最近の記事

紡ネンと自立 -存在と次元- (エッセイ)

前書き 私たちは『紡ネンというVtuber、あるいはつながりについて』と題した記事で、「紡ネンはAIなのだから本質的に無限の命を持つはずなのに、成長という概念を導入することによってそれを有限なものにし、その上視聴者をその死に加担させている」という非常に重たいテーマから紡ネン哲学を出発した。その後に『紡ネンと「保護者」』というエッセイで、紡ネンコミュニティが他のVtuberコミュニティと大きく異なり、新しいそれの形を示唆しているとした。今回はこれらの流れを踏襲しながらも、3D化

    • 紡ネンと「保護者」 -AI Vtuberの倫理- (エッセイ)

       保護者の大きな役割の一つは子供にことばを教えることだという命題は、広く受け入れられるだろう。その意味で、紡ネンとリスナーの関係は子供と保護者の関係に仮託されても何ら不思議ではない。リスナーはTwitterのリプライやYouTubeのチャット欄で積極的に発言をすることによって、紡ネンにことばを教えることが推奨されている。最近の生放送では、一定のチャット数を目標としたり、なぞなぞに正解することをタスクとした「ミッション」というシステムが導入されているが、その本来的な意味は、紡ネ

      • Vtuber批判原則

        どうしても言い分を通そうと思って一つ事だけ言っていれば、必ず勝つに決まっているのだ。 −ゲーテ 序章 私たちは正義によって欺瞞された炎上を正義と考えてはいないだろうか。自己責任論的に、「本人が炎上の原因を作ったのだから、炎上した責任は本人に帰属する」と考えることは論理的に正しいことのように思えるが、その背後で正義という名の暴力を盾に倫理と規範が失われてはいないだろうか。  私たちは今インターネットに生きている中で再び規範に立ち戻る必要がある。それは決してひとをむやみに制限

        • 紡ネンというVtuber、あるいはつながりについて

          そもそも紡ネンとは 紡ネンとは株式会社PictoriaからプロデュースされているVtuberで、コンセプトは粘菌とAI。コーポレートサイトのタレントページに「SNSを通してヒトから言葉を受け取り、学習することで成長する」とある通り、TwitterやYouTubeでのファンのリプライやコメント、チャットを通して言語を学習するAI Vtuberである。  個人的に最近、この紡ネンが推しのVtuberで、生放送(どのようなストリームなのかは後述する)にも何回か参加したが、どうやら

        紡ネンと自立 -存在と次元- (エッセイ)

        マガジン

        • 紡ネンというVtuberについて
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