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気付いたら家族、みたいな感じの父娘 その1

今時それほど特殊でもないけれども、少しだけ、世の中の定型とは違う「再婚した父と家族になる」という経験をしたことについて、書き残しておきたいと思います。

好きにしたらいいけど、関係したくはない

私が中学生の頃、思春期真っ只中だったわけですが、母は現在父になる人と十数年ぶりに再会して付き合い始めました。仮にその父をKさんとします。

好きにしたらいいと思っていました。
育児で全てを犠牲にする必要はない、母も一人の女性として生きてほしいと思っていました。

けれどそれはあくまで私には関係ない話。これまでも母の恋愛と自分の人生は間接的な影響は受けても直接的には関係ないと思っていました。
(いやむしろ関係ないところでやっていてくれる分なら問題ないと思っていました。そのあたり、私も本当の意味で母を応援できていなかったのかもしれない、と今振り返って思います。)

それなのに、それは突然始まっていきました。

「Kさんと一緒にごはんに行かない?」

「なんで?」

突然の母の提案に動揺が隠せない私。

「Kさんが一緒に行こうって言ってくれてて。美味しいもの食べられるよ」

気持ちのうえでは、お断りしたい話でした。
そもそも人見知りで、幼少期は、母の友達が遊びにきても、寝室に閉じこもるようなちっともかわいくない子どもでした。
ましてや、母と付き合っているという人とごはんだなんて、どんな顔して会えばいいんだろう。困る。気まずい人と美味しいごはんを食べても美味しくはない。

けれど、嫌と言えば母は傷つくし、ご馳走してもらえれば食費も浮いて家計にも優しい。

「別にいいけど」

特にうれしそうでも嫌そうでもなく、興味なさそうに私は返事をしたんじゃないかと思います。

その後、どんな顔合わせをしたのかなんてまったく覚えてないけれど、それまで母が割とぶっ飛んだ人と付き合っていたのも知っているので、なんでこんな普通のおじさんがいいんだろうって思った記憶があります。

旅行に行けばいつもお腹が痛い

今までみたいにどうせすぐ別れるだろうと思ったのに、なかなかそうはならず、それ以来、たびたびごはんに連れていかれるようになりました。

私はいつも、すぐにそうとばれそうな愛想笑いを浮かべながら、会話は最小限にもくもくと目の前のごはんを食べていました。
私が別れの原因になるのも困るからいい子にふるまうのは得意でした。

そして、さらに関係は勝手に深まっていきます。

「今度、一緒に旅行もどうかな?って話になったんだけど」

「旅行?2人で行けばいいじゃん」

「留守にしてる間、心配だし。家族旅行、なかなか行けないじゃない。」

当時、中2くらいだったと思うのだけれども、家族旅行に行きたいなんて1ミリも思っていませんでした。ましてやそれほど好きでもない人と宿泊して、何時間も一緒に過ごすなんて、地獄だ…と思いました。しかもあたかも家族かのようにふるまわないといけないなんて。

それでもやっぱり、相変わらず断れない雰囲気だったので、やむを得ずその「家族旅行」とやらに行きました。

いやだいやだと思っているとすぐに体調に出てしまう私。

旅行に行くと、すぐに生理になり、おなかが痛くて動けなくなりました。

部屋で1日寝ているから、私のことは放っておいて出かけていいよと言っているのに、それなら部屋で過ごそうとなってしまうのがまたしんどい。

その後も何回か旅行に行きましたが、そのたびに似たような症状に襲われました。母は悲しそうでしたが、仮病ではなく本当にお腹が痛かったので仕方ない。そのうち、夏は生理でなくても、エアコンの効いた室内にいると、すぐにお腹が痛くなってしまう体質になってしまいました。

正確にそこに因果関係があるのかは定かではありませんが、結果として、いずれ父になるKさんと一緒に過ごそうとすると、すぐにお腹が痛くなる、面倒くさい女子中学生でした。

人として「嫌い」だったわけじゃないんです。

でも、関わることが「嫌」ではあった。

それが私と父が出会った頃の状態でした。



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