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忙しい人のための『洋書和訳&超訳』 シリーズ⑥ 原題:『In Defense of Food』 by Michael Pollan

こんばんは!今日も忙しい人のための『洋書和訳&超訳』シリーズ⑥ということでnoteを書いていきたいと思います!

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なお、このnoteもなるべく読みやすくまとめようと構成や文章の翻訳の表現を考えたのですが、内容の専門性は高めということもあり、結構まとめるのに苦労しました🙏なので、普段よりも文字数が多くなってしまいましたが、その分だいぶ読みやすく有益な情報も盛りだくさんにできた自信はあるので普段の記事よりも有益になっていると思いますので、是非あきらめずに付いてきていただいて最後までお読みいただければと思います!いつもありがとうございます😆

原題:In Defense of Food: An Eater's Manifesto by Michael Pollan(直訳:食の防衛 食べる人のマニフェスト/マイケル・ポーラン)

①イントロダクション:栄養素よりも食事そのものに注目することが大切な理由

過去50年間で栄養に基づく食べ物の選択方法のひとつである「栄養学」が発展し、加工食品では本来の栄養素が取り除かれ、「健康的」として販売されるようになりました。しかし、この西洋化した食事は私たちの健康に大きな悪影響を与え、慢性的な心臓病の原因となっています。また、栄養学の普及により、「本当に健康的な食品」と「それをただ謳うだけの健康食品」を見分けることが難しくなりました。しかし、私たちは伝統的で健康的な食生活を取り戻すことができ、食べ物そのものに注目すべきです。この本を読めば、現代の食事アドバイスが根拠不十分である理由、食べ物ではなく栄養素について話すようになった理由、曾祖母が食べていたもの以外は食べるべきではない理由を知ることができます。

②「栄養素」という言葉が食事に取って代わった理由

20世紀後半、食品業界とアメリカ政府は、食品から栄養素への焦点を移しました。脂肪やコレステロールの消費が心臓病の原因だと考える科学者たちが現れ、1968年にはアメリカ政府が「栄養と人間欲求における合衆国上院特別委員会(※注1)」を設立し、1977年に「アメリカの食事目標(英:The Dietary Goals for the United States)(※注2)」という報告書を発表しました。この報告書は、脂質仮説に基づいており、人々が肉や乳製品を減らすことを勧めていました。しかし、委員長であるジョージ・マクガヴァンは多数の牧場を所有していたために、人々が赤身肉を摂取しないように勧めることは、彼の利益と強力な食品業界の利益の両方にとって損害となることがわかっていたので、結果的に、報告書の勧告は「飽和脂肪酸の摂取を減らすように、赤身肉、鶏肉、魚を選びなさい」と変更されました。こうして、食事についての議論は、どのような食品を摂取すべきかではなく、「栄養素の観点」から健康的な食事について話すようになりました。

※注1 栄養と人間欲求における合衆国上院特別委員会(United States Senate Select Committee on Nutrition and Human Needs)は、1968-1977年に存在したアメリカ合宿国上院の特別委員会。 委員長のジョージ・マクガヴァンに因み、マクガヴァン委員会(McGovern committee)とも呼ばれる
<参考>
https://www.weblio.jp/content/United+States+Senate+Select+Committee+on+Nutrition+and+Human+Needs

※注2 1977年2月、マクガバン委員会はこの年までに何度も公聴会を開き、そのまとめを「米国の食事目標」(英:Dietary Goals for the United States)として報告する。これはマクガバン報告、マクガバンレポートとも呼ばれる。これにより、病気にならないための食生活の目標が6つ設定された。  

<病気にならないための食生活の目標 6つ>
①炭水化物の比率を(全カロリーの)55-60%に増やす
②現在40%の脂質を30%に減らす 飽和脂肪酸を10%に減らす
③多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸を10%にする
④コレステロールを1日300mgに減らす
⑤砂糖を15%に減らす
⑥塩分を3gに減らす
<参考>
https://www.weblio.jp/wkpja/content/%E9%A3%9F%E7%94%9F%E6%B4%BB%E6%8C%87%E9%87%9D_%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB

③栄養素によって食品が健康的であるかどうかを判断することは実際に健康かどうかの判断に対して誤解を生む

スーパーマーケットでは、健康的な選択肢とされている低炭水化物パスタ(英:low-carb pasta)と模造されたパスタ(英:imitation pasta)があります。しかし、両方とも実際のパスタとは異なり、高度に加工された模造品です。これらは栄養学者による解釈が必要であるため、私たちは食品を判断するためにプロの助けを必要としており、食品の栄養価だけでなく、その食品の実際の内容にも注意を払わなければ、栄養価が高くても加工食品を「健康的」だと誤解する可能性があります。また、加工された模造品食品が「健康的」とされる時代に入ったのは、模造された食品に「模造(英:imitation)」と表示することが義務付けられた法律が1973年に改正されたからなのです。

④単なる仮説であった「米国の食事目標」が食品科学の黄金期をもたらした

1977年の「米国の食事目標」は、根拠のない仮説に基づいて作成されたものであり、その後の食品科学の発展はこの目標によって促進されました。低脂肪、ノンコレステロール、高食物繊維のラベルが現れ、加工食品が人々の食卓に加わりました。栄養学的なアプローチは牛肉や豚にも適用され、低脂肪食品の一部とされました。しかし、この過程で本来は健康的な食品であるにも関わらず、人々の注目を集めることのできなかったニンジンやバナナ、ジャガイモなどの自然な食品は無視されました。健康的な栄養素を加えることで製品に「健康的」な印象を与えることはできましたが、結局は自然の健康的な食品が無視されてしまったのです。このように、栄養学は食品産業にとっては良いことかもしれないのですが、人々の健康にとって良いことなのかどうかは疑わしいのです。

⑤ 「栄養主義」による健康志向の食生活は、実際の健康増進にはつながらない

科学的なアプローチで食事をする「栄養主義」は、食べることの喜びを犠牲にしてしまいます。栄養学は、私たちに何を食べるべきか、何を避けるべきかを教えてはくれますが、味覚については優先されてはいないのです。また、低脂肪製品が増えたことで、肥満と糖尿病が増加しました。栄養士のアドバイスで、私たちは脂肪を炭水化物と交換しますが、炭水化物は代謝を阻害し、空腹感を増大させ、過食の原因となってしまうのです。このように、食の選択を科学的にすることは、食品の文化的な起源や歴史を奪っています。また、1969年以来の心臓病の患者の大幅減少と心臓発作の減少数の停滞は食事に起因するのではなく、医療の進歩が健康増進に関与していることが示唆されており、私たちは食事に関しては新しい考え方が必要です。

⑥西洋食が健康悪化の主な原因である

西洋の食事の大部分は加工食品で構成されています。精製された砂糖や小麦粉が含まれ、果物、野菜、全粒穀物が十分ではないため、健康悪化の主な原因となっています。世界各地で行われた研究によれば、西洋食を避ける人々は健康リスクも避けることができることがわかっています。また、栄養学研究者のケリン・オデアによる1980年代の実験では、10人のアボリジニが西洋食に移行する前の食生活に戻ったところ、健康状態が大幅に改善されたことが示されています。このように、病気の発症のリスクを減らすためには、栄養素よりも食生活の変化が重要です。

⑦食べ物と健康は生態系との関係性から考える必要がある

私たちは、食を動物や植物などの生態系との関係として、また健康をその産物として考える必要があります。ウェストン・プライス博士は、良好な健康状態を保つ人々の共通要因は、動物からの新鮮な食品と栄養豊富な土壌からの植物であると結論づけました。しかし、現代の西洋式食品は、工業化されたプロセスによって生産されているため、食品の健康性に影響する土壌や産地についてほとんど情報を持っていません。そのため、食物連鎖における各つながりとその関係性を考え、個人の健康は食物連鎖全体の健康とは切り離せないということを認識する必要があります。

⑧ 工業型農業と精製食品の影響

近年、食品生産が工業化されるにつれ、化学的・生物学的に単純化された精製食品が増え、栄養価が低下しています。精製食品は長期保存のために化学的な処理によって栄養素が除去されます。また、栄養素が追加されることもありますが、それは食品科学的に重要であると認識されている一部の栄養素にすぎません。私たちの健康的な食生活には質の高い食品が必要であるため、1940年にはりんごを1個で摂取できた鉄分の量が、今日では同量を摂取するのに、りんごが3個も必要になっていると示す研究もあります。また、小麦から精製した栄養価のない白い小麦粉の使用が広まるにつれ、ビタミンの欠乏によるペラグラ(※注3)や脚気(※注4)などの病気が蔓延しました。一方、生成された炭水化物ではなく全粒粉を食べることは、糖尿病や心臓病のリスクを減らすことは何年も前から科学者たちには知られていますが、これは西洋の食生活ではまだ十分に認識されていないのです。

※注3 ペラグラとは、ビタミンB3(ナイアシン)欠乏によって生じる病気です。 症状としては日光過敏症、消化器症状(嘔気、便秘、下痢)、舌と口腔内の口内炎、疲労、不眠、脳症などが生じる。
<参考>
https://ubie.app/lp/search/pellagra-d756
※注4 脚気(かっけ)は、ビタミンBが不足して起こる疾患で、全身の倦怠感、食欲不振、足のむくみやしびれなどの症状があらわれる。古くは江戸から昭和初期まで多くの死者を出したが、ビタミンという栄養素について研究が進んだ現在では脚気にかかる人はほとんどみられなくなっている。
<参考>
https://kawamoto.clinic/diseases/1525.html

⑨西洋の食事からの脱却と『食文化(英:food culture)』への回帰

西洋式の食事が引き起こす慢性疾患に悩まされる人々が増えている現代において、食文化(英:food culture)に戻ることが重要です。産業化された食品が導入されたことで、食文化は破壊され、栄養学的なアプローチが主流となり、不健康な西洋式の食事が浸透してしまいました。食品産業は西洋式の食事に代わるものを模索する代わりに、西洋式の食事の欠陥を説明する唯一の「問題の栄養素」を見つける新しい理論を周期的に作り出してきました。そして、それぞれの理論に応じて新しい製品を生産しています。
また、新しい理論は健康産業にも利益をもたらし、糖尿病、高血圧、コレステロールなどの病気を管理する新しい治療法や薬剤、手順を開発することができます。したがって、西洋式の食事からの脱却が重要なのです。また、西洋式の食事がうまくいかない原因を探ることに多くの時間とエネルギーが費やされてきましたが、1つだけはっきりしていることは、欧米型の食生活を送る人々は、伝統的な食生活を送る人々にはほとんど起こらない、さまざまな慢性疾患にかかりやすいということです。
よって、現代では健康的で伝統的な食事を実践することが重要になります。これは、栄養学のアプローチに従って食べ物や栄養素、摂取カロリーを選択することではなく、より伝統的で健康的な食事を選ぶためのシンプルなガイドラインに従うことで実現することができます。

⑩ 「食べ物選びの基本原則」

スーパーで食料品の買い物をしているとき、自分がカートに入れたものの成分表示を見ることが大切です。食品科学が進歩した現代では、本物の食べ物を見分けることが困難になってしまいました。そこで、「曾祖母が食べたもの以外は食べない」「原材料が5種類以上含む製品は避ける」「健康効果を宣伝している食品は避ける」という3つの原則を守ることで、本物の食べ物を見分けることができます。高度に加工された食品を避け、自然でシンプルな食品を選ぶようにしましょう。

<食べ物選びの3つの原則>
①曾祖母が食べたもの以外は食べない
②原材料が5種類以上含む製品は避ける
③健康効果を宣伝している食品は避ける

⑪ どうやって食べればいいのか?葉物野菜を食べよう!

健康的な食生活を送るためには、本物の食品と代替品を見分けることが重要になります。まず、植物を優先し、特に葉物野菜を積極的に取り入れることが、食生活の基盤を作る上で重要です。また、植物から得られる抗酸化物質が、有害な化学物質を分解するために重要です。肉類は、ビタミンB12を含むが、肉は食物連鎖の上位に位置するため、多くの栄養素も獲得していますが、毒素も含んでおり、肉、牛乳、卵などの動物性食品を食べる場合は、植物を多く摂取しているものを選ぶことが重要です。また、有機栽培されていない高肥料の植物は避けるべきであり、バランスの取れた食事を摂るために、様々な植物や動物を食べるようにすることが大切です。

⑫ 健康的な食生活の秘訣

健康的な食生活を送るにあたり、適切な量を摂取することが重要です。食品の化学成分に重点を置いている現代の食品科学では、食事の社会学や生態学にはあまり注目していません。しかし、食べることにおいては体験が重要であり、単なる栄養摂取ではなく、美味しさや雰囲気を楽しむことが大切です。食事は食卓でゆっくりと楽しむことが望ましく、食べる量を減らして食事の質を向上させることができます。また、自分で調理を行うことで加工食品から離れ、家族や友人と一緒に食事を楽しむことで、食事の経験を豊かにし、社交的な時間を過ごすことができます。

⑬最終的なまとめ

本書の要点は、栄養学に基づく食事法は特定の栄養素を摂取することで健康を促進することを目的としていますが、実際には多くの西洋疾患の主な原因になっているということです。しかし、3つの簡単なステップを実行することで、西洋の食生活から離れることが可能です。それは、「本物の食べ物を食べること」「主に植物性の食品を食べること」「過剰に食べないこと」です。

本日のnoteの内容は以上になります!今回のnoteでは栄養学にだいぶ批判的でしたが、個人的には栄養学もちゃんと有用な学問だとは思っているので、今日ここで学んだ内容もある程度は考慮しつつ、自然な食材などを取り入れることを心がけるようなバランスが大切なのだと思います!本日のnoteの内容が読者の皆様の健康的なライフスタイルの向上のお役に立てば嬉しいです!ここまでお読みいただきありがとうございました!🥳✨

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