(田舎には)バリアフリーの一戸建てなんて、ほとんどない

 我が家から少し離れたところに、住宅地が立ち並ぶエリアがある。

 GOTOイートのランチ予約を消化するついでに、ちょっと散歩をしてみたのだが、そこでバリアフリーの一戸建てがほとんどないことに気づいた。

 私が住むエリアは、地方(田舎)ではあるが、かつては(日本の他のエリアがそうであった様に)多くの人が住んでおり、戸建ての数はそれなりにある。今現在の状況としては、人が住んでいるところも、住んでいないところもある。

 私が見ているのは、もちろん家の中ではなく、外観である。つまり道路(または歩道)から玄関までの間で、すでにかなりの高さの段差がある家ばかりであった。しかも新築の家もいくつか見たのだが、さらに明確に外界と玄関を区切るかの様に、数段上がったところに玄関を作っている。

 排水の関係で、床を上げなければならないことはわかるので、道路と同じ高さに住居の床を揃えるわけにはいかない。だから仕方がないのである。

 でも、家族の誰か一人でも車椅子が必要になった瞬間から、その家での生活はとんでもなく大変なことになってしまう。そういうことは一切想定されていないのを見て、少し考え込んでしまった。いや、家族が複数いれば、それは何とかなるのだろうが、一人暮らしになると、もう完全アウトなのである。

もちろん、こういう商品は、たくさん販売されている。

 または、すでにリノベをしていて、コンクリートで段差をなくすように、坂を作っているお家もあった

 でも、それでも不十分なのよ。

 以前、あるご家庭の玄関前で、デイサービスの車から車椅子で家の中に入ろうとされていた方を見かけたことがあった。デイサービスの女性スタッフさんが車椅子を押し、その玄関前のほんの数センチくらいの段差と傾斜を進んでいたのだが、それが本当に大変そうだったのだ。女性スタッフさんは特に小柄というわけではなかったのだが、人間+重い車椅子を押して、段差を押し上げるということが、本当に大変だったのだ。自転車の様にドンと勢いをつけて乗り上げることもできないので、腕力と体重で押して、乗り切るしかない。

 そして一人暮らしなら、その段差を自分で乗り上げることもできないし、逆に家から出る際も、その傾斜で加速し、車道に飛び出してしまう危険性も否定できない。

 しかし、マンションの場合は、まだマシかもしれない

 エレベーターを降りて玄関を開けて家に入るところまではフラットだ。玄関から室内の間に段差はあるが、一戸建ての家の様な大きな段差はない。スロープを置けば何とかなる。

 室内については、リノベをすることでなんとかなることが多い。つまり、リノベーションを行うだけの経済的余裕さえあれば、なんとかなるのだが、一戸建ての場合は、段差のトラップが圧倒的に多くなってしまう。そもそも玄関の上がり框(かまち)は30センチくらいある。ちょっとしたリノベ程度では、なんともならないことも多々ある。すべてイチから作り変えるような大掛かりなリノベをするなら別だが。そして車椅子の生活になると、2階部分はもう使えなくなる

 さて、実際にバリアフリー対応にリフォームされた方の動画なのだが、これだけの敷地があれば、安全なスロープが作れるかもしれないのだが、こんなお家ばかりではない。

 人間というものは、将来がどうなっているかを確実に予想することはできない。その後の家族の形態も、人数も、健康状態も分からない。若いうちからバリアフリーにする必要はないのかもしれないのだが、子供のためにと思って大きな家を購入しても、子供はいつか家を離れる。その時その時のニーズに応じて、必要な住居を選べるようにした方が良いのかもしれない。

 つまり、家は買わずに、その時その時にベストな選択ができるように、賃貸住宅でサクサクと引越しできるようにして、できるだけ貯蓄に励んだ方が良いなと思うのだ。現金があれば、リノベも補修も、バリアフリー住宅への引越しも、そしてホームへの入居も可能になる。選択肢はぐっと広がるのだ。

 田舎でも、大きな家を売って、駅近のマンションにお引越しをする高齢者の方も多いので、そういう選択が現実的だと思う。


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