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大学院留学#1:留学先・志望校はどう選べばいいのか?

こんにちは。私は、ベルギーの大学院に正規留学をした経験があります。しかし、「日本の大学から、海外の大学院に進む」と決めたものの、どうやって志望校を選べばいいのか、当時はかなり手間取りました。進学において、志望校選びは一番大事なことの一つ。留学してから、後悔しないために、自分の過去の決断に自信が持てるように、「きちんと」選んだ方が絶対にいいです。

専攻分野がすでに決まっている人に向けて、「志望校選びがなぜ難しいのか」「志望校を正しく選ぶための3つのステップ」に分けて、書いていきたいと思います。

1. 志望校選びがなぜ難しいのか

・選択肢が多すぎる
世界は広く、大学数は数えきれません。正確な数は分かりませんが、日本の大学が約800に対して、世界には1.5万〜3万もあるとのことです。例えば「英語圏に絞ろう」と思っても、アメリカ・イギリス、どの国のどの地方にも大学はありますし、英語圏ではない国でも、多くの大学で英語での授業が開講されています。その全てをチェックするのは、あまりに大変です。
・偏差値ランキングがない
日本の大学のように、簡単に「レベル」が掴めないのが理由の一つだと思います。大学によって強みとする分野も異なり、無名大学でも「〇〇分野は最高峰」なんてこともあります。なのに難易度を示してくれるような偏差値がないので、簡単に判断ができません。
・(個人的に)留学エージェントの紹介は、あまり信頼できない
これはあくまで個人的な意見です。ただ、多くのエージェントは、生徒を斡旋する事で成り立っているので、提携している教育機関(クライアント)に力を入れて紹介します。その結果、日本人比率が異様に高かったり低かったり。あるいは、皆が惹かれやすい、ニューヨークやロンドンのような有名都市の大学をとりあえず紹介したり、ってことがあるのかなと思います。

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2. 志望校を正しく選ぶための3つのステップ

ステップ1:専攻分野が学べる大学をリストアップ

・海外大学院検索サイト
まずは志望校となりうる大学をリストアップしましょう。そのためには、闇雲に各大学のHPを見ていくのではなく、自分の専攻分野について開講されている修士課程・博士課程が、どこにどれだけあるのかを検索する必要があります。いずれも英語のサイトにはなりますが、以下が代表的な大学院検索サイトです。1-2サイトを併用して、まずは分母を増やしていきましょう

Peterson’s

MASTERSTUDIES

GradSchools.com

・学会ホームページから教育機関を探す
アメリカやイギリスの学会が「どこでその教育を受けられるのか?」をまとめてくれている場合があります。全ての学問分野に該当する訳ではありませんが、Pursuing a degree(学位取得)EducationAssociationなどのキーワードを検索してみると良いでしょう。幸いにも、こういったページが見つけられた場合は、大学院検索サイトに頼る必要はないと思います。

例:文化人類学ーアメリカ人類学会:Anthro Guide
https://www.americananthro.org/LearnAndTeach/Landing.aspx?ItemNumber=24168&navItemNumber=736
例:心理学ーアメリカ心理学会:Education and Psychology
https://www.apa.org/education

ステップ2:3つの世界大学ランキングを参考に絞る

全ての「志望校候補」をリストアップしたら、次は大学の「レベル」で絞ってみます。とは言っても、学部ごと地域ごとに多種多様なランキングあって、評価は一様でありません。そのため、紹介する3つの主な世界大学ランキングで「共通して〇〇位以内」というのを参考にしてみるのはいかがでしょうか。

例えば、「3つで共通して100位以内」というのは基準で絞ってみます。日本の大学も、100以内に2-3校がランクインしています。そうした大学を参考にしながら、志望校候補の「レベル」を測ってみることもできるでしょう。

余談かもしれませんが、日本にも素晴らしい教育機関は沢山あります。奨学金を支給する財団や組織側としても、留学先の知名度やランキングはある程度審査の際に考慮するでしょう。「なぜわざわざ海外なのか」という疑問に答えていくには、ある程度、大学ランキングを気にすることも大切だと思います。

・QS World University Rankings (QS)
中には、「この分野だけはすごく強い!」という大学院もあります。3つの中でも、専攻別のランキングが最も充実しているのがQSです。専攻別でも検索してみましょう。

・The Times Higher Education World University Rankings (THE)

・Academic Ranking of World Universities (ARWU)

ステップ1・2を経て、人によっては、自分がどの「レベル」までチャレンジできるのかがわからず、まだ候補が50校以上もあるという方もいるかもしれません。その場合は、上位から順に「自分のGPAや、語学、GREのスコアが基準を満たしているか/満たせそうか」をチェックしてください。ここでは、現実的に「上を見過ぎず、下を見過ぎず」判断していくことが大切です。もし、想像以上に基準を満たしているようであれば、受験資格はあるのですから、ぜひチャレンジしましょう!

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ステップ3:ホームページで授業や研究内容を確認する

これまでのステップ1・2を経て、志望校候補はおそらく5-20校、多くても数十校まで絞られているはずです。ステップ3では、いよいよ大学ごとに希望する条件と合うのか、細かく確認していく工程に入ります。以下の2つを参考にしましょう。エクセルなどにまとめながら比較していくのが、個人的にはオススメです。

・大学公式ホームページ
International student、Master degree/Postgraduate、Applicationなどのキーワードとともに、大学名を検索すれば、その大学の留学生用のホームページが見つかります。そこから、具体的な修了年数、学生数、学費、学生の特徴(国際性)、講座・カリキュラムなどを知ることができます。大学によっては、留学生の割合や、生活費の目安、地域の治安なども掲載されており、留学生に必要な情報が紹介されています。自分の期待・事情に沿ったものか、比較検討していきましょう。

・教授紹介ページ/教授個人サイト/Wikipedia
言うまでもなく、未来の指導教員がどのような人なのか、これはすごく大切な指標の一つです。日本の場合、研究室訪問を行うことができますが、海外大学院ではそれがほとんど叶いません。
これを補うため、大学公式ホームページや、教授個人の研究概要や論文を紹介するページを閲覧するといいと思います。前者であれば、多くはFacultyDepartmentのページから辿り着けます。そこで連絡先を知り、教授ご本人にメールを送って、オンラインのアポイントメントをとることも、もちろん可能です。

おまけ:こんな志望校の選び方は危ないかも

・いつか行ってみたい国・街
「旅行で訪れる」と「住む」は大きく違います。素敵な街並みに憧れても、住んでみると意外と不便、そんな話がよくあります。私の友人にも、ヴェネツィアでの暮らしに不満を抱く友人がいました。贅沢な不満に聞こえますが、住んでみると意外とそうなのかもしれません。実際に、大学に通う方、住んでいる方のブログを拝見してみるのもオススメです。

・先輩がオススメしてる
先輩は先輩、自分は自分です。「先輩と全く同じことを勉強する、全く同じ生活感を持っている」という訳ではないのなら、全てを鵜呑みにするのは危ないかもしれません。

・交換留学で一度行ったことがある
交換留学先は、もちろん志望校の有力候補の一つになると思います。ただ、日本の大学が提携している留学先というのは、世界の大学のほんの一部です。ひょっとしたら、もっとレベルの高い教育機関に進めるかもしれない。もっと国際性豊かな環境があるかもしれない。そんな可能性を信じて、まずは調べてみる、志望校の幅を広げるのはどうでしょうか。

決して「これまでの憧れ・経験、先輩の言葉を無視しろ」という訳ではありません。まずは自分で調べてから。こうした想いや情報は、その後に考える方がいいと思います。

読者さんの、納得のいく志望校選びに、少しでも役に立てたら幸いです。
ここまでご精読いただきありがとうございました。



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