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2022 Murder for Two 再演感想

はじめに


*こちらは2022年1月9日にふせったーに載せた感想の再掲です。



2022年1月再演のMurder for Two。

再演で初めて観たくちですが、あまりにも素晴らしくて興奮冷めやらずなので、下記ネタバレ全開に思いの丈を書きなぐりです。辛うじて犯人が誰かには触れてないけど。
Apple Music*で配信されてる「Murder for Two (original cast recording)」と、今回のプログラムを頼りに、思い出しつつツッコミつつ礼賛。
なんせCDの曲が無いところは記憶に頼るしかないので、厳密な台詞回しとか順番はたぶん回数観ないと修正できないため、ご容赦いただくとして、実質割と自分用メモを兼ねてます:

<時々出てくる*のマークは、2022/1/10以降の修正/加筆箇所>


とにかくたーーのしかったーーー!!!
馬鹿馬鹿しい笑いもぶっ飛んだ設定も沢山あったけど、
同じ衣装で13役という演劇の醍醐味、音楽が言葉と結びついて歌となって物語を彩るミュージカルの魅力満載。
役者を限界まで活かすとこんな次元に行けちゃうんですよ!!!と
コメディなのに、コメディだからこそ、
バーン!と扉を開けて、笑い続けながらも凄い高みで楽しませていただいた気分でした。
めまぐるしさと緻密さの絶妙なバランスと、
坂本さん/海宝さんの底なしな魅力に、客席に沈まされました。

では順を追って。

注:ネタバレしてます



1.開幕/Overture

客電は落とさないまま、舞台両脇にあるセットの扉の上のライトがすっと点き、上手の扉から坂本さんが、下手の扉から海宝さんが登場してスタート。
客席に向けてにこやかに手を振ったりアピールしたり、「あ、ここはまだ物語始まってなくて、おそらく役者って設定(?)なのね?」と理解。なんだか息が合ってない設定、グランドピアノのカバーを外すときも両側から引っ張り合っちゃうし…って流れに続いて、お二人のお互いに挑むようなアタック強めの連弾による音楽で物語が始まるのだけど、やー、最後まで観ると初日から実に全編全タイミング息ぴったり!!!!!


2.Waiting in the Dark

連弾からいつの間にか坂本さんがセンターに出てきており、すっと黒縁ガラスなし丸メガネをかけたかと思うと一瞬にして老婆(ホイットニー夫人)に。今日はこれから誕生日のサプライズパーティーが始まる、と歌い上げ、ここから一気に早速怒涛の演じ分けタイムスタート!下手のドアを開けて次々現れる招待客をめまぐるしく、でもめっちゃくちゃはっきり演じ分けていくそのスピード感と鮮やかさに圧倒されるやら楽しいやらで、初日から感嘆まじりの笑いが客席に波のように広がる。口うるさく喧嘩する中年夫婦、姪と有名バレリーナと老いた精神科医、幕開け10分未満?で一気に6役。声だけ聞いてもどの人か直ぐ分かる上に、それを一曲の中で数小節刻みでやるんだからもうほんと、え、なんだこりゃ!!だった。
坂本さんやばいとんでもない、私今回初めて坂本さんの舞台拝見するけど大変だ、これは今日すごいところに来てしまったぞ…!!!とワクワクが一気に。
パーティーの主役が現れたかと思ったら、銃声。ホイットニー氏が殺害されたことが分かる。この時の「アァァ〜悲劇始まりましたぁ〜〜〜」なピアノがこってこてで好き(笑)。


3.Marcus’s Entrance/Protocol Says

刑事への昇進を夢見るマーカス登場(さっきまでピアノ弾いてたのにいつの間にか上手前方に)。署と電話したり仲間のルーと話したり、を一人で表しつつ、僕がいかに捜査マニュアル(Protocol)に精通してるか聞かせてやる!!と軽妙で元気なナンバースタート。彼の律儀さと繊細さ、そして愛おしいへなちょこさが一気に掴めるキャッチーなナンバーなんだけど、途中にちょこちょこ出てくるやり取りの間の取り方やら緩急がまた絶妙に良くて(笑)、あぁ海宝さんコメディのバランス巧い!!とまたもこれから待ってるお芝居への期待が大開放(笑)。
このナンバーで心の底から感動だったのが、「海外ミュージカルなのに日本語でも!!!!韻を!!!!踏んでる!!!!!」で、これ訳詞はどなただーーーー!!!!!!!と心の中で拍手喝采だった(高橋亜子さんだった)。きっとここ原詞でも韻踏んでたよね??なところはことごとくで、今なんとか思い出せるのは「仕事に邁進、刑事に昇進」、原語だと”My steadfast devotion will earn that promotion”で、ウォォォォ見事ーーーー!!!と唸っている。

さて、曲とたしか並行して、窓からマーカスが室内の様子を観察する体裁を借りて、招待客復習タイム(坂本さん、冒頭で演じてらした6役に加えて、殺害された作家役も演り、再びめまぐるしく今度は7役*)。ここだったか記憶が定かじゃないけど、バレリーナのへの憧れに、椅子を押し倒して一人悶える海宝さんにめっちゃドキドキしてしまった(ひゃぁぁぁだった)。


4.Dahlia Whitney/A Perfectly Lovely Surprise

マーカスがいよいよ家に入るところのギィィィ(扉の音も坂本さん)がツボ(笑)。
刑事さんx2とみんなに勘違いされる中、最初は訂正しようとするのに「や、刑事として、、、解決しちゃおっかな?!」と、葛藤に野心が勝る流れがminimumにして極めて自然。でも遺体をあんなさらっと跨いじゃダメだよマーカス!!
だいぶぶっ飛んでるDahliaのこれまでが語られるこのナンバー(原語版聞いててそうそうこれこれ!!と思い出し笑いだったんだけど)、「私が若かりし頃…18か19か…35歳の頃」がもう(笑)。35歳、リアル、うん、若かりし頃にcountして良いよね35歳(笑)!!
この”perfectなsurprise♪”を聴きながら、あぁこの容疑者役はある程度年齢を重ねないとできない役なんだな、とハッと思ったりして、海宝さん、10年後くらいに坂本さんに続いて容疑者側役者にデビューなさるの待ってますね!と思ったり。
この曲でDahliaはかつてショースターで、「大ナンバー」をどうやら持ってることが分かるんだけど、この大ナンバーが、後々、肩を震わすナンバーとして出てくる(笑)。

この次だったか、姪のステフが助手を名乗り出、それを軽くいなすマーカス。犯罪学で修士論文を書くの⭐︎に対してアァァ構ってらんないーーーなすれ違いがいかにも!なんだけど、厄介な子に見えてた坂本さんステフ、この後どんどん好きになってしまった。
<*ちなみにここでステフが言う「カクテルアンブレラ」も、初回はなんのこっちゃー?だったけど、
クライマックスでちゃんと伏線回収される(笑)。



5.Murray & Barb Flandon/It Was Her

坂本さんによる中年夫婦の怒涛の演じ分け!自信たっぷり「犯人を知ってる」と言いつつもただの思い込みを語り続けるマーレーと、夫への不満を叫ぶバーブの間で翻弄されつつぐったりするマーカス。しょーもない夫婦喧嘩かと思ったら謎に惚気的に終わるし(笑)。
罵り合ってて発言も全く論理に欠けてるのに、ここのマーレー役の坂本さんの歌が!!!!!めっちゃくちゃかっこ良くて天を仰ぐ(や、実際は舞台ガン見してたけど)。


6.The Motive

多分このへんで、中年夫婦のいがみ合いを聞いてたマーカスが、招待客がみんな殺害された作家の小説でモデルにされてるんじゃないかと気づく。事情聴取やるぞーの過程でいよいよ憧れのバレリーナに対峙しようとするんだけど、メタ的お約束で容疑者役者側(=坂本さん)がなかなかバレリーナになってくれない流れがおかしくて(まだ私ー♡byステフ最高/笑)、初日も二日目も笑いを堪えきれず客席が湧く。
「あなたあすこにいる12人の少年合唱団にも気づいていないでしょう?!」に、うわーーーきたよきたよ少人数芝居でやるとき特有の突如中盤で召喚される新たな見えない登場人物ーーー(笑)!!!とわくわくしつつ、「てか坂本さんさらに12人やんの?!!!え、てかもうそれ公式発表の13人越えちゃうじゃん?!」と初見では無駄に心配する(悲惨すぎる事情により実際は3人しかいないことになってて、それを、でもその3人を、これまた全く見間違え/聞き間違えさせる余地なく見事にやるんだなもう、坂本さんなんなん!!!!)。



7.A Lot Woise

クレイジー過ぎる歌詞(笑)。私のリスニングが正しければ(日本語の!)、フォローのしようがないほどぶっ飛んでた歌詞(笑/だいたい全曲ぶっ飛んでるんだけど)。ダンスタイム、ひざ立ちで坂本さんが9歳として踊るんだけど、これたぶん原曲から少しアレンジされてて、ダンスタイムがより長くなってた気がする(行き帰りに聞いてるoriginal cast版だと割とあっさりダンスタイム終わっちゃって、あのビートの効いたところが無い気が)。
「俺らを呼びたくなったら口笛を吹いてくだせー!」。絶対もうこれ伏線だよねー!!!と思ってたけど、がっつり回収された。Yonkersとたっかい声で「バナーナー(はーと)。あーー可愛いーー(はーと沢山/笑)」と蕩けてるマーカスもcute過ぎてこれまた「やばいーん」だった(笑)。


8.He Needs a Partner

バレリーナの尋問再開。なんでサプライズパーティーにレオタードそんな持ってきてんの(笑)。そしてなんでこんな短時間ですでに消費してんの(笑)とツッコミが追いつかない(笑)。
このへんでスマホを通じて物語と劇場をつなぐまたメター!!!なネタが(笑)。ここから合計3回に渡って「刑事が来るまであとxx分!」みたいなアクセントが入るの、こっからラストスパートだよ〜みんなついて来てるか〜?飽きてる奴いないか〜?この芝居そろそろ転・結巻いてくよ〜?みたいな役割なのかな?とかうっすら2回目観た時思ったけど、書いた人にしか分からないよね。。(*)ちなみにこの3回、客席に絡むタイムでもあって、日替わりアドリブどんなの出てくるんだろうな〜(笑)とニヤリ(初日は耳元でふなっしー、2日目マチネはアボガドリップクリームw)。

「彼にはパートナーが要るわ」と歌い上げるステフのナンバー。ここで、彼女が実はマーカスのことを、「刑事さんへの憧れ⭐︎」じゃなく、ちゃんと冷静に観察して好意を抱いてて、支えたいと思ってるんだなーってのが伝わってきて、そもそも曲もとても素敵で、あ、どうしようこのお話、おちゃらけてない軸がこんなところに。。。!!!と真面目にキュン。
ところが折角キュンとしてたのに(笑)、こんな良い曲の途中なのに(笑)、冒頭からちょこちょこ言及されてたマーカスの過去=「マーカスを打ちのめした過去のパートナー、バネッサが猟奇的殺人犯だったこと」が明かされる。再現は体が坂本さんで、声が海宝さん。
とりあえずまず「マーカスよく無事だったね?!!!」と思いつつ、署長役の海宝さんの声がズバリ「カジモド」で、うぉぉぉこんなところで国宝がーーー!!!と情報量多すぎで気持ちが忙しかった。悲惨なのにバカバカしいテイストで回想シーンは終わり(笑)、その後また美しいハーモニーがステフと(original cast CD通り)。


9.So What If I Did?

バレリーナが新たな容疑者として浮上。正当防衛とはいえ過去に殺人歴があることを半ばヤケっぱちなノリで、不気味なメロディから底ぬけに明るいメロディへと行ったり来たりしながら坂本さんが歌う。ここのいかにも振り回される転調しまくる流れ好き!!
つま先で鍵盤叩くのは、楽器やってた勢からするとぐっっと苦しいところはなくもなかったけど、でも割り切って楽しんだ!!

マーカスが探してた創作ノートはバレリーナが盗んでたことが判明。が、めくって出てきたのは精神科医の罪を告発するような文章。。


10.A Friend Like You

やけに精神科医のおじいちゃん「友達だよな??」と念押しするなーーーとちょくちょく思ってたけど、ここへきて「ホイットニー氏を殺してやる」と彼に漏らした人物を吐かせるため「親友の歌」を歌うことに。
これがまた!!!!見事に韻を踏んでて!!!!!!!!あぁぁぁぁ日本語なのに翻訳ミュージカルなのにちゃんと言葉と音楽の知的な繋がりを自然に楽しませてもらえるなんてーーー!!!!と嬉しさで胸が熱くなった!!!!さらに、あぁこれ日本語と英語跨いで韻踏んでる(笑)!!と面白かったのが”We’ll be BFFS(?) forever/That’s redundant but whatever”が、親友
フォーエ「バー」、なんでもいいや(なんだっていいやかも?)気が合え「ば」になってたところ。沢山あったので対訳並べたい!!

死にかけた精神科医役の身代わりに舞台袖から人を呼び出す場面、まさか本当に裏方の人連れてくるとは思ってなくてど肝を抜かれた(笑)。去年の三谷さんのステージツアー動画で、「裏方の方々は本っ当に表に出てくるのを厭うんです!」と聞いてたので尚更。けどめっちゃ楽しかったし面白かったし、そして客席も沸いてた(笑)。

ここで聴ける海宝さんのハイトーンがまた!こんな場面なのに美しくてまた!!!笑うわ気持ち良いわで心が忙しい(笑)。


11.Henry Vivaldi

もうラストスパート入ったぞー!!が明らかなのにここへきてさらに新キャラ登場で、マーカスの「あなた誰!」に素でみんなで爆笑だった(笑)。おそらく日替わりでかなり自由にいじって良いみたいで、初日は北日本系方言のおじさん、2日目マチネは身のこなしも軽やかな爽やかお兄さんで、また坂本さんの演じる役に+1(笑)。


12.Process of Elimination

静かにしてくれーーー!!!で頭パンクしそうなマーカスのテンパり具合が滑稽。そしてここでついに本当は刑事じゃないことを白状。ここのワーーってパニックになった後しおしお、、となるところが、おかしいやら可哀想やらいじらしいやら。。。!
確かこの辺でマーカスが吠えながらシャツを脱ぎ捨て、犬のTシャツに(笑)。


13.Steppin’ out of the Shadows

ついにきた往年の大ナンバー(え、違うかな)。ここの、リモコン(*)切ってもブレーカー落としても音楽が止まらない、マラカス振らなくてもしゃっしゃか音が出てエコーまでかかっちゃってさらに電飾チッカチカなところが最高にツボで、初日も2日目も客席で痙攣だった(笑)!!駄目なんだこういうの好きすぎなんだ私。そして坂本さんがまたニクいバランスで滑稽だけど可愛くDahliaをやっちゃうからまた破壊力が凄くて。。。やーーー、これ野心あるエンターテイナー役者なら容疑者役やりたいよねnominateされるのめっちゃ大変な難役だけど…でもあんまり若いとここの場面も様にならないだろうし、このためにも経験積んで良い具合に円熟していかねばですよ皆さん!!!とか(どういう立場なんだ私は)熱く見つめてしまった。

大ナンバーが終わった後、いよいよ大詰め。
真犯人との銃撃戦で、照明やセットが一つ一つ消えたり壊れたり倒れたりしていくんだけど、2日目に気づいてうぉぉぉぉ?!となったのが、先ほどのオンステージで点いた、舞台を囲む電飾がピンポイントに上手側1個が二つ目の銃声(*)で切れるところ(!!!)。え、このオンステージの電飾はお屋敷にある設定じゃなくてメタ的な「さーーー往年のショーナンバータイムですよーー」のファンタジーな物だと思ってたから、「えええそこ撃たれて消えちゃうの?!」と面白くてワクワクしてしまった(笑)。
口笛の伏線回収を無事済ませ、そして肝心のミステリーの核心は「まさかなー、もしかしてなー」のその「まさか」で、煙に巻いて終わり(!)。良いんだけどね(笑)!!


14.Finale

マーカスはこの事件の解決と、ラッキーな棚ぼたによって無事刑事に昇進。ステフを公私ともにパートナーに迎えて、おしまい⭐︎マーカスが投げて寄越した車のキーを歯で受けるステフに、「最後の最後までそんな笑いを詰め込まなくても(笑)!!」ともう笑い疲れててもおかしくないのに、またみんなでどっと笑っちゃったり(笑)。

最後の、おそらく役として、じゃなく、冒頭と同じく役者としてイイ顔で連弾する坂本さんと海宝さん、そしてお二人のバーン!!が、ズルいくらいむっちゃくちゃカッコよくて、痺れたーーーー!!!!

(2022/1/9)

後日追記の記録


*印の更新
2022/1/12
マーカスが窓から覗いてる時に行われる登場人物紹介タイムで、坂本さんが演じ分けてらしたのは6人じゃなく7人だったので6→7に訂正。

2022/1/13
カクテルアンブレラの伏線書き足し&更新

2022/1/15
署長から3回かかってくる電話の使われ方について「書いた人じゃなきゃわからないよね」のところ。よくよく考えてみると、「○○まであと何分!」みたいなカウントダウンって色んな映画や小説でも使われてるベーシックなもので、ふつうにペースメーカー的なアクセントなのかもな、と後から思った。

照明が銃声で消えてくの、舞台を囲む電飾は初回じゃなくて二つ目だったことに3回目の観劇で気付き、修正。


2022/1/17
Dahliaのショータイム(大ナンバー)に出てくるリモコン。途中で「刺した〜」的なことを歌い上げながら舞台後方の棚に置かれたナイフを振り返るところがあるんだけど(凶器は銃です!だったか、ナイフじゃありません!だったかマーカスがちゃんと突っ込む/笑)ここよく見るとポインター風な緑の光がナイフを指してて(笑)、それがまさかのリモコンからで(笑)、また痙攣級にツボ。なんなんそのマルチ活用リモコン(笑)。

2022/4/8
original cast版CD音源の配信元名を"iMusic"から"Apple Music"に修正

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