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米国市場の市況


止まらない利上げ

 FRBは6月の会合では11会合ぶりに利上げを停止した。しかし、パウエル議長が記者会見で更に2回の利上げを実施する可能性に言及したため、マーケットで囁かれていた今年中にも利下げが行われるとの観測を打ち消した。これにより、一時、円高基調であった為替相場は再び円安方向に進み145円をタッチした。

 また、7月6日と7日に発表されたADP雇用統計及び雇用統計を受けて、金利水準は銀行破綻が連鎖した3月の水準に達している。依然として強い経済がFRBの利上げに青信号を送っている。これらのリポートを受け市場は7月及び9月若しくは11月に利上げが実施される可能性を織り込み始めている。「金利は経済の温度」とも言われる。金利の動向に市場の視線が集まっている。

依然として強い経済

 雇用統計によると6月の平均時給が予想を上回る伸びを示しており、依然として労働市場が堅調であることを物語っている。失業率に関しても市場の予想通りであったものの歴史的に低い水準に留まっている。ブルームバーグによると、政策当局者らは来年の失業率が4.5%に上昇する見通しであると報じている。しかし、今回の雇用統計はそれに反する数字であり、政策当局者らを悩ませている。

 但し、レイオフ数は増加しており、堅調ながらも亀裂が労働市場には見え始めている。特に、IT分野では積極的に行われている。失業率の上昇は物価の低下に結びつくが、インフレは粘着性が高く労働市場も依然として売り手市場であるためFRBの動向には注視が必要である。

リセッション入りなるか?

 さて、多くの市場参加者はアメリカ経済がリセッションに陥ると予想している。但し、タイミングについてはまちまちである。今年の後半に景気後退に入ると言う観測もあれば、来年であると言う観測もある。7月初めに発表されたISM製造業購買担当者景気指数は46となった。この指数が44を切るとほぼ確実に景気後退に陥ると言われている一方で、上記で指摘したように労働市場は堅調である。

Investing.com より引用


 市場にとって、“Bad news is good news.”である時もあれば、“Bad news is bad news.”である時もある。つまり、指標毎に指し示す方向性が違うため、どれを信用していいのか判然としない。アメリカ株は年初来、大きく上昇してきたが、それに寄与しているのは大型株(アップルやマイクロソフトなど)である。間も無く四半期決算シーズンに入るがこれらの株式の決算が転けた場合、突然「不快な下落」に見舞われる可能性も否定できない。

 日本株は年初来、好調を維持しているが一段の上昇にはやはりアメリカ市場の伸びが求められる。アメリカ市場は世界の中心であるが故に、多くの市場関係者がその行方に注目している。

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