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名古屋について

 名古屋の夜ってどうしてこんなにも甘ったるい匂いがするんでしょうか。洗濯物、柔軟剤、香水...そういった類の人工的な甘さを感じます。
 15階建の11階に住んでいるので眺めはなかなか良いのですが、なぜ地上の匂いがここまでやってくるのか。うっすらと疑問に思ったまま1年が過ぎてしまいました。

 今となっては名古屋の事を少しずつ愛せるようになってきましたが、異動したばかりの時はかなり拗ねました。当時のことを夜の道路を見ていると思い出したので少し書きます。

名古屋に来てからしばらく経つ。東京よりだいぶ控えめだろうとは思っていたが、まさかこんなに何もないとは。ほんと、まじなんだって。何もない。むしろ何ならあるんだ?という感じ。あまり悪口ばかり言ってもあれなので、良かったところも書いておく。喫茶店が多い。

転勤が決まった時、正直度肝を抜かれた。まさか自分が、名古屋って。地元は関西だし、普通にスルッと帰れると思い込んでいた。縁もゆかりもない土地、名古屋。最初の印象は色のない、陰気な街だなぁという感じ。名古屋駅を降り、不動産屋の車に乗せられて見た車窓からのビル群は全員グレーか茶色。ビルがスーツを着込んだようなそれらは、薄曇りの天気と相まって余計にどんよりしていた。何なんだよお前ら。もっと元気出せよ。一瞬中心地から離れただけでこの様。汚いマンションのベランダからは謎のシートがむき出しのまま。道行く人らはなんかダサい。CHANELやGUCCIの並ぶメインストリートには地続きにしまむらが佇む。お前どんな顔してそこにいるんだ。そんなんだから人間がださくなるんだぞ。未だにタピオカ屋には女子高生が群がり、ジャニーズショップに列をなす。どこまでもその程度の街、名古屋。

口を開けば悪口しか出ないので、良いところも書いておく。喫茶店が多い。

 悪口まみれです。しばらく東京にいたので恋しかったんだと思います。名古屋の方には申し訳なく思いますが、夜の空気や道路、喉を巣食うような甘ったるい匂いのおかげで少しずつ愛が芽生えてきています。知らんけど。

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