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19歳 古物商

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後悔 #1

最近、よく夢を見る。それも酷く辛い夢。 今朝も目覚めが悪かった。私は重い足取りで洗面台へ向かう。またあの夢を見たのだ。 舌を洗うため、喉奥に歯ブラシを突っ込むと、今朝の夢の気持ち悪さで吐き気がした。ここ2ヶ月は毎朝こんな感じだ。 そして私は倦怠感と共に朝食をすませ、荒れた部屋で仕事に取り掛かる。三十路にもなって、売れない画家を続けている私には、こんな生活が相応しいのだろう。 キャンバスの前に座る。また何も浮かばない。才能がない事なんて、生まれる前からわかっていた。けど私は

    • 最初のラブレターは置き手紙

      これが本来のnoteの使い方かなと思い、書くことに致します。このアカウントをフォローせずとも見ているごく数人の方、寝る前のお供程度の文章ですので、お手柔らかにお願いします。 私は今、日本のテレビドラマを見ることにハマっておりまして、夜遅く四時頃まで見ては学校や仕事に遅刻する生活を送ってます。ハマった原因は、日本のテレビドラマにたまーに現れる日本語表現の豊かさかなと思います。 皆様ご存知の通り、私はひと時も欠かさず言葉を使い分けるほど、言語ではなく言語表現を愛しています。だか

      • 606号室の妖精 #2

         あの日母と話して青春を知ってからの帰り道は、1人で帰るのが勿体無いほどに楽しかった。赤い自販機で毎夜缶コーヒーを一つ買うことが日課になっていたが、あの日自販機を見つめたときは、自販機が子供の頃の宝箱のようで、結局いつもの微糖のコーヒーを買うのだけれど、1分ほど迷ってしまった。その後私は、缶コーヒーを少し甘めの口付けをするように飲み始めた。いつもより味が鮮明に感じられる。辛さを経験しているからこそ、私の幼かった日々は、微糖でも極甘く感じられたのだろう。  いつもは光のような

        • 606号室の妖精

           これは、ある日に交わした、誰かの母との記憶だ。  母は言う。 「男の子ってね、その瞬間にしか生まれない魅力があるのよ。」  私は一息も開けずに「それは良いことだね。」と、答えた。 「けどね、それを皆んなに求めてはいけないのよ。道ですれ違った人に、"おはよう"と声をかけるくらいよ。私ならその返答で魅力を感じられるけどね。」  母は、遠くを見つめながら、近くを見つめ直す。その先に見えるものは、聴こえる700分の1の光を照らすが、1をも超える光源のようなもの。母には手に取るように

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        後悔 #1

          今世紀最大の夢

          眠りたいとよく思うようになりました。それは、覚醒、起きている時が異常なのか、まだわかりません。なぜ意識を失うことが私たちにとって気持ちの良いモノなのでしょうか。 今日も雨模様でした。こんだけ雨も続くと、神の恵みとは言えないほどに数日降り続いています。帰り際、寄ったコンビニで買った缶ビールに雨が滴る。雨粒の裏に映るビールは、岐路の途中に見ると光るおもちゃ箱のようでした。 私は眠るのが好きです。意識が無くなる瞬間、解き放たれると思うか、見放されると思うか。人それぞれだと思いま

          今世紀最大の夢

          すぎた通り雨

          HBの鉛筆で漢字ドリルを殴り書きしている。 宿題をやりなさいとお母さんに言われた。 言われなくても自分のペースでするのに、何でいちいち言ってくるんだろう。 めちゃくちゃむかついた。 その怒りを漢字ドリルに向けた。 嗚呼、おやつを食べてから、どんだけ経ったかな。 どれだけ綺麗な漢字を書いても、字は荒れていく。その度、鉛筆の芯が折れる。 僕は舌打ちを一つ、部屋に響かせた。 今日出された宿題。漢字ドリル1ページ分。 "早く宿題を終わらせて友達と遠くで遊びたい" また今日も殴

          すぎた通り雨

          サメになりたい

          泳げなかったら、溺れれたのに。 一度泳ぎ方を覚えてしまった時から、溺れることは無くなった。 私がサメかなんかだったら、海に引き摺り込むことはできただろうに。 私だって、大海を知らぬまま溺れたかった。 私だって、沢山幸せを経験してしまった。 水中で目配せをした。貴方の目には哀れみの感情が宿っていた。 貴方は沸々と湧き出る妬みをガソリンに、底の見えない海を渡った。 その後ろ姿には、誰かに向けての背ビレが付いていた。

          サメになりたい

          冬の訪れ

          私の彼氏はスーパーマンだ。そうじゃないと説明がつかない。 飛騨高山を彷彿とさせる筋肉を趣味の悪い灰色のスーツで隠し、毎朝か細い声で「いってきます。」を言って出ていく姿は、どこか残党的で好きだった。 そんな彼という人間に、私は期待していた。 だからあの春に桜の下で好きと言った。 いつか散っても、その残り香も楽しめる季節に。 どこまでも紳士的で謙虚な彼は、仕事場でもヘコヘコとしていた。捻くれた考えをする上司を否定することなく。服の下の筋肉は、その時どんな顔をしていたのかな。

          冬の訪れ