ADHDをカミングアウトされたときにどうすればいいの?ADHDの視点から考えてみた。
ある日、出社すると昼休みにきょどりながら入社3か月目の新人のA君がデスクまでやってきて
A君「ちょっとお話が・・・」
首をかしげながら、会議室でA君の口が開くのを待っていると
A君「実は僕、発達障害で・・・」
あなた「発達障害って?別にA君、変わったところないと思うんだけど?」と優しく問いかけたとしましょう。
するとA君はこう答えるのです。
A君「ADHDと言いまして、普通の人より注意が散漫でケアレスミスが多いとか、長い話を集中して聞けなかったり・・・」
あなた「そんなの誰でもあることじゃない?まぁ、教えてくれてありがとう」
これで新人のカミングアウトを終わらせてしまっていませんか?ちなみに上のやり取りは退職した前の職場で実際に僕が精神科でADHDと診断されて、翌日に上司にカミングアウトした時のものです。その時の僕は生まれたての子羊のようにブルブル震えながら、カミングアウトしたのですが、上司はあっけらかんとした様子でした。しかし、このやり取りに問題があるのはA君(僕)の方だと今は自信をもってそう言えます。
そもそもカミングアウトする意味や目的は何なのでしょう?どんな仕事での報告や連絡でもそうなのですが、それを伝えることには「どんな意味があるのか?」考えてから共有する必要があります。この時の僕は何もそんなことを考えず、「精神科でADHDと診断された」という事実だけを上司に相談していたのです。
いやいや、やり取りの中でケアレスミスが多い・長い話を集中して聞くことができないという業務に差支えのある特徴を共有しているじゃないか!と思う方もいらっしゃるでしょう。しかしながら、僕の場合、これは精神科で説明された主な特徴をそのまま言っているだけでした。
具体的にその特徴が、仕事に本当の意味でどういう支障をきたすのかさえ、わかっていなかったのです。
つまり、本人がADHDのことについて簡単な特徴は字面では理解しているつもりでも、具体的に自分の行動と特徴を結びつけて理解していないのです。
こんな時、カミングアウトされた側はどうすればよかったのでしょう。本人すら理解していないえーでぃえいちでぃーという単語だけ聞いて上司はどう対応すればよかったのでしょうか?
もし一つだけ、上のやり取りで上司に非があるとすれば、
カミングアウトされた内容を、誰にでもあることとして片づけてしまい、それ以上に疑問や興味を持たなかった
しかし、もし上のようなやり取りの後に、この記事を読んで下さっている方がいらっしゃるとすれば、本当によく来てくださいました。
この記事ではADHDをカミングアウトすることの目的や意味について、ADHDの特徴から考えていきたいと思います。
(誰にでも当てはまらない)ADHDの特徴
1.会議中に寝る
「長時間、人の話を集中して聞けない」ことは集中できない時があるということです。そして必ず誰かの話やプレゼンテーションにはストーリーがあります。何度もストーリーを聞き逃しているうちに、その人の話に理解を示すことが困難になります。最初は一生懸命に興味をもって、聞いていても途中からわからなくなるので、興味を持つことすら難しくなるのです。
2.ケアレスミス(同じ書類)を注意しても一向に直らない
最初はケアレスミスが多くても、慣れていく内にケアレスミスは減っていったり、ケアレスミスしないように学習する場合が多いと思います。最初は普通の人と同じように、たくさん間違えて、注意されます。そしてもう一度、書類を書かせると今度は不思議なことに間違えていなかった部分が間違えているのです。もちろん、また書類の書き直しです。
そして今度は最初に間違えた部分のどこかを間違えて提出することになるのです。
3.休憩をとりたがる
もしADHDの人が入ってきて、ものすごく集中していると思っていたら、すぐにトイレ。なんてことがあったら、ものすごく順調だと思ってください。ADHDの過集中が発揮されています。過集中を発揮するのには、条件があり、まずその仕事を楽しんでいる、あるいは興味を抱いていることが前提です。これについては、うまく波に乗れば、普通の人が考え付かないようなアイデアや方法を編み出す場合があります。
特徴はわかったけど、だからなに?
それぞれの特徴に対して、僕なりの打開案はありますが、それは後日書かせて頂きます。なぜ上の特徴を書いたかというと、お気づきの方もいらっしゃるでしょうが、「完全にいじめの対象になりやすいタイプ」です。
・「あの人の書く書類いつも間違えてるよね」
・「またあの人、休憩?」
・「いつも何してるの、あの人」
・「会議中に寝るなんてありえない」
たくさんの悪口が陰でつぶやかれて、それが後から目に見えるいじめに変化していきます。そもそも僕はADHDと診断される前から、うつ状態でした。もちろんそれはいじめられていたからです。そしてADHDの診断が下って、すぐにカミングアウトしたのも本当は言えない理由がありました。それは
これは症状であって、怠けているわけじゃないんだ。
守ってほしい。
ADHDを理解することの前に、誰かの仕事に対する姿勢を元に悪口が蔓延しているような環境になっていること、そのことはADHDじゃなくても、誰に対してもあってはならない状態だと考えます。
もし怠けている人がいたら、しかるべく立場の人が注意する、話をする。それで改善の余地が見られないなら、打開策を考える。それが仕事上の人間関係です。それをプライベート(飲み会の席)にまで拡大させて、多数で個人を叩くという状態を、職場に還元するというのは長期的に見ても組織の生産性を著しく落とします。
という感じでものすごくまじめな内容になってしまいましたが、生まれたての小鹿のようにブルブル震えながら、公開ボタンを押そうとしております。
ここまで読んで下さって、ありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?