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乳がんの記録 ~5~

◆リハビリ

術後すぐのうちは胸部に固定具とバンドが取り付けられていましたが、数日経ってそれらがようやく取り払われ、そこからはだいぶ身軽になりました。改めて目にした我が身は、一言で言うと「…クレーター?」

胸があった場所はものの見事に抉れ、斜めに手術の傷が入り、そのやや下からリンパ液を抜くドレーン(管)が通されていました。
なんだか名誉の傷を負った歴戦の戦士みたいで、ちょっとカッコいいかも?!…なんて…ほんの少し思ったりして(笑)

麻酔が完全にとれてからは流石に胸に疼痛を感じるようになりました。特にリンパまでメスを入れた腕!攣(つ)れたような痛みが続き、
不快感が解けるまでやや時間を要しました。中身を取った分ただでさえ面積の狭い皮膚をひっつめて縫い合わせていますから、最初の裡はもちろん腕も満足に上がりませんでした。
でも、痛いから、動かないからとそのままにしていると、狭くなった可動域が回復しなくなってしまいます。


入院中は、リハビリを兼ねてせっせと書き物をしていました。
写真は和漢朗詠集を読み書きしていたところ。藤原行成大好き。

 腕が動かなくなったら不便この上ありません。仕事にも趣味の書道にも響くので、手術の次の日から看護師さんに教えて頂いたリハビリをかなり必死こいて行っていました。
 おかげで、これを書いていた頃(術後約1か月半経過)は殆ど腕を動かすのに不自由は感じませんでした。あるべきだったものは無くしましたが、慣れてくれば驚くほど違和感がなくなるものです。
大丈夫。私は私のままだ。
これからも力強く生きていける。

…余談ですが、手術後の患部とその周辺の様子・個人的に感じたことを、
忘れないうちに箇条書きでまとめました。

① 全摘出した後の胸部クレーターですが、肌の感覚が完全に戻ることはないそうです。そこだけ樹脂製の板を一枚当てたように、一部痺れた状態が残ります。

② 胸を摘出した後に残された皮膚は暫くびりびりとした疼痛が残りますが、これは時間と共に収まってきます。個人差もあると思いますが、2か月もすればほぼ気にならなくなります。しばしの辛抱。

③ 抉った後の胸部は衝撃を受け止める”クッション”が完全になくなった状態です。感覚こそありませんが、皮膚の下はすぐに胸筋そして肋骨。うっかり物が強く当たれば大ダメージ必須です。それまで以上に労わりましょう。
退院したらすぐに胸部を保護する補正下着等の小物が必要になります。
 (タオルや手作りの小物で凌ぐ人もいらっしゃいます)

④ 病院から、術後暫くは「重いものを持たないこと」「怪我をしないように注意する事」と指導されました。無理をすると多分後で反動が来ます。遠慮せず周囲の助けを借りて、どうか大切な自分の身体を労わってください。
(とか言っておきながら、私は早々に仕事フル復帰でしょっちゅう無茶しちゃってる…)。

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