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避暑

渓流は木々が日差しを遮り、水も冷んやりとしていて夏はさわやかに釣りを楽しめる。
今回は雨の後の水量も濁りもちょうど良く、おかげでいつもより魚と遊ぶことができた。

退渓すると、強い日差しがアスファルトに照り返し、先程までの涼しさが嘘のように暑かった。
茹だるような暑さに麦茶を飲みながら車で帰り道を走る。
クーラーがあまり効かないので窓を全開にしてみるも、熱風が体力を奪っていった。
これはいけない。どうしたものかと外を見ていたら、コンビニが目に飛び込んだ。

そうだ、アイスを食べよう。

思いついたらすぐにコンビニへハンドルを動かしていた。
店内のクーラーに体が癒される。思った以上に体力を消耗していたようだった。
ゆっくりとアイスのコーナーへ向かい商品を眺める。疲れた体にはどれもが魅力的に見えて、なかなか決められない。
ぐるぐると回りながらやっとこれだと決めて会計をする。
いそいそと日陰に待ってくれている車に戻り、窓を全開にしてアイスの蓋をベリベリと剥がした。
凍って少し硬くなっているのを木のスプーンでザクザク掘って掬い食べる。
冷んやりとした食感が口の中いっぱいに広がって、よく冷えたビールを飲んだみたいに「かぁ〜!」と声を出していた。
一口、一口じっくりと味わって食べるたび、心なしか体がクールダウンしていくような気がした。
アイスがこんなに体に染み渡るものだとは思わなかった。

容器が空になった頃にはすっかり元気になって、目の前に広がる青空と入道雲をぼんやりと眺めていた。

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