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いつ知った?考えた?脊髄損傷の性のこと

こんにちは、車椅子ユーザーが臆せずパパやママになれる社会を目指して活動しています。

ウィルチェアファミリーです。

今日はメンバーの共通のキーワードでもある【脊髄損傷】の性・生殖について4人で話し合ってみました。


脊髄損傷って?

脊髄損傷とは背骨の中と通る太い脊髄神経を何らかの原因で傷つけられてしまった状態を言います。神経に傷がつくと損傷を受けた部位から下に麻痺がおこり、自分の思うように動かない・感じない状態になります。首の神経を傷つければ首から下に、腰の神経なら腰から下に麻痺が残ります。つまりは脊髄損傷の多くが生殖機能にも障害を呈すると言えます。

一般的には、男性の場合生殖活動そのものが障害され、女性の場合は妊娠出産に大きなリスクを抱えることになります。

そんな脊髄損傷ですが、多くの場合その生殖に関する知識を当事者が知る機会は残念ながら、まだあまり多くはないようです。

メンバープロフィール

さんちゃん:飛び込み事故で頚椎損傷、四肢麻痺 去年結婚しこれから不妊治療に挑む予定 
えりちゃん:不妊治療で妊娠。と同時に夫が頚椎損傷 1児の母 
みっちゃん:結核性脊髄炎により下半身不随 3児を育てる車椅子ママ  
のりちゃん:脊髄損傷の夫と結婚し5年に及ぶ不妊治療を経験 1児を授かるが第2子には恵まれなかった


みんなの体験


のりちゃん:脊髄損傷者の生殖の問題って当事者にもあまり知られていないようだけれど、性・生殖に関する話って病院でそんなに聞かないものなの?生殖に関する話を考えたり聞いたりした?


さんちゃん:自分は病院がたまたま泌尿器もしっかりしてるところだったから勉強会があって、それに参加したよ!病院でこんなんありますよーってお知らせがあったから、行く?みたいな感じで参加した。興味ある人は参加するけど、みんな今の生活に必死だから、今の自分には関係ないかなって思っちゃうんだよね。そういう話はリハビリの先、仕事が決まった先、パートナーができた先の話って。その時じゃほんとは遅いんだけどね、特に男性はさ。


のりちゃん:それじゃ遅いってことを当事者に意識してもらうにはどうしたらいいのかなぁ?えりちゃんちはどうだった?


えりちゃん:私はもう既に受傷前にした不妊治療で凍結卵があったし、考えてなかったなぁ。いつ生殖のことを知ったかも覚えてないけど、旦那の病院でも説明会はあったよ。凍結卵があるから行かなかった。私が凍結卵あるしいいかなって言ってたから旦那も同じ方向性だったよ。


のりちゃん:えりちゃんのご主人はEE(経直腸電気刺激法)行ったんだよね?それはどこで知ったの?


えりちゃん:どこで知ったんだっけ???詳しいことはさんちゃんに聞いたの。とりあえず私たち夫婦もいつどうなるかはわからないでしょ?だからもしも私と離婚して赤ちゃんが欲しいってなったときに困らないように行っとけば??って感じだったの(笑)生殖については全く考えられなかったし、なんなら今も子どもの兄弟をどうしたらいいか悩んでるよ。


のりちゃん:生活が落ち着かないうちはそういうものなのかな?私はもう不妊治療も区切りついてるからすべてが結果論になっちゃうけど、旦那が受傷したときに「歩けません」ってことと一緒に告知しといて欲しかったかな。受傷したての高校生に響いたかは分かんないけど。さぁ不妊治療しましょうって段階で必死に調べて始めて、それで結局手遅れですみたいな感じだったからね。「ああ、もうどうしようもないんじゃん」って。医者に精子の質だって言われても私にはどうしようもないし、今更旦那本人にもどうしようもないことだし。

だからもっと早く知ってれば何か違ったんじゃないかって考えてしまうの。あと10年早ければ、せめて5年早ければって。詳しく知ってさえいれば、精子凍結だけでもできたかもしれないし、もっと早く不妊治療に踏み切れたかもしれないって。まさか時間との戦いだなんて知らないよね。


みっちゃん:私は受傷後間もないころに脊損男性の行為について書かれている資料を女性の作業療法士さんから見せてもらったの。その時は「ふーんそうなんだ」って思ってた。まさか脊髄損傷が精子の質に影響出るなんて思いもしないよね。自分は授かり婚だったから、女性脊髄損傷者の生殖について詳しく聞いたことはなかったかも。子どもができてから慌てて調べ始めたの。車椅子ユーザーの出産って大丈夫なの?!ってね。


のりちゃん:事前に知りたかった?


みっちゃん:男性にしろ女性にしろ、生殖全般を体系的に知る機会は欲しかったよ。どうやって行為するかってことから、妊娠出産の過程まで幅広く。その時には興味持てなかったとしても必要。


のりちゃん:そうだね。必要だから知るんじゃなくて、自分の体のことだから当たり前に知れるのがいいね。


みっちゃん:そうだね。必要になったときには時すでに遅しなんて困るもの。


さんちゃん:受傷してまず体を受け入れなきゃいけない期間が必要だけど、人それぞれ受容のタイミングは違うもんね、なんとも言えないや。


のりちゃん:じゃさ、体の告知と同時だったら?


さんちゃん:説明を聞くことはできても頭に入らないんじゃないかな?藁をも縋る気持ちで自分が治ることしか考えないからね。


のりちゃん:それはそれでいいんじゃないかな?一番困るのは、必要になるまで全く知る機会がないことだと思うの。特別に期を見て伝えられなくても、知れる環境があって欲しいよね。


さんちゃん:そうだね。知るのが大事!それをどのタイミングで知るかだね。


のりちゃん:それはさ、もうそれぞれだから誰かが判断するものである必要はないのかも。知れる環境が常にあること・気軽に知れることが必要なんだわきっと。知りたいときに初めて調べて、驚愕することがないようにね。


さんちゃん:そういうことだね。


皆さんはいつ知りましたか?考えましたか?脊髄損傷者の生殖のこと

考えていますか?将来のこと

知らずに諦めて、いませんか?






※EE(経直腸電気刺激法)

肛門から電極を入れて前立腺に電気刺激を与える射精方法で精液所見は状態の悪いものが多いが、繰り返し行うことで改善するとも言われている。日本では実施施設が少ない。




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