3.7 壁紙をはがしてしまう

 解体業者さんにお願いしていた日程を、こちらの都合で(変更できない日程での来客予定が急に入ったため)キャンセルした手前、スケルトン解体の日程がなかなか決まらずにいた。こちらから急かすわけにもいかないよなぁ。

 時間だけが無駄にすぎて焦り出した私は、とにかくスケルトンにしてしまって、そのコンクリートの状態とか質感とか、実際の天井の高さを体感したいと思うあまり、ちょっと端っこだけでもと思いベリベリと壁紙をはがしてみた。

壁紙は驚くほど簡単にはがれてしまい、そこから隠れていたコンクリートの壁がむき出しになった。その色は想像していたものよりも少し明るく白っぽくて、次なる疑問が湧いてきたのである。

「壁の色は分かったけど、これが壁一面全体に広がると、どういう感じになるのかは、やっぱり全部はがしてみないとわからないのでは?」という思いがフツフツ。そしてこの「一部見ても全体がさっぱりわからない想像力の欠如とミクロ思考」は、その後のオガミ家のリノベ予定を斜め上の方向に動かしてしまうことを、この時点では誰も予想できていなかった……

「一枚はがすのも三枚はがすも一緒よね♪」

ということで目の前の壁の一面の壁紙の、自分の手が届くところまでをベリベリとはがしてみた。ちなみに、めっちゃ気持ちいいです(笑)。

 ところが、一面をはがしてみてもあまりピンとこない。どうしても壁紙の裏紙が一部貼り付いていて、現れた壁があまり美しくない。イメージがわかない。ということで、それから一気に全室の壁紙をはがし始めてしまったのであーる。

 でもね。壁紙をはがすのなんてめっちゃくちゃ簡単なので一気にはがせてしまった。問題は、はがした壁紙ゴミが想像以上に大量で、紙質がしっかりしているから中々小さく畳めるものでもないので、90リットル用の超大型ゴミ袋にせっせと突っ込む作業に、意外と骨が折れた。

 また、長年積み重なった埃と、壁紙と壁の間にある糊成分なのか、コンクリートの粉末なのかわからないが、そういう粉塵が部屋中にたちこめていて(窓を開けて作業してもね)、マスクしてメガネしていても、ゴホゴホしてしまい、解体業者さんの作業環境の厳しさに思いを馳せたりもした。

 壁紙をはがすのは実に簡単なのだが、次に待っていたのは「残った裏紙はがし」で、この作業に数日を要してしまった。プロなら、複数人なら、もっと早く終わったであろうが、いかんせんBBA(ばばあ)一人で内職気取りでやっていたものだから(しかも猛暑でエアコンなし)、時々エアコンのある部屋に行って水分をとって一息ついて、また作業に戻るを繰り返していると、それはそれは牛歩の歩み、じぇんじぇん進まなかったのである。

 壁紙の裏紙のはがし方については、ネットや動画で調べた通り、霧吹きで水分を含ませてた後しばらくおいてから、パテナイフ(ドンキホーテで調達)でただただこそげとるだけ。

こういうもの。安いもので全く問題ない。でもないと本当に困る。

時間と根気さえあれば、誰でもできる作業であーる。ただ、こそげ落としたゴミは水分を含んでいて(しかも糊成分も残ってるので)、片付けが割と面倒なので、養生シートを敷いておいたら良かったなと思ったが後の祭り。

スリッパの裏にべったり貼り付いたり(なかなか取れない)、ほうきで掃いても床からはがれなかったりと、色々苦労してしまった。

 壁紙をはがして見えた壁は、そこそこ美しく映ったが、なんだか自分がイメージしたコンクリートの打ちっぱなし的な質感ではないことが、少し心に引っかかった。もしかすると壁紙を貼り直した方がいいのかも、と漫然と思い始めたが、結論を出すのは後でいいかなと、とりあえずは保留にすることにした。

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