってね、こういう問題があって、、」とでも言おうものなら、普段愛用してる友人たちや同世代からしたらウザがられるに違いないのだ。私はENFPなので自分の意見を発信するのが好きな性格だし社会問題についてもSNSで打ち明ける方だが、これに関しては該当者が多すぎて結構怖い。

それに、じゃあ貴様は見に纏うもの、口に入れるものの生産ルートや企業のコンプライアンスなど全て完璧に把握し、判断できているのか?と言われれば全くそんなことはない。SHEINは多くのデザイナーや労働力を搾取する企業のおそらく先頭あたりを暴走機関車の如く走っているが、SHEINが目立ち実態が暴露されているだけで他にも山ほど似たような企業はあるだろう。
さらに私が一番私が辛いと思うのは、今の日本の若者世代は平均的にお金がないのだ。私は自分の大学の学費を親に払ってもらっていて、バイト代は基本自分のお小遣いや貯金に回すことのできる、身体的にも精神的にもそれを続けられる状況なので、圧倒的安さとトレンド力のあるSHEIN以外の選択肢をとる余裕がある。もしもっと経済的に逼迫された状況で、それでも少しでもおしゃれを楽しみたいと思ったらSHEINは夢のようなブランドだ。
自分の努力とは無関係にSHEINを選択しない自由、特権を与えられている私が偉そうに「SHEINは問題があるからやったらだめ!」と言っていいのか、それこそ日が登るまで考え続けている。

しかし、私は文化的な人間として、民主主義国家に属する人間として自分の考えが未熟でも、恥ずかしくても、的外れであっても言っていい、その権利があるはずだし、自分の特権はこういうことに声をあげることに使いたいからだ。

SDGsって、知れば知るほど、悩むほど、めんどくさくてしんどくて、絶望してしまうこともある、生きづらくなる。趣味や日々の息抜きに罪悪感を感じるようになる。私だけこんなに悩んだって、なんの意味があるんだと無力感も感じる。
でも、きっとそういうものなんだと思う。そして、知ってから自分の選択肢を、人生の路線変更にどう舵を切るのかが大切なんだ。

だって、今のままの社会じゃ地球も、私達の生活も保たないから。
残念ながら、SHEINでなくとも、私たちの世代は服やコスメを買ったり消費行動を取ることに罪悪感を抱かざるを得ないくらいには資源が足りていない。

そもそも、「身近な問題すぎて声をあげづらい」って冷静に考えると意味がわからない。逆ならわかるけども。
SHEINに関しては、買うこと自体は身近だけれど、被害にあっている人々の多くは遠い途上国の労働者だったり、曇りガラスの向こうなのかもしれない。実際は日本人のデザイナーが盗用被害にあって告発している件も新しいのだが。

見失ってはいけないこと、それはいつでも完璧に気をつけることはできないと自覚すること、だけども知った時自分の行動や考えをどれだけ変えられるかであると私は思う。




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