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サメになりたい


泳げなかったら、溺れれたのに。

一度泳ぎ方を覚えてしまった時から、溺れることは無くなった。

私がサメかなんかだったら、海に引き摺り込むことはできただろうに。

私だって、大海を知らぬまま溺れたかった。
私だって、沢山幸せを経験してしまった。

水中で目配せをした。貴方の目には哀れみの感情が宿っていた。

貴方は沸々と湧き出る妬みをガソリンに、底の見えない海を渡った。

その後ろ姿には、誰かに向けての背ビレが付いていた。

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