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忙しい人のための『洋書和訳&超訳』 シリーズ⑤ 原題:『Grain Brain』 by David Perlmutter MD with Kristin Loberg

こんにちは!さて、今日も忙しい人のための『洋書和訳&超訳』シリーズ⑤ということでnote記事を書いていきたいと思います!
なお、今回もまた健康・食事・栄養のジャンルの本をチョイスしていますが、私は自己紹介noteに書いているように月100冊~300冊の多様なジャンルの本を読みますので、今後は他のジャンルの洋書もこのコンテンツを通して読者の皆さんにお届けしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします😊

《基本的にこのコンテンツは今のところは無料で継続的に提供していこうと考えていますので、是非みなさん勉強になったり、気に入っていただけたり、良いと思ったら拡散していただいたり「いいね」「フォロー」など、よろしくお願いいたします😆🙌 》

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忙しい人のための『洋書和訳&超訳シリーズ』の今までのnoteのまとめはこちらから👇

それではさっそく内容に入っていきたいと思います!

原題:Grain Brain:The Surprising Truth about Wheat, Carbs, and Sugar-Your Brain's Silent Killers by David Perlmutter(直訳:穀物脳 小麦、炭水化物、砂糖の驚くべき真実-あなたの脳のサイレントキラー/デイビッド・パールマター、クリスティン・ローバーグ)

①イントロダクション:炭水化物制限は健康にいい!しかし、それだけではない?

炭水化物を減らすことで体重を減らそうとする人が増えていますが、実は炭水化物は脳への損傷や糖尿病、アルツハイマー病の原因にもなる恐れがあります。この本では、オランダの飢饉によってセリアック病(※注1)が発見されたこと、脳を成長させる方法、そして先祖の代からの食事の重要性について説明しています。本書を読むことで炭水化物を減らすことが健康に良いということだけではなく、実は炭水化物には危険性があることを知ることができます。

※注1 セリアック病は、小麦・大麦・ライ麦などに含まれるタンパク質の一種であるグルテンに対する免疫反応が引き金となり、腹痛、下痢、ガスなどの症状を呈する自己免疫疾患。セリアック病により消化管のがんのリスクが高まることが指摘されている。
<参考>
https://kurihama.hosp.go.jp/hospital/section/ibs_info-2022-05.html

②炎症は私たちの食生活と密接に関係しており、多くの病気につながる可能性がある

ストレスや炎症によって体が防御反応を起こすと、炎症が起こり、腫れや痛みとして現れます。さらに、それが長期間続くと有害物質と戦うための有毒化学物質が生成され、健康な細胞を損傷し、動脈疾患やアルツハイマーなどの慢性疾患を引き起こす可能性があります。また、糖尿病患者も深刻な炎症を示すことがあり、高血糖によってインスリンの感受性が低下し、慢性的な炎症を引き起こすことがあります。このため、アルツハイマーと糖尿病の関係については研究が進んでおり、アルツハイマーは「3型糖尿病(※注2)」とも呼ばれています。

※注2 最近ではアルツハイマー型認知症を「3型糖尿病」と呼ばれるようになっていますが、これは脳の神経細胞が糖化反応により不可逆な変性を起こしているからと考えられている。
<参考>
https://www.lukesashiya.com/blog/2016/09/3.html

③小麦製品は神経系を損なう炎症性成分を含んでいる

パスタやバゲットといった小麦や穀物製品が脳の障害を引き起こす可能性があることは信じられないかもしれませんが、グルテンと呼ばれる危険なタンパク質が含まれており、健康上の問題を引き起こすことがあります。グルテンによる一般的な健康問題は、小腸での極端なグルテン感受性によるセリアック病です。セリアック病ではない人でもグルテンに対しては敏感であることがあり、神経学的にも影響を与える可能性があります。小麦やグルテンを中心に血糖バランスやグルテン感受性、炎症についての議論が必要です。健康的だとされる全粒粉パンや他の小麦製品でも体や脳に悪影響を与える可能性があるため注意が必要です。

④ 脂肪とコレステロールは実は脳にとって健康的である

脂肪と特にコレステロールは脳にとっては実は健康的であり、多くの炭水化物を摂取しなくても健康的に暮らすことができます。2012年のある研究によると、健康的な脂肪を摂取する人々は、認知障害の前駆症状である軽度の認知障害を発症するリスクが42%低く、炭水化物を多く摂取する人々はそのリスクが4倍高くなることがわかりました。また、コレステロールは高コレステロール食品から摂取しても、実際のコレステロール値に影響を与えず、高コレステロールと心臓疾患との間に相関関係があるわけではありません。我々の進化は脂肪の摂取に基づいており、過剰な炭水化物を含む食事と低コレステロールの食事を維持することは、体に危機感を与えてコレステロールを過剰に生成する可能性があります。

⑤ 砂糖は脳を縮小させ、認知機能を損なう可能性がある

砂糖は、内臓器官や脳など、身体全体に危険をもたらすことが分かっています。果物やはちみつに天然に含まれる果糖は、「最も太りやすい糖質」として知られており、加工された製品に多く含まれるため、摂取量が多くなります。果物はジュースなどに加工すると食物繊維が失われますが、しかし、多くの砂糖が含まれます。また、果糖は即座に血糖値やインスリンに影響はありませんが、長期的にはインスリン抵抗性を引き起こす可能性があります。このような糖質(およびその他の炭水化物全般)は、体内で最悪の種類の脂肪である内臓脂肪に変化します。内臓脂肪は健康にとって最も悪影響を及ぼすもので、脳に直接的に害を及ぼし、認知機能を損なうことがあります。ある研究によると、お腹の大きな人ほど海馬が小さく、記憶力が低下することがわかっています。ですので、適切な食生活を実践することは、将来的に記憶力を向上させることに繋がります。

⑥ヘルシーな食事は認知機能の向上につながる

健康的な食事は、脳がより多くのニューロンの生成を引き起こし、認知機能を向上させることができます。認知機能の低下は、加齢とともに不可避のものであると考えられていますが、これは単に誤りです。現代のライフスタイルと進化の不一致から多くの一般的な疾患が発生するということがわかっていますが、実際にはDNAは変化し、元の形に戻ることができます。さらに、食事、ストレス、運動、睡眠、人間関係などのライフスタイルが、遺伝子活性には重要な影響を与えることがわかっています。また、DNAは新しい脳の神経細胞の成長を制御しています。このプロセスは神経発生と呼ばれ、BDNF(脳由来神経栄養因子)というタンパク質が重要な役割を果たします。BDNFは既存のニューロンを保護し、互いに接続するように促し、カロリー制限によってDNAがBDNFをより多く生産するように促すことができます。したがって、健康的な脳を維持するためには、砂糖の摂取量を減らすことが重要になります。

⑦砂糖とグルテンが一般的な行動や心理障害に影響を与える

炭水化物は炎症を引き起こし、認知症のリスクを高めるだけでなく、ADHD、不安障害、トゥレット症候群(※注3)、片頭痛、さらには自閉症などの神経疾患とも関連しています。グルテン感受性が高い人々は、しばしば不安やうつ病に陥りやすく、サイトカイン(※注4)というタンパク質の作用により、セロトニンなどの重要な神経伝達物質の生成を阻害されるため、幸福感を感じにくくなります。グルテンを避けることで、ADHDや不安障害の症状が軽減されることもあります。薬物治療だけでなく、食事の改善によって解決することもあるので注意が必要です。

※注3 トゥレット症候群(TS)は、音声チックを伴い複数の運動チックが一年以上持続する精神神経疾患のこと。また、チックとは自分の意志とは関係なく、体のどこかが突然繰り返し動いてしまう症状のこと。
<参考>
https://www.nanbyou.or.jp/entry/856
※注4 サイトカインは、主に免疫細胞から分泌される低分子のタンパク質で、細胞間の情報伝達の役割を担っている。
<参考>
https://institute.yakult.co.jp/dictionary/word_5443.php

⑧ 断食とケトン体の効果

正しく実施する場合、断食は体内のデトックスを促進し、炎症を減らし、健康的な抗酸化物質の生成を増やすことができます。また、断食は、人間の脳が他の哺乳動物の脳とは異なる特徴を持っているため、栄養が不足した際には、別のエネルギー源に変えることができます。他にも、断食によって脳機能を向上させることもできます。また、ケトン体は脳にとって重要なエネルギー源であり、断食以外でもケトン体を多く含む食事を摂取することで脳機能の改善が期待できます。ケトン体を多く含む食事としては、ココナッツオイルなどのケトン体を含む高脂質の食事があり、ケトン体はエネルギー源としてブドウ糖よりも効率的であるため、心臓や脳の機能も向上します。さらに、ケトン体はパーキンソン病やアルツハイマー病、ALS、自閉症の治療法としても有望視されています。ケトン体を含むサプリメントとしては、DHA、レスベラトロール、ウコン、プロバイオティクス、アルファリポ酸、ビタミンDなどがあります。

⑨ 運動が脳に与える健康効果

身体を動かすことは、散歩などの単純な活動であっても脳にとっては非常に健康的です。有酸素運動は寿命を延ばす遺伝子を活性化し、脳内で新しい神経細胞を作るBDNFをコードする遺伝子をターゲットにします。実際に脳がパワフルな大きな理由には運動が関わっています。運動によって、脳への栄養素の供給が促進され、細胞の成長と維持に役立ち、炎症の抑制や記憶力の向上、そしてBDNFレベルの増加ももたらされます。年配の男女のグループに歩行プログラムを割り当てた2011年のある研究では、歩く人たちの脳の一部である海馬が大きくなり、血液中のBDNFレベルが高くなることが示されました。一方、ストレッチを行ったグループは脳の容積が低下し、認知テストでも苦戦しました。つまり、日々心臓を動かす何かをすることで、脳は確実に恩恵を受けることができます。

⑩ 睡眠は脳の劣化を防ぎ、心身を健康に保つ重要な要素である

睡眠は体内のほぼすべてのシステムや臓器、特に脳を改善するため、良質な睡眠は重要です。適切な睡眠は、私たちの栄養ニーズ、代謝の速度、体重の増減、免疫力の強化、創造性に影響を与えます。睡眠不足は、ストレスや炎症、免疫、代謝に関わる711の遺伝子機能を変化させ、レプチンなどの重要なホルモンに影響を与えます。レプチンは、私たちのエネルギーバランスを調整し、飢餓をコントロールする役割がありますが、睡眠不足によって減少するため、カロリーが高く炭水化物が多い食べ物を欲するようになります。しかし、レプチンを安定させるのは良質な睡眠だけであり、健康な体と心を維持するためには十分な睡眠が必要です。

⑪最終的なまとめ

本書の要点は、コレステロールや他の栄養補助食品を含む「脂肪」は脳の健康と強さに役立ちますが、その一方で、「炭水化物」は恐ろしいほど害をもたらすということです。よって、私たちの食事やライフスタイルの選択は、心の健康にも大きな影響を与えるため、十分な睡眠をとり、運動をし、低炭水化物・高脂肪の食事を心がけることが重要です。実践的なアドバイスとしては、グルテン感受性の検査を受けることを推奨します。グルテン感受性には偏頭痛、ADHD、うつ病、不安などの深刻な身体的および心理的な問題があるため、脳の障害に苦しんでいる場合、グルテンが原因のせいで薬が効かない可能性があるため、検査を受けることが重要です。

以上が本日の内容です!本日のご紹介した書籍では、炭水化物、砂糖、グルテン、脂肪などに対する食事の知識に加えて運動と睡眠の重要性も改めて学ぶことができましたね!今回学んだ内容が読者の皆様の健康なライフスタイルに少しでもお役に立てれば嬉しいです😊
ここまでお読みいただきありがとうございました!🥳

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