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5.4 オフィスとリビングルーム(KALLAXハック)

まずオフィス部分のBeforeから。

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ここは、以前は押入れがあった場所です。押入れを撤去して、開いた穴を塞いだところです。カナメは当初、このフローリングをこのまま残そうと思っていたようですが、この状態で残すわけにはいかず、この上にビンテージウッド色の置き敷きフローリング(塩ビ)を敷きました。シール付きなので簡単に貼れる上に、カッターで簡単に切れるので、非常に扱いやすい床材でした。

このコンクリートの壁はこのまま残すので、コンクリートカッターで多少の突起を処理してフラットにしましたが、割と状態の良いものだったので、作業に苦労はなかったです。

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壁紙とフローリング材の間は、巾木で隠すのですが、コンクリートとフローリングとの間の隙間はどうしょりすればいいのか、ミズキさんに聞いてみたところ、マスキングした上で、グレーのコーキング材を使えば良いとのことでした。白にするとホコリが目立つそうです。こういう細かい作業を一つ一つ積み重ねていきます。

リノベ作業中、毎日のように設備やら資材やらが配達されてきます。日々バタバタと作業しながらも、配送業者のお兄さん方もちょくちょく経過を目撃していたことになります。その途中経過で、こういう状態だった時がありました。BRIWAXを塗り込んだ板を、現場に持ち込んだ頃です。

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配送のお兄さんから、「だいぶできてきましたね!ここは............お店かなんかできるんですか?」

その言葉を聞いて、本気で心の中でガッツポーズしましたよ、ええ(笑)。ずっとずっと「カフェっぽい」を考えてきたので、お店らしい雰囲気が出せて良かったです。

制作費は本当に安く仕上がりました。

それほど高くもない調整板を購入して、ホームセンターでカットして頂き、その板をサンディングしてBRIWAXで仕上げました。BRIWAXは意外と高いのですが、テキトーに塗り込んでも、その後のタワシがけなどでうまく全体にワックスが行き渡り、簡単にビンテージウッド色を出してくれるのでオススメです。

これから、IKEAのKALLAXハックの始まりです。

このオフィスエリアに関しては、ほぼ100%、カナメの設計によるものです。私には、海外から持ち帰った大型なデスクが二つあり、それを置くことを考えていたのですが、サイズ的にここで使うのは無理そうでした。さらに朝から晩まで家にいることになった「リタイアメント組」のカナメのデスクも置く必要があったので、物理的な制約から、持ち帰ったデスクを置く選択肢はなくなりました。もともとの私のデスクは、コストコで買った無骨なもので、カナメにとっても、それを置くと「いかにもオフィス感」がでることが嫌だったそうです。私としては、あるものを使うのでいいと思ったのですが。

カナメによると、デスクを配置できる長さは290センチ。その長さを、二人で分けて使おうということになったのですが、その長さの奪い合いで最初からバトルを繰り広げてしまいました。常に複数台のPCを持ち、170センチの大型デスクでも足りない私は、最低でもその幅は確保したかったのです。そしてこの長さは、私たち二人の力関係を明示化した結果になるのだろうと気づいた頃に、どちらともなく「145センチずつの机を二つ並べるのでいいね」ということに落ち着きました。与えられた環境に適応する能力も大事ですよねw

カナメは、このオフィスとリビングルームの設計に数ヶ月を要したようでした。何度も素材や設備を見て周り、市販のものを活用することの是非を問い、自分で作るか、大工さんに依頼するか、既製品を使うか、毎日毎日ぐるぐると葛藤していたそうです。その時、私は無邪気に天井抜いたりしてたんですが(汗)。

夜になると二人で海外のYoutube動画をたくさん観ました。というのは、私たちが求めるものが、北欧の家具や、北米のカフェの雰囲気に近いものを感じていたことと、特に「IKEA家具のハッキング動画」については、英語圏の動画に参考になるものが多かったからです。

逆にDIY動画になると、欧米のものは使っている機材も大型で、入手できる素材も違うので、日本の動画に参考になるものが多かったですね。

我が家では海外にいた頃からIKEA家具を愛用していたので、今回もIKEA家具をベースに考えることにしました。実は、それほどIKEAの家具がいいという感覚はなく、「(数年おきに転勤を繰り返すので)数年間使う家具にお金はかけられないから、安いIKEAの家具でいいか」というスタンスで使っていました。一生モノの家具ではないからIKEAでいい、という意味です。

ところが、日本に帰ってきて、あちこちで家具などを見て回ったのですが、日本の家具にときめかないんですよね。高級家具を買う予定もないので、ニトリでいいと思って見ても、ネットで検索をかけて見ても、自分のテイストに合うものが驚くほどないのです。

リノベ計画で、Pinterestをよく使ったのですが、自分でも知らず知らずに「これがいい!」と思うものを辿っていると、ほぼ全てが英語圏のもので、日本では買えないものも多く、それを見るたびに「........orz」状態になっていました。が、IKEAのハッキング動画を見てみると、世界中で共通して販売されている家具を使って、自分の家にあうようにあの手この手で改良を加えているわけです。元々は同じ素材を使っていても、カラバリ+DIY部分の創意工夫で、その結果は無限大の可能性を十分に感じさせるものでした。

特にIKEAのKALLAX(カラックス)シリーズには海外でもずいぶんお世話になりました。

単純なボックス型の棚だけの構成ですが、縦置きにも横置きにも対応していて、見かけよりもかなり頑丈にできています。MUJIやニトリにも同等のものがあるので、これは個人の好みによると思いますが、個人的には、それらとは似て非なるもの、圧倒的な重厚感を感じさせる点と、実際の強度において、IKEAに軍配が上がります。

今回のリノベで使える色味は、ネイビー、黒(モノトーン)、そしてビンテージウッド色と決めていたので、KALLAXも当然、黒を選択しました。と同時にそれにあわせたワゴンも黒です。このワゴン、2サイズありますが、両サイズともに1個ずつ購入しました。IKEAがすごいなと思ったのは、このサイズ設定です。

小さい方は、オフィスエリアに設置したデスクの下にちょうど入るサイズ、大きい方は、キッチンのワークトップの下にすっぽりと入るサイズなんです。

カナメが最後の最後まで悩んでいたのは、大工さんに依頼して、オーダーメイドで壁全体に棚を作る方がいいのか、それとも既製品(IKEAのKALLAX)を使った方がいいのかという点でした。国内のステキなPinterestの画像を見てみると、そのほとんどが「ステキな作り付け家具」で、既製品を応用した様なものがなかったんですよね。日本のステキな新築の家を見ると、それはそれはため息が出るようなものばかり。当然、それなりの費用がかかっているはずです。

でも、私たちが目指すのはそこじゃない。自分たちの知恵を使って、工夫をして、コストも下げて、でも実現したいモノは妥協せずに実現することが醍醐味なわけです。お金をかければ何でもできるなんていうのは百も承知です。

私たちの住む田舎にはIKEAはありません。店舗に行くにも長距離バスに乗って一泊二日の覚悟で行くわけですが、それだけではなく。大型の家具の場合、配送サービスを依頼するしかなく、メインエリア外に当たる私たちの場合、送料が12,000円かかる上に、組み立てサービスは不可となります。

それらのコストを考えると、大工さんに一から棚を作っていただくのが正解とも思えました。

ところが、最終的にIKEAのKALLAXをベースに壁収納を構築することを決断したのですが、その理由としては

1)すべての棚の木材を調達して、サンディング(やすりがけ)と塗装をするのは、かなり重労働だということが予想できた
2)KALLAXには、その棚に合うボックス収納の選択肢が豊富にあった
3)KALLAXを二つ重ねると、ちょうど良い高さになったこと

があげられます。そして、このKALLAXを重ねるアイデアは、KALLAX自体に壁止め具が標準で付いていたことが決め手になりました。地震大国日本で、見かけよりも相当に重い棚を重ね置きして、不安に感じない人はいません。ですが、二つの棚を、ダボと呼ばれる小さな木片でつなげ(これは大工のイチローさんの提案で、そのままお願いしました)、かつそれぞれをコンクリートの壁に固定することで、頑強で安定した壁一面の棚が出来あがりました。

それを二箇所に設置し、その間にブリッジを作るが如く棚を設置しました。

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ブリッジ的な棚の下の空間に、私とカナメの145センチの机を配置しました。

棚を支えている「棚受け」は、アマゾンで購入しました。

棚受けを購入する際には、大工さんに事前に相談する必要があります。板の長さや幅、何を乗せるのか(耐荷重)を伝えた上で、棚受けの大きさを指定してもらい、そこから自分の好きな形や色のものを選んでいきます。

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こんな感じになりました。ちょっと整理ができていなくて雑然としていますが、デスクの上には、それぞれ複数のモニターを設置していますが、問題ありません。

このデスクは、自分たちで作った板(棚と同じ加工法で、幅がさらに大きく、厚みもあります)にIKEAの伸縮可能な脚をつけました。

ワゴンは、ちょうどデスクの下に隠れるサイズです。このワゴンに、文房具を詰め込んでいるので、カナメと私で二重に文房具を持つ必要がなくなりました。

ですが、この制作現場は、かなりピリピリしていました。

もともと細かいことにはあまり関心のなさそうなカナメが、この時ばかりはギャーギャーと神経質にミリ単位に大工さんに作業をお願いしていて、横で聞いていた私は、なぜカナメがそれほどまでに細かい指示をしているのかさっぱりわかりませんでした。コンクリートに釘を打ち込むのが意外と骨が折れて(コンクリートの中の小石に当たったり、経年で固くなっていたり)、時間がどんどんと過ぎていたこともあり、私としては「棚なんて場所はどこでもいい。数センチずれてるくらい、どうでもいいのに、なぜカナメはそんなにこまかいことを延々と言うのか」と少々イライラしていました。

ミズキさんのスタンスは、「できあがった後にクレームをつけられる位なら、そのときにキチンと話してほしい(対応できるから)」とのことで、理解を示してくれていたのですが、そのせいで作業は予定していた一日では終わらず、大きくずれ込みました。

カナメは、KALLAXの棚の位置と作り付け棚の位置を、寸分狂わず合わせることに終始していたのですが、結論として、それは大正解でした。長い長い棚の横のラインが揃っていると、統一感を感じるだけでなく、一本のラインが醸し出す直線によって、実際よりも長い奥行きを感じるのだと気がつきました。

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この棚とKALLAXのラインをキッチリ揃えたそうで、横一列ラインがビシッと決まることで、奥行きを感じさせてくれる空間になりました。

このあたりはリビングエリアになります。トラさんのぬいぐるみがあるエリアにテレビが来ます。といっても海外から持ち帰ったものなので、日本のテレビは移りません。Chromecastで動画再生モニターとして使います。

さて。

キッチン周りや壁紙の配置についても、私自身は個人的嗜好を声を大にして主張して、その度にカナメとバトってきましたが、この棚の完成形を見て、「たぶん、いや間違いなく、私よりもカナメの方がセンスありだな」ということを嫌というほど思い知らされました。これ以降、センスが求められる状況においては、ひとまず素直にカナメの言うことも聞いてみることにしました。それはキッチンの設計にも影響しました。

フローリングは置き敷きフロアタイルを採用することにしました。コスト的に非常に魅力的だったのですが、決め手になったのは、ビンテージウッドの柄でいいものがあったこと、足りなくなっても近所のホームセンターで購入可能なこと、2ミリと薄く加工が容易なこと、裏がシール状になっていることで、私にも貼れると確信したことです。

ネットで調べると色々ありますが、我が家は店頭で購入したので種類は多くありませんでした。モノは非常に薄くて扱いやすいのですが、まとめて買うと本当に重いので、配送してもらいました。

貼り方については、この動画を見ていただくとよくわかると思います。

表から見えない工夫も苦労もあります。まず、すべての棚の後ろは、壁とピッタリくっついているわけではないんです。板の部分はすべて1センチほど隙間を開けて壁に留めています。コンセントは棚の一番上にあり、そこから下にケーブルを這わせられるようにしているんです。

これ、忘れると本当に大変なことになります。

とにかくデジタル機器が大量にある我が家。KALLAXのボックスの中にも自由に電気製品を配置できるので、棚の利用用途がぐっと広がりました。

棚にはプリンターやライトスタンド、アロマディフューザー、書籍や書類、CDやDVDはもちろん、下記のバスケットを配置することで、なんでも突っ込んでおくことができます。

DRÖNA ドローナ

FLARRA フラッラ

KNIPSA クニプサ

GNABBAS グナッパス

 具体的には、缶詰や乾物などの食品、救急箱や薬品類、小さな周辺機器、ゴミ袋や消耗品の予備などなど。隠せるのでなんでも放り込んでおくことができます。そしてこのKALLAXは、キッチンにも配置しています。もちろんハック済みです。

私の個人的な嗜好は、「丁寧な暮らし」よりも「合理的でストレスのない暮らし」なので、そのためにはあえてモノを冗長に保有したりすることもあります。少ない雑貨を丁寧に扱うよりも、使ったものをポンポンとしまい込める手軽さの方をとっています。

次は、私が最も愛するキッチンエリアについてです。

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