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職場全体で健康行動を盛り上げるしくみは「イベント」を活用してつくろう

新年度を迎えた4月のシリーズとして、より積極的な健康管理のしくみをつくる新しいアプローチをご紹介してきました。

これらはいずれも、従業員が個人で積み重ねる健康行動に対し、有効です。
一方、組織全体として考えた場合はどうでしょうか。健康に対する考え方は千差万別。「関心の高い人はどんどん先に行ってしまい、そうでない人はいつまでたっても参加してきてくれない」このような嘆きが現場ではよく聞かれます。

今回は、「どうやったら組織全体で健康への意識を高めていけるのか」についてみていきましょう。キーワードは「イベント」です。

コミュニティの動きを加速させる「ピア効果」

人は常に、周囲にいる人の動きを考えながら行動しています。生まれたときからずっと、誰かと関わりながら常に複数の人と一緒に過ごしているのですから、当然といえるでしょう。「自分がいちばん大事」という言葉にも、他を気にして動くこそ出てくる優先順位(いちばん)が入っているのです。

個人に対して働きかける動機づけやゲーミフィケーションの考え方も、より持続的に発展させるには、複数の人が関わりあうコミュニティへの働きかけが不可欠です。
このとき、応用したい心理的バイアスのひとつに「ピア効果」があります。

ピア効果の「程よい競争」で互いを高める

ここでいうバイアスは、偏見のような悪い意味での評価を指しているわけではありません。中立的な心の働きの傾向です。

ピア効果は、隣に誰かがいるとついがんばりたくなる現象をいいます。
ピア(peer)は仲間という意味です。年齢や所属、能力などの属性が同じ仲間や同僚が周りにいると、互いの行動に影響を与え合い、切磋琢磨することにより、パフォーマンスが上がります。
「一緒にいるから、がんばれる」わけです。

ピア効果を発揮させる3つのポイント

ピア効果が力を発揮するには、いくつかの条件があります。

1つ目は仲間がフラットな存在であること。程よいライバルがいると、ちょっと頑張れば超えられそうで、互いに抜きつ抜かれつする関係になれます。
力量差が大きく、自分より明らかに能力が高い人と一緒にいると、人は努力せず、むしろ後退する可能性すらあります。また逆に、自分より能力が低すぎる人と一緒にいた場合も手を抜いてしまうでしょう。

2つ目は、適度なプレッシャーであること。行き過ぎたライバル意識は攻撃性を生んでしまい、弱みを探して足を引っ張るような状態になってしまいます。ライバルと程よい競争をしつつも、その競争は勝ち負けにつながらない。この加減を保ち続ける内容を工夫する必要があります。

3つ目は、意識を自分に向けること。勝ち負けでない競争にするための重要な視点です。相手に目を向けて比較するから、足を引っ張りたくなるわけです。ライバルをちょっと追い越せたときのがんばった自分に対し、成長を感じて次の行動に目がいくよう、最終的には個人の行動へ仕向ける指標を提供することが肝心です。

仲間と一緒に健康づくり・会話づくりのきっかけとなる「イベント」

職場の従業員に対し、ピア効果を活用した「程よい競争」で健康行動を促すには、本来業務の競争と切り離したチャレンジであることがはっきりわかる楽しい集まりの場を用意するとよいでしょう。

匿名での参加で心理的な安全性を確保する

職場での取組みは、どうしても行動結果が査定に響くのではないかという懸念がつきまといます。ニックネームで参加できれば気持ちも楽になりますし、「あのニックネームの人は誰だろうね」という話題にもつながります。

WellGoの健康アプリでは、アバター機能で好きなニックネームとアイコンをつくることができ、安心して参加できます。ネットワークの中では、先輩や上司といった上下関係も気にしないでフラットに競争できる環境です。

特に運動面での健康行動を促す歩数管理については、ランキング表示により、ちょっと上にいるライバル同士が楽しく競えるようになっています。

期間限定のイベントで気軽に参加、次第に習慣へ

また、社内限定の安全なネットワークの中で気軽に企画できる「イベント」機能を搭載。イベントでは、期間を限定して興味を引きそうなテーマを設定し、普段は関心をもたない人でも参加しやすいきっかけをつくります。
部署間で競争することもでき、チームワークの強化にも効果的です。

どんなテーマに興味をもつかは人それぞれです。いろいろな企画を期間限定のイベントにしてたくさんの参加の玄関口をつくり、興味や面白さが途切れないしかけをつくりましょう。

面白いと感じたイベントは、職場内での話題づくりにも一役買う存在となります。強固なセキュリティに守られた社内限定のSNSに写真投稿もでき、コメントをつけて盛り上げることもできます。
テレワークなどで直接顔を合わせる機会が減った社内コミュニケーションのツールとしてイベント機能を活用する例も多くみられます。

イベント企画のヒント

イベントの例をいくつか挙げておきましょう。

チャリティウォークイベント:
部署別の平均歩数をランキング、平均歩数分の寄付を実施。
全国の各部署からご当地紹介・写真などの投稿が寄せられたり、部署内でリレー投稿が始まったりと、ランキング以外の楽しみ方も。オンラインの社内イベントに成長。

映える写真投稿イベント:
マンホールやオブジェ、建物など、テーマを決めて地域のおもしろ写真を投稿してもらう。写真映えする場所を探し回るうちにいつのまにかウォーキングできている状態を目指す。
地域密着の企画で、部署間の交流も生まれ、写真投稿への「いいね」やコメントが多くつき、コミュニケーションが活発に。

投稿リレーイベント:
お気に入りの散歩コースや歩きたくなる音楽、ウォーキングファッションなど、投稿と交流をメインにした企画。
運動が苦手な人や、身体的・生活上の理由から多くは歩けない人でも参加しやすい。それぞれのレベルで仲間をみつけ、楽しみながら健康行動に気付く機会をつくる。

はじめはイベントにつられて気軽に始めてみたところ、楽しいことを続けるうちに、程よいライバルが現れて、次こそはと頑張るうち、行動そのものにやりがいを感じていく。
健康行動の好循環を、イベントをきっかけにつくりあげていきましょう。


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