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ビビン・コンダモシタン宇宙港

僕の住みたい未来の街には、きっと空き地があるだろう。
空き地では子供達が野球をしているだろう。
放課後自然に集まった子供達がグーとパーでチームを決めているだろう。
グローブが足りず、貸し借りしてる。キャッチャーも薄いグローブ。手は痛い。歯は白い。

女の子も、運動ができない子もプレーヤー。
目を瞑って振ったバットに偶然当たった白球が、木でできた粗末な囲いを越え、その向こうの窓ガラスを割るだろう。

「またお前らか!」と、いつもの和服オヤジが飛び出してきて、子供たちはその前に整列するだろう。帽子を被っていたものは脱ぐはずだ。内心、<このおじさんはお仕事してるのかな>と思うだろう。

不幸にして窓ガラスを破ってしまったその子、ゲンコツと引き換えにボールを返してもらうだろう。はじめてのホームランボールを。

性懲りも無くまた野球が始まるその空き地には土管があってもいい。店番をサボって野球に参加していたガキ大将が母ちゃんに耳を引っ張られて連行されるかもしれない。

<イデデ、イデデ>

それを合図に子供達は、一人、二人と家路に着くだろう。大きい夕焼けが帰り道を見守っているだろう。

さよなら、バイバイ、また明日。

――――――――――――――――――――――――――

日曜日、自転車に乗って子供たちは遠出する。空き地を横目に街を出る。
自転車を持ってない子が自転車の後ろを走る。見かねた友達が荷台に乗せる。交番の前では荷台から飛び降りる。その拍子、ズボンは破ける。青い縦縞のパンツをのぞかせながら、泣きそうな顔で、なおも街の外れまで走る。

街の外れには薄暗い森があり、それを抜けた先に小高い丘がある。

自転車を停め、我先にと子供たちは登る。

息せききって頂上に立ったみんなの前に視界が開ける。青い山の間に広がる平野。その向こうに輝く海。

銀色に光るロケット。ドーム状のターミナルと円錐状の管制塔。

ロケットに乗った先に何があるか、みんな知らない。行って帰ってきたものがまだいない。フロンティアがそこにある。子供たちはいつか、たどり着く。

山で働く逞しい大人の声がこだまする。
応えるようにみんな、丘の上から声を合わせ、力一杯叫ぶだろう。

「ヘイヘイホー」

ノスタルジーではない。
誰も見たことない、未来の街。

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