ここまで脊椎、骨盤の矯正法、歪みのメカニズム等について言及してきましたが、脊椎、肋骨、肩甲骨、胴体について今一度考察していきます。

胴体の可動方向は結局骨盤や脊椎同様、前後屈、回旋、側屈方向の3次元となります。

この3方向ですが、年齢を重ね、様々な部位が硬化していく中でも、とりわけ側屈が最も可動域制限が起こるように見受けられます。前後屈は柔らかい、しっかり股関節も屈曲する、座位なら胴体もある程度回る(回旋)という方でも、側屈が理想的に行える、ということになるとなかなか難しいように感じています。

側屈動作が硬いということは、骨盤から肋骨にかけて可動性が失われているということなので、側部が縮み、姿勢不良、円背の進行もなかなか抑えにくくなります。

筋肉的には腰方形筋、肋間筋群、脊柱起立筋群、背筋群等にあたり、これらの筋肉群が硬化、変性していきます。肋間筋群の硬化は肋骨、横隔膜の動きを制限することから、呼吸が浅くなり、酸素供給量も減る為血流不全及び酸欠による細胞の代謝不全、変性、壊死を招くことで更に肋間筋群が硬化する、という負のループに陥ってしまう恐れがあります。

肋骨の可動制限は上肢の可動制限、頸椎の可動域も抑制してしまいます。ラジオ体操のような側屈動作、つまり上肢を耳の傍まで挙げて逆側に側屈するような動きも制限する為、常に胴体側部は収縮してしまいます。

円背は極端な胴体の屈曲姿勢の常態化ではありますが、むしろ前後屈の動作以上に側屈の動作の方が硬化して可動域制限が起こることで円背が増長されると感じています。

日頃から胴体の3方向の可動性を養っていくことが骨盤の可動性、四肢の可動制限を防ぐことになります。

側臥位で片手を床について胴体を起こし側部を伸ばしたり(図1)、指を壁にはわせて、屈曲側に重心を乗せて側部をストレッチさせる立位動作(図2.3)を行いストレッチをしていきましょう。

図1 上方側の脚を前方について側屈
図2 壁に指を這わせる
図3 上肢屈曲側に重心を乗せて肋骨をストレッチ


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