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創作『ミライトワとソメイティの知られざる戦い』

オリンピックマスコットのネタ動画を発見して、続きを考えているうちにミライトワにはきっとこんなお話があったんではないか、と思い作ってみました。

『ミライトワとソメイティの知られざる戦い』
1年延期になったオリンピックと
出番がまったくないことで彼に搭載されているシステムは暴走しかけていた

オリンピック・パラリンピック公式マスコットキャラクター
その名は
『ミライトワ』

「今、聖火ランナーがオリンピックスタジアムに到着しようとしています!」
アナウンサーが熱を帯びた声をあげる。

ヴォン・・・
ミライトワの瞳が赤く輝き「ウォー・ギルト」システム通称「WG」が暴走する。

「あの火は、、争いの炎!!」

手のひらに集まった光を聖火ランナーに向けて放つ。瞬間、
「兄さん!!」

弾かれた光は大きくそれて空に吸い込まれていく。
「ソメイティ!?」

ミライトワと対をなすもう一人のマスコット『ソメイティ』だった
「貴様!自分のやっていることがわかっているのか」
「それはこちらの台詞よ!」

「争いの火は消さねばならない!」
もう一度両手に光を集めるミライトワ

「あれは、争いの火ではないの!忘れたの?人類が平和を願い繋いできた
希望の灯!あれこそ戦争を終わらせる光なのよ!」

「戯言を!」
光を放とうとした瞬間、高速で体当たりをされたミライトワは激しい衝撃ともに
オリンピックスタジアム周辺の木をなぎ倒し大地をえぐった。

「目を覚まして!これは兄さんの言葉よ!」
「人類が争いを終わらせられるものか!いずれあれは炎となり、平和を焼き尽くす。
SNSひとつとっても人は炎を好み、57年前となにも変わっていない。テクノロジーだけ進化した人類は
自分がどれだけ危険なのか、どれだけ幸せなのかを知ることも顧みもせず火を弄ぶ!」

その言葉を聞いて目を閉じたソメイティ。

ヴォン・・・
ソメイティの眼が青く輝く
「スキル発動『ザ・スカイ』(空中浮遊)」

ソメイティはミライトワに抱き着くとそのまま上空へ高く舞い上がり高速で高度を上げていく。

「ソメイティ、何をする気だ!」
「兄さん、私はあなたの中の憎しみの炎を消します」
「なん・・・だと」
「確かに人は争いをやめない。だけれど、新しい命の光が続く限り、諦めてはいけない」
「そんなもの、いつまで続ける!!」

ボゴォ!・・・
ミワイトワの強化装甲が剥がれ落ちていく。大気との摩擦でオレンジ色に発光し始める。

「争いが終わるまでよ!終わらぬことに嘆き、振り返るのではなく、前に進むために私たちは生まれた」

「・・・永久の未来のため」
ミライトワがそう口にした瞬間、四羽のフクロウが二人を取り囲んだ。

「先輩・・・」
冬季長野オリンピックのマスコット「スノーレッツ」に見えた。

頭の中に声が響く、
「君は、マスコットとしての出番がないのを恨んでいるだけ。でも、人は忘れていくもの。そうだろう?・・・
だから火を通じて争いの過去を忘れないようにして、同じく希望の光も運べばいい」

幻のようにフクロウたちは消えた。

「今、のは?ソメイティ?」
ミライトワが呟くと、ソメイティはもう意識を無くしていた。

「お前はいつも最後が甘い」
幼いころから駆けっこ、石切り、何でも競い合いいつも負けるソメイティに言っていた言葉だった。

ソメイティの頭に手を乗せたミライトワ。
「スキル『ザ・テレポート』(瞬間移動)」


・・・・・・・

意識を取り戻したソメイティ。うっすら眼を開けると、オリンピックススタジアムの屋上に
東京オリンピックの開会を告げる花火が煌めくのを見た。

・・・・・・・

トレンチコートを着てソメイティはオリンピックスタジアムの側を歩いた。
閉会式が行われている会場からは人間の歌が聞こえた。

その歌の通りに
上を向いて歩いてみると、星空の中に兄さんの星が流れていくのが見えたような気がして
涙がとめどなく溢れた

「まだパラリンピックだってあるのに・・・
兄さんは、いつもせっかちなんだから」

(ちなみに公式設定ではミライトワは「スポーツ万能」「特技:瞬間移動」ソメイティは「特技:空を飛ぶ」がありますが兄妹設定ではありません)


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