車椅子親家庭のベビーベッドってどうしてるの?
はじめに
あなたがもしある日突然車椅子生活になった時、あなたはいつか子どもが持てる!持ちたい!そう思えますか?
世の中には様々なハードルに挑みながら、車椅子で育児をするパパやママたちがたくさんいます。ですが皆それぞれに工夫を重ね、育児をしているのが現状です。
車椅子生活はいつあなたの身に降りかかるかわかりません。それは例えば、妊娠中や育児中であってもです。
車椅子生活に慣れてからの結婚や妊娠出産だけではありません。妊娠中の交通事故や帝王切開時の麻酔事故、出産時の事故で車椅子生活を余儀なくされることもあれば、赤ちゃんを抱えて育児中に突然の事故や病気で今までとは180度違った生活を余儀なくされることもあるのです。
車椅子のママたちに聞きました!
Q.車椅子ママの皆さんは、市販のベビーベッドは使えましたか?
市販ベッドは足が入らなかったから、自分のベッド上とか床に降りてお世話しました。
市販ベッドをリフォームしてもらい使いました。
市販ベッドが使えなかったから、ベビーラックを主に使いました。
市販ベッドを吟味して選び使っていましたが、体をひねる動作が多く腰を痛めました。
知り合いの大工さんに作ってもらいました。
他の車椅子ママさんから譲っていただきました。
愛さん(頚椎損傷C6)の場合
2018年に出産し、現在2歳の男の子のママをしています。障害を負ってから結婚した夫と、子どもとの3人暮らしですが隣に実家がありサポートをしてもらっています。
私は手にも重度の麻痺があり、赤ちゃんを抱っこするのも危険で1人では難しく、何をするにもベビーベッド上でやっていました。私のベビーベッドは頚椎損傷のママさんたちが使ってこられたものを譲り受けた特製のベビーベッドです。
特製ベビーベッドの特徴
頚椎損傷の育児情報は探してもほとんど見つからず、妊娠中にSNSで知り合った頚椎損傷の先輩ママさんにあれこれ相談し、色々と育児グッズを譲っていただけることになった中にあったのがこのベビーベッドでした。
70×120センチのベビーマットがちょうど収まるサイズのベッドです。高さ調節もできたので、膝が丁度入って作業しやすい高さに調節してもらいました。もう畳んでしまってしまったので具体的な大きさは測れないのですが。
良かった点は、足が入るということです。足が入って正面からちょうどいい高さで安全に無理なく赤ちゃんと向き合え、育児の幅をグッと広げてくれました。
扉が2つあって両サイドからアプローチできるという点も良かったです。私は間取りの関係でできなかったんですが、介護ベッドに跨がせて使うことができるんです。介護ベッドのまま使えれば、私も夜間のお世話もできたのになと思います。
改善点はとにかく柵が低すぎたことです。新生児期は低くても問題ないし、むしろ低いほうがお世話がしやすいかなとは思うんですが、やっぱり柵は高いほうが安心です。
特製ベッドで広がる育児の幅!
おむつ替えからミルクをあげるのも、げっぷをさせるのもすべてベビーベッド上でやっていました。おむつ交換はおしっこなら私でも替えれましたが、うんちは難しく、うんちの時は隣に住む実家の家族に手伝ってもらっていました。吐き戻しやうんち漏れの時など私にはどうすることもできない時はサポートをお願いしていました。
離乳食はベビーベッドにバンボを置いて、主人が息子を座らせてくれたので丁度良い高さで離乳食を上げることができました。
7か月くらいになると寝がえりをマスターし、コロコロ動き回るようになり、落ちないように柵の扉をしっかり閉めて気を付けました。
9か月頃になるとつかまり立ちをするようになり、低い柵では危なくて応急処置をして対策しました。
その頃にはバンボには座っていてくれず、立ったまま息子は離乳食を食べていました。この頃になると日中1人で息子を見ることができるようになりました。相変わらず、うんちの時は家族を呼びましたが。
基本的に私と2人きりの時はベビーベッドが一番安全で、常にベッドの上で過ごしました。可哀想だったかなとも思いますが、その分主人や家族がいる時には床や歩行器などで思いっきり遊ばせるようにしていました。
1歳2カ月になると活発さも増し応急処置で対策した柵も不安になり、ついにベビーベッドを卒業し、ベビーサークルに移行、2歳を過ぎベビーサークルも卒業となりました。
だっこは誰かに渡してもらえれば新生児期でも抱っこできましたが、一人では難しかったです。その代わりに、ベビーベッド上で息子を抱き寄せて、抱っこもどきをたくさんしていました。無理に車椅子上で抱っこすると、ベッドに戻せなくなる危険があったので安全をとってベッド上でしていました。
あのベッドがなかったらきっと車椅子を横づけして頭をなでるのが精一杯だったかもしれません。
まとめ
愛さんありがとうございました。
障害とは環境と自身の持つ能力の齟齬だという話は以前にもしたかもしれません。
育児に於いて障害となるのは、体に障害があっても使いやすい育児グッズとが存在しないことではないでしょうか?
障害を持っていると、工夫しても難しいこと、工夫してもできないことは必ずあるかもしれません。
ですが育児グッズは工夫すれば、特化した商品さえあれば、育児をする上での障害を軽減させることが可能なものなのではないでしょうか。
抱っこ紐・ベビーベッド・ベビーカー・沐浴グッズなど、今あるもので工夫すれば使えるものもあります。実際に、「そのまま使えたよ」という声もあります。ですが、無理をしてなんとか使えた!というのと快適に使えたというのでは大きな差があります。
育児は子どもの成長との勝負でもあります。体に障害がない親であっても、今日やっと確立したやり方を明日にはまた一から考え直さねばならないことの連続ですが、障害があれば尚その負担は大きくなります。
多くの場合障害に応じた育児グッズがないことは、障害を持つママたちにとっては死活問題となり、障害を持つパパたちにとっては育児に参加し子どもと積極的に関わる機会を奪われていることではないでしょうか。
使いやすい育児グッズがあれば、きっとずっと育児の幅は広がるでしょう。
私たちと一緒に、車椅子ユーザーのための育児グッズを考えて下さる企業や個人の方、大工さん、セラピストの方等おられましたら是非お声掛けください。
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