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魚石

日を追うごとに冷たくなっていく風に、そろそろ釣り納めにしよう。
小春日和の週末、川へと車を走らせた。

まるで貸し切りみたいに人がいなかった。紅葉を眺めながら竿を出す。
ここ数日の中では温かい日だけど、水辺はひんやりする。
何度か粘っていたら、一度だけ当たりが来た。
グッと引っ張られる感覚にゆっくりリールを巻いていく。そろそろタモ網を出そうというタイミングで魚は逃げてしまった。
一瞬見えた姿は白く綺麗な魚だった。

気がつくと夕暮れ。
川も山も赤く染まり、肌寒さも厳しくなってきた。
そろそろ終わりにしようと竿を片づける。

帰り道、足元に魚のような石が転がっていた。
手にしてみると、いっそう魚みたいに見えた。
「また来年ね。」と言っているような気がした。

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