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ピグマリオンかゴーレムか


ピグマリオン、ゴーレムなんてなんだかイギリスの児童文学に出てきそうな精霊のような名前ですね。実は教育心理における教育効果に関する言葉なんです。

大学時代、教育心理の単位を取るために勉強していて、「ピグマリオン効果」について学び、衝撃を受けました。

ピグマリオン効果とは、教育心理学の用語で、他者から期待されると成績が向上する現象をいいます。 アメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールが提唱したことか「ローゼンタール効果」とも呼ばれました。

またWikipediaによると、

別名、教師期待効果(きょうしきたいこうか)、ローゼンタール効果(ローゼンタールこうか)などとも呼ばれている。なお批判者は心理学用語でのバイアスである実験者効果(じっけんしゃこうか)の一種とする。ちなみに、教師が期待しないことによって学習者の成績が下がることはゴーレム効果と呼ばれる。

とあります。

大学時代、ガッテン!とばかりに納得したのは、私の毒父が私へしてきた言葉かけです。父は、常々、「出来が悪い。本当に俺の子か?俺の子のわりにたいしたことがない」と貶して褒めてくれることは滅多にありませんでした。さらに、高校時代、日本史と世界史を選択する際悩んでいたら、「世界史はカタカナを覚えることが多いし幅広い知識がいるからお前の頭には無理だ。日本史の方がマシだ。」と言い、私は初めから世界史は私には難しいと洗脳され、諦めました。

教育心理用語で言えば、まさにゴーレム効果の結晶です。嗚呼、悲しい哉。

自分の親の言動が自分が育つ上でいかに影響を与えるものであるのか、大学時代に多方面から知ることになった経緯から、私は我が子をピグマリオンで育てようと決心(実験?)しました。

特に娘が同じように日本史か世界史が迷っていた時、小さい頃から「漫画世界の歴史」を読ませ、テレビでは「世界不思議発見」を見せていた私は、こう言いました。

「あなたはとても記憶力がいいし、カタカナをスラスラ言えるよね。世界の歴史の漫画もよく興味持っていたし絶対得意になるよ。ママは世界史の知識が乏しいから是非勉強して教えてくれない?そんで、いつか海外旅行した時遺跡とか歴史とか解説してくれない?」と。

全てのタイミングが良かったのでしょう。娘は手強そうな世界史を嬉々として学び、テストは高得点を取るようになり、今でも世界史が大好きです。世界史以外も苦手そうなことにぶち当たる度にピグマリオンしてきました。

よって実験成功です。嘘っぽいのは絶対ダメなので闇雲に褒めちぎって育てるのもよくはないと思いますが、こと世界史についてはこれで娘が得意になったら、その時が父へのリベンジだと思い、見事にピグマリオン効果を発揮できました。

褒めたり、励ましたり、希望を持たせるなんて当たり前のようでそれが下手な、 いや、できない人もいるのです。
それって実はかなり高度な技(スキル)なのだと思います。

まずは、自分自身に強いコンプレックスがあるとできません。自己肯定感がなくてはできません。あと、自分と褒める相手に境界線がなくてはできません。

毒父は育った家庭環境から来るパーソナル障害?でそれができない、とわかるようになりましたが、私は教育心理を学んだことで客観的に認識でき、自分で自分を育て直す人生を送り、子育てで自分の育てられ方の真逆を実践することができました。

淡々と書きましたが、それはそれは苦痛そのものです。自分がされなかったことを相手にするというのは。でも価値のある苦労でした。

あなた自身ピグマリオンになるか、ゴーレムになるか、どちらを選びますか。

子どもはどんな子も何か光るものを持っています。自分の子だからといって良くも悪くも自分の能力と同じはずはない。だけど、ピグマリオンを信じてその子がプラスの方に行けるように導けるのです。

自分の中にあるピグマリオンを信じよう。

日々是感謝  羊





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