見出し画像

私が社会人大学院に合格するまで

4月からJAIST博士前期課程社会人コースに進学しまして、なぜ大学院進学を決めたのか?というWHYを中心にnoteに書きました。

こちらのnoteでは大学院合格までにやったHOWを書いていこうと思います。私の場合、大学院に関する知識ゼロのところから実質半年ほどかけて情報収集や入試対策を行っていきました。(実際には検討し始めた時期から含めると2年ほどかかっているのですが、詳しい経緯は前回のnoteに書きましたので、今回は割愛し文化人類学専攻でいこうと決めたところから書いていきます。)

志望校を絞り込む

2019年8月
自分には大学院も文化人類学もまったくツテも何もありませんでした。(一応、大学時代のゼミの先生が顔が思い浮かびましたが、当時出来のよい生徒でもなかったし今更進学の相談というのもなんだか気が引けました。)そこで、LinkedIn経由でつながった文化人類学修士である大学の後輩に相談にのってもらい、大学ごとの方針や特徴、例えば◯◯大学だと博士までいくことが前提になっているプログラムだとか、そういった外からはわかりづらい情報を色々教えてもらいました。さらにビジネスエスノグラフィならばJAISTか筑波大学しかないだろうということで先生まで紹介してもらいました。学部の大学選びは学部や偏差値で選んでいましたが、大学院となると研究室との相性が重要(ということも知らなかった)。JAISTも事前に教授と面談し、研究室受け入れの内諾をもらってから受験に臨む必要があります。もし内諾ないままに合格しても、希望の研究室に受け入れてもらえない場合もあるそうです。

また、他にも選択肢はないだろうかといろんな大学の募集要項を夜な夜な読み漁りました。ただ、残念なことに現状では社会人のまま通えるところはかなり限られるようです。例えば東大の募集要項には、以下のような記述があり社会人学生は実質NGというメッセージとして受け取りました。

(5)在職中の者は、次の点に注意すること。
ア.大学院に入学を許可された場合、在学期間中は大学院の学業に専念すること。
イ.在職のまま大学院に入学をしようとする者は、入学手続の際に、在学期間中は学業に専念させる旨を記した、勤務先の長(任命権者又はそれに準ずる者)による証明書を提出すること。
東京大学大学院総合文化研究科修士課程学生募集要項

もちろん生半可な気持ちは修了できないというメッセージだし、険しい道だというのは理解はしていますが、国立大学こそもっとリカレント教育など多様な人に対して門戸を拓いてほしいなと思います。

研究室訪問

2019年9月前半
紹介してもらったJAISTの伊藤先生にアポを取って、進学説明会の後に初めての研究室訪問のお時間をいただきました。大学が定期的に開催している説明会などは雰囲気もわかるし研究室との接点も作りやすいので参加するとよいと思います。私は特に何も用意せず手ぶらでいき、過去の登壇資料を共有しながら簡単に自分の仕事を紹介しつつ口頭で現状考えている研究計画をざっくり話したのですが、この時ポートフォリオや、その時点での研究計画書など準備出来ていたらもっとスムーズだったかなと思います。それでも先生からは「私としては是非という気持ちだが、合格するかは保障できないので一緒に準備を進めていきましょう」と言っていただけました。

別日に筑波大学でビジネスエスノグラフィを教えられている朱先生にも研究室訪問のお時間をいただきました。私もこのときまで知らなかったのですが、筑波大学も東京に社会人向けの施設をもっています。ただ、こちらはMBAコースの一授業という位置づけで、ちょっと自分自身がやりたいことと違うような印象を持ちました。この時点で受験するのはJAIST一本に絞られます。

大学院の先生というとそれまで接点がなかったので、どんな感じなんだろう…!と緊張して迎えた研究室訪問でしたが、快くお時間を取っていただきこちらの実務のことにも興味をもっていただき、その後も情報交換をさせていただけており感謝しています。

研究計画書に着手

2019年9月後半
JAISTの研究室訪問時に「研究計画書をつくって共有してください」と宿題をもらっていました。といっても、研究計画書って何から考えたらいいんだろう…?全くわからず困ったので、調べつつ手探りでつくった第一弾を携えて再度個別面談の時間をいただきました。その時に参考にした記事はこちらです。

面談では内容のフィードバックの他、研究計画書に含めるべき項目を教えていただいたり、先行研究にあたる論文を共有してもらい、そこに載っている参考文献を一通りたどって見るようにアドバイスをもらいました。

図書館にこもって論文を読み漁る週末

2019年9-10月
平日は仕事でなかなかまとまった時間がとれないので、毎週末図書館にこもって準備をする生活がはじまりました。参考文献リストに入っていたものを片っ端から図書館で検索し予約しまくって、10冊まとめ借りしては返し、また借りてを繰り返していました。そして、Notionを使ってこんな感じで論文リストを管理していました。タイトルとどういう分野のものかタグ付けをします。

スクリーンショット 2020-05-08 22.35.42

それぞれの記事には論文があったリンクをメモしておいたり、あとから必要なときに思い出せるように、ざっくりどういうことが書いてあったのか箇条書きでまとめていました。

スクリーンショット 2020-05-08 22.33.20

研究計画書のFIX

2019年10月後半
参考文献なども付けてアップデートした研究計画書をメールで再提出し、フィードバックをもらいました。これで一段落…!と思いたいところでしたが、受験当日に見られるのは研究計画書そのものではなく、出願時に提出する小論文と当日のプレゼン資料です。そのため研究計画書をわかりやすく小論文とプレゼン資料に直す必要がありました。小論文の限られた字数内でいかに伝えられるか日々推敲したり、同僚にもフィードバックをもらったり、その他必要な職務経歴書を書いたり、成績証明書など細々とした提出書類を揃えたりと忙しくなりました。

いざ出願

2019年11月後半
小論文とプレゼン資料もおおよそ完成したところで先生からまたフィードバックをもらい、最終修正したものをいよいよ出願!なんとか期日に間に合ったことにホッとしました。この時点でもう小論文は手を入れられないので、あとはプレゼン資料のブラッシュアップとプレゼンの練習。

受験当日

2019年1月前半
そして迎えた受験当日。当日は研究計画を10分弱でプレゼンテーションし、残り20分ほど口頭試問で3名の先生方に詰められるスタイルです。怖い!私の場合、小論文やプレゼンの内容自体のツッコミというよりも、例えばUXリサーチってどういうことを指しているのか?など言葉の定義の質問が多く、バックグラウンドが全く違う先生方を想定し言葉の定義や前提の説明を丁寧にしておくべきだという反省がありました。

そして1月後半、晴れて合格通知を受け取りました!

振り返って思うこと

やはり働きながら受験準備をするのは大変でした。ただ、これからの進学後も同じように仕事と学問を両立させる生活が続くと思うと、早めに慣れておく意味でも大事な期間だったように思います。私は入学前に2年分の学費を貯めておきたいと思いちょこちょこ副業をやったりしていたのですが、本業+副業+受験準備はさすがに大変で、進学後は副業の量は調整しないといけないなということにも気づけました。

根を詰めすぎると「私はなんでこんな苦難を自ら選んだんだろう…」「本当に大学院行きたいんだろうか…」と気持ちが沈むこともあったので、適度な気分転換は大事だと思います。大学院進学が決まるとなかなか海外旅行も行きづらくなるかな…と思って10月後半に2週間程度北欧に旅行にいったし、年末もがっつり休んでイタリア旅行にいったりと、大胆に息抜きもしていました。

それから、仲間がいるとなお良かっただろうなあと思います。私の周りには同時期に受験している人は残念ながらいなかったので、社会人学生の方のブログなどよく見ていました。かなりキツイとか、つらいとか、リアルな話が多くて希望はないのですが(笑)それでも歯を食いしばって頑張っていたり、学ぶこと自体楽しんだりしている人たちがいるんだよなあって励まされるので、特にこのアドベントカレンダーはオススメです。

以上、社会人大学院進学を検討されている方がいらっしゃれば、何かしら参考になれば幸いです!

大学院で使う本を購入させていただきます!