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躍進する電気自動車


加速するEVシフト

 ボルボはディーゼル車の生産を2024年初頭に終了すると発表した。ボルボは2030年までに新車販売において全て電気自動車にする目標を掲げている。僅か4年前までは、ボルボの主力車種はディーゼル車であったのだから驚きを隠せない。

 そして、日本企業でも電気自動車の将来に賭ける企業がある。日産は9月25日に2030年までに欧州で販売される新車を全て電気自動車にすると発表した。内田社長は「後戻りはできない」とした上で、電気自動車への切り替えが「私たちのビジネス、お客さま、そして地球にとって正しいことだと確信している」と述べた。

 この様に従来は内燃機関車をラインナップの中心に据えていた企業が大きく舵を切り電気自動車への転換をしている。

豊富になるラインナップ

 電気自動車のラインナップはここ数年で豊富になっている。デザインやデバイスの先進性を売りに躍進しているメーカーもあれば、安さを売りにしているメーカーもある。はたまた、スポーツ性能を謳い文句にしているメーカーもあり、消費者に対して彩り豊かな選択肢を提示できる様になっている。

 その中で、これまで電気自動車の代表格に挙げられるテスラは価格も安くなってきた。ギガファクトリーでの独自製法は値下げに寄与し、販売台数の増加につながっている。また、中国メーカーは安さを売りに勝負を仕掛けている。BYDが最近、日本で発表した電気自動車は補助金込みで200万円台を実現している。

    電気自動車の値段は高いイメージがあるが、内燃機関車と同等の水準に来ている。その他にも、欧州メーカーはこれまで培ってきたラグジュアリー性や静粛性を電気自動車に盛り込んでいる。

立ち位置を自問

 近年、大きく躍進している電気自動車であるが電気自動車の普及は簡単なことではない。自動車産業に従事する労働者は関連企業も含めて552万人であると試算されている。しかし、電気自動車は内燃機関車に比べて一台当たりの部品点数が少ない。そのため彼らが雇用を奪うことになる。特に、自動車産業が大きい日本やドイツ、イギリスなどは大きな問題となってくる。例えば、欧州ではイギリスでは内燃機関車の新車販売を2035年まで認める決定を下した。また、EU内においてeフューエルを条件に内燃機関車の販売を2035年まで認めている。

 また、電気自動車の製造は多くの二酸化炭素を排出する。完成して走行すればエコであるが、それまでは環境負荷が大きい。また、電気自動車のバッテリーに関連する問題点や重量が内燃機関車に比べて重く道路やタイヤに対する負担が大きい点など解消すべき課題は未だ多い。

 何れにせよ、時代は電気自動車の普及に舵を切っている。蒸気機関車が内燃機関車に取って代わられた様に、今度は内燃機関車が電気自動車に取って代わられる日が近づいているのかもしれない。

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