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社会人大学院生時代の振り返り:大学院選びから入学までの駆け込み

北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の博士前期課程に2021年4月から2023年3月まで在籍し、修士(知識科学)の学位を取得しました。この記事では、なぜ/どのようにJAISTを選んだのかを、修了後のいまの視点も交えながら綴ります。

当時の実際:JAISTと伊藤泰信先生のことを知った経緯

別の記事で入学を志すまでの半生を綴ったとおり、デザイン人類学を探究するために、大学院への入学を考え始めました。2020年11月当時(の日本では)、デザイン人類学はこの記事の執筆時点ほど議論されておらず、情報量も少ない状況でした。そのため、私のアカデミックバックグラウンドとして一切接点がなかった文化人類学に向き合える大学院を探すことにしました。なお、東京で働きながら大学院に通うことを想定していたため、海外の大学院留学は当初から選択肢に入れていませんでした。

そして、情報収集を開始して割とすぐにたどり着いたのがmihozonoさんのnoteで、以下の記事をきっかけにJAISTと伊藤泰信先生のことを知りました。この記事を含め、私が社会人大学院生時代のことを振り返ってnoteに残そうと思ったのは、なによりも私自身がnoteからきっかけをいただいたためです。

当時の実際:JAISTを知ってから入学までのスケジュール

JAISTは社会人コース特別選抜(入試)が年3回あり、私は最後の機会に駆け込みました。以下が実際のスケジュールです。

2020年11月14日 多摩美術大学クリエイティブリーダーシッププログラム修了
2020年11月15日 JAIST東京社会人コース説明会@オンライン
2020年12月7日 いつでも大学院相談会(個別面談)申し込み
2020年12月27日 伊藤先生面談@JAIST東京サテライトキャンパス
2021年2月4日 出願
2021年2月27日 入試@オンライン
2021年3月6日 合格通知→数日内に配属研究室入学前内定制度をやり取り
2021年4月1日 入学

この記事を執筆するにあたり、伊藤先生と面談した年末時点の資料を見直してみましたが、問題意識・仮説として以下を書いていました。

・ 時代観として、MBA的枠組みでは新たな「価値」は生み出せないのではないか
・ 社会科学・人文科学の知見を取り入れた「創造」に向き合うべきではないか
・ (広義の)デザインと、人類学的態度が、次代の価値創造を担うのではないか
・ これらの知見を実践的方法論として、当社の事業創出の仕組みに取り入れたい

(安易にデザイン人類学という言葉を使わず、むしろこの記事の執筆時点の立場に通ずることを書いていて自分自身で驚きましたが、)ご覧の通り、まったくもって“研究計画”になっていません。そのため、面談後から急ピッチでの研究計画書の作成がはじまりました。1月半ばから2月頭にかけて伊藤先生からメールの往復で助言をいただき、なんとか出願に間に合わせ、合格することができました。
(修了後のいまこそわかりますが、伊藤先生からすると、この時期は指導する学生の論文執筆・最終審査も佳境。それにもかかわらず、入学前の一人に対して丁寧に対応いただけたことは、本当に感謝しかありません。)

修了後のいま、助言をするなら

私は大学院入学を志してから入学まで一本道を最短で駆け抜けることができましたが、幸運な例だと自覚していますので、社会人大学院生や文化人類学に関心がある方に相談された際には以下のように話しています。

・大学院入学検討時には、以下のように問いのステップを踏んでいくと整理しやすい。特に1と2は研究のモチベーションに直結するため、曖昧なままだと入学後つらくなる可能性もある。関心のある領域の論文や学術書を読んでみて、自分が取り組んでいるイメージを持てるかどうかは大切。
1. 学術的な研究をしたいのか? ←大学院であることの必然性
2. どんなテーマを研究したいのか? ←学術的貢献を目指す領域の明確化
3. そのテーマについて指導してもらえそうな先生は誰か? ←領域とのフィット
4. その先生が所属する大学院に社会人大学院生として通えそうか? ←実現可能性

・文化人類学への興味を満たす目的なら、いまはさまざまなプログラムもあるので、学位取得を目指す大学院以外の選択肢を考えてもいいかもしれない。
合同会社メッシュワークの人類学ゼミ
磯野真穂さんのオンライン講座FILTR
大阪大学Ethnography Labの基礎講座

・デザイン人類学は未だ立ち上がり途上で、自らその領域を切り開いていくような気概や経験がないと研究として向き合うことは難しい印象。デザイン人類学についての書籍やトークイベント、関連する文化人類学者/デザイン研究者をフォローするところから始めてみてはどうか(たとえば以下の先生など)。
多摩美術大学 中村寛先生
大阪大学 森田敦郎先生
専修大学 上平崇仁先生


ここまでたびたび「デザイン人類学を探究するために」と書いてきましたが、私の研究は最終的に「デザイン学に貢献する、文化人類学的調査による研究」に落ち着きました。つまり、入学前のイメージとは異なる研究に取り組んだことになりますが、この研究についての2年間の紆余曲折は、別の記事でまとめたいと思います。

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