【オリパラ応援企画第1回】パラスポーツとパートナー のりちゃん編
はじめに
こんにちは。すーです。
今回はパリオリンピックパラリンピック応援企画として、パラスポーツを行っている車いすユーザーのパートナーの方にインタビューを行いました!
私の夫が車いすラグビーをしていることもあり、同じ立場のパートナーの方はどんな活動や悩みを抱えているのか、私が常々気になっていることを中心にお伺いしました。全4回でお送りしたいと思います!
今回インタビューにご協力してくださったのは、のりちゃんです。
パラスポーツと家族の付き合い方や、育児との両立などのお話が聞けましたので、是非ご覧ください。
車いすバスケとの出会い
【のりちゃんのプロフィール】
2児の母で雪が降る県に住んでいる。
旦那さんが車いすバスケを続けていましたが、現在は休止中。
のりちゃん自身もスタッフとして活躍していたことがある。
ー旦那さんについて教えてください
高校時代に下敷き事故で怪我をして、脊髄損傷の車いすユーザーです。
本人は元々体を動かすことが好きでした。
ー旦那さんが車椅子バスケを始めたきっかけは?
お世話になっていた車いす業者さんが車いすバスケチームに出入りしており、その方から誘われたようです。受傷して2~3年後の20歳頃に一度誘われたようですが、その時は日常生活が手一杯で続きませんでした。
当時は障がい者の就労などが発展していなかったので、リハビリ目的で体を動かし、当事者と繋がれる場を持ったほうがいいとお誘いいただいたそうです。
育児とパラスポーツとの狭間で
ーお子さんが生まれる前から車いすバスケをされていたとのことですが、生まれてから何か変化がありましたか?
夫は子どもが生まれてからも、変わらずバスケに行っていました。子どもが生まれて生活が一変した私と、何も変わらない夫のコントラストがしんどかったのを覚えています。
ー土日が練習や大会でほぼワンオペになるという悩みをよく耳にしますが、どうでしたか?
全国を目指すほどの選手をしていたわけではありませんでしたが、それでも土日の度に県外で試合があったり、朝から夜まで練習していたりするので、平日・土日問わず一人で子どもをみることが多く、孤独感が強かったです。夫が子どもを練習に連れていきたがることもあり、慌てて用意をしたり、練習場では私は子守りをするだけ。
子どももまだ小さく、車いすバスケ自体に興味を持つわけではなかったので、飲食しにロビーに連れ出したり、退屈する子どもと館内の散歩や階段昇降を延々としていました。
ー平日も土日もワンオペで、練習場でも付きっきりという感じだったのですね。
平日も、仕事が終わったら練習に行く日もあり、ちょうど子どもがうとうとしはじめた頃に帰ってきて、子どもが起きて寝かしつけのやり直し。これはなかなかメンタルをえぐられました。
ーお子さんと一緒に大会の観戦はしましたか?
県外の試合に子連れは厳しくて、県内や近場で試合があるときに行ってました。
BJリーグ(日本プロバスケットボールリーグ)の前座試合などには連れて行った覚えがあります。
3歳くらいまでしか連れて行かなかったので、集中して試合を観たり、プレイする夫を見て喜ぶような場面はありませんでした。休憩時間に父子でコートで追いかけっこして遊んでいたのは楽しそうでしたね。
スタッフ経験で得たもの
ー大会ではスタッフとして同行、練習でも見学しているうちに頼まれごとが増えてスタッフになったそうですが、のりちゃんはどのようなことをされていましたか?
気が付いたらマネージャーをしていました!(笑)
子どもがいなかった最初の頃は、夫から、来る?と言われて観に行っていました。
最初は座って観ているだけでしたが、段々「ボールとって」や「ちょっとこれやってみて」とお願いされることが増えていって、私も「あれ?あれ??あれ???」と思っているうちに、マネージャーになっていて自分でも驚きました。私、スポーツは苦手なんです、とても。
ー旦那さん以外のチームメイトのサポートもされていましたか?
そうですね。ボール拾いや荷物運び、選手の停めていた車が出せないときに代わりに出したりしました。公式ルールブックを片手に一からルールを覚え、タイマーなど試合に関することをしていましたね。必死でした。
ー周囲にも同じようなパートナーさんがいる状況でしたか?
他のパートナーの方はあまり練習に来ていなかったです。皆さんお子さんがいらっしゃって、当時私たちはまだ子どもがいなかったので。試合には来ていたり、ショッピングついでに練習を見学しに来ている方はおられました。
ースタッフをしてよかったと思う点はありますか?
他のチームの人と交流が持てて、他チームのパートナーの方とお話する機会が持てたことです。
泊りがけの試合の時は、飲み会などもあったのでそこで彼女さんや奥さんとお話できました。似たような境遇の方とお話しする機会があまりなかったので、貴重な経験でした。
知らなかったスポーツという世界をみれたこともいい機会でした。
パラスポーツと家族の関わり
ーご自宅で、車いすバスケに対するサポートはされていましたか?
キャスターの高さなどバスケ車のメンテナンスを家で夫と一緒にしていました。あとはマッサージとかテーピングを貼ったりもしていましたね。車いすにのってディフェンスの練習に付き合ったり、一緒に坂ダッシュをしたこともありました。
ー車いすバスケの専用シューズは何足ありましたか?
当時は特に専用シューズはなかったです。各々好きにバッシュやスニーカーを履いていました。
ー引退されるとき、夫婦間で話し合いましたか?どんな理由で辞めたのか教えてください。
一番大きな理由は、夫に疾患が見つかってそのオペをしたからです。
あとは2人目の不妊治療のタイミングだったので、私が上の子を一人でずっとみることが難しくなったというのもあります。そういったこともあり、夫婦間で何度か衝突しながら、私がこの先2人目を授かったら車いすバスケを続けるのは家庭的に厳しいと伝えたのを覚えています。
本人のスタンスとしては、辞めるつもりはなくて休部のつもりなのではないでしょうか?
ーもし機会があればまたやりたいというお気持ちなのですね
そうですね、運動はずっとしていたいみたいです。
最近はボールに興味が出てきた次男とボール遊びをよくしています。
ー競技用車いすは高価ですが、買い替え時など夫婦間で相談されましたか?
そんなに相談はなかったですね。最新の物はどんな感じだろうと、私のほうが積極的に見比べたり買い替えるのを楽しんでいました!
ー競技用車いすをガレージに置かれているとのことですが、毎回旦那さんが車に積んだり降ろしたりしていますか?
当時はずっと車に積みっぱなしだった気がします。最初のころは私も降ろしたりしていましたが、途中から夫が自分でやるようになりました。
ー我が家もですが、競技用車いすを車に積みっぱなしだと狭いですよね。お子様が生まれてからはどうされていました?
子どもが生まれたら、家族でお出掛けの時には毎回競技車を車から降ろしていました。
トランクにベビーカーも乗せたいから、下ろさないと入らないんです。
インタビューを終えて
今回、我が家とは異なる競技の方のお話が伺えて興味深かったです。
車いすバスケと車いすラグビーはチーム競技である点など、似ている部分がたくさんあるので親近感を覚えました。
私自身は練習にあまり顔を出さないほうなので、のりちゃんのようなスタッフさんの有難さを強く感じています。日頃練習や大会にお付き合いいただいて感謝しかありません。
パラスポーツに親しむ環境は子どもにとってもいいなと思っていましたが、やはり一筋縄ではいかないのですね。パラスポーツに限らず、草野球や少年野球・フットサル・テニス・ゴルフなど旦那さんがスポーツで休日に家にいない状況のご家庭のお話はよく耳にするので、夫婦間で不満をため込まない工夫ができるといいなと思います。
「こんな方法があるよ!」という方は教えてください。
2024年はパリパラリンピックが開催されますが、選手はもちろんスタッフの方々のパワーにも注目したいと思います!
この記事を書いた人:
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