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フランツ・カフカ短編小説感想集

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2020年6月の記事一覧

フランツ・カフカ「流刑地にて」

 何度も書き直してみたが、どうもこのお話に対する読書感想文を書ける自信がない。ややこしくて、複雑でありながら、思い返すと簡単なお話なんだけど、伝えるにはやっぱり複雑だ。それでもこのお話に無理やりテーマをつけるとするなら、古い正義の暴走といったところだろうか。物語は、罪人の送られる流刑地を舞台に始まる。辺境の地で将校と呼ばれる男の権力が暴走する様は、滑稽でありながら、どこか恐ろしい。しかし、その暴走

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