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ガソリン車販売禁止延期

足並み乱れるEU

 欧州連合理事会は2035年までにEU域内で販売される乗用車及び小型商用車について、ゼロエミッション車とする法案の採択を延期した。本来は3月7日に行う予定であった。

 本法案に反対したのはドイツやイタリア、ポーランドでブルガリアは棄権の意向を表明した。ドイツは「eフューエル」で走行する内燃機関を搭載した自動車について特例で認めない限り賛成しないとした。最終局面を迎えた手続きが承認されないことは極めて異例である。

 最終的にはeフューエルを使用する内燃機関車に限り2035年以降の新車販売を認める形に収斂した。フランスはこの決定を批判している。

自動車大国

 EUで自動車大国と言えば、ドイツとイタリアが筆頭だろう。メルセデス・ベンツやアウディ、BMWなどは、日常使いからスポーツ、ラグジュアリーまで幅広いラインナップを揃えている。イタリアには憧れの跳ね馬であるフェラーリやトラクターの製造から始まり今では轟音を轟かすランボルギーニなどがある。

 これらの国では自動車産業に従事している人も多い。電気自動車は内燃機関搭載車に比べて部品点数が少ないことから、自動車産業に従事している人の削減が求められる。自動車大国であれば、基幹産業が大転換を強いられることになり雇用の面からも電気自動車への完全移行は厳しいものがある。

脱炭素社会の「正解」は?

 さて、脱炭素社会が叫ばれる中で自動車業界として何が「正解」なのだろうか?走行時に、二酸化炭素を発生させないことが正解なのか。それとも、製造過程から廃棄までの総合的観点から二酸化炭素を排出しないことが正解なのだろうか。この問題に対して、自動車業界の目指す正解は異なっている。

 トヨタは脱炭素社会に向けて電気自動車が唯一の正解であるとは言っていない。現在、トヨタは電気自動車の生産販売に本腰を入れ始めた。同社の高級自動車ブランドであるレクサスは「Lexus Electrified」を既に発表しており、2035年までにはグローバルでバッテリーEV100%を目指すとしている。また、トヨタブランドとしては、水素自動車やハイブリッド車などのラインナップ充実を図るとしている。

 一方、日本メーカーでもホンダは2040年までに販売する全ての車両を電動化すると発表している。ホンダはSONYと車両開発で提携することを発表し、ただの移動手段ではなく、そこにプラスアルファの価値を付与することを目指している。また、海外勢では、ボルボ・カーズが2030年までに全てを電気自動車に置き換えると発表している。この発表は現在、内燃機関を販売するメーカーが全てを置き換えるということで世界の衝撃が走った。

 この様に各社が目指す「正解」は三者三様であり、一概にこれが正解であるとは言えない。脱炭素社会の「正解」が出るのは、まだ時間がかかるようだ。

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