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オフィスでのランチ問題について考える

 会社でのランチ問題の歴史は、多分相当に長いと思う。

私が会社員だった頃は、基本的にお弁当持参で、別フロアにある同僚が使っている休憩室で一緒に食べてみたり、エンジニアの同僚と外食したり、出先の周辺にある飲食店を使ったりしていた。外食は楽しいし美味しいし気分転換にもなるけれどお金がかかるし、午後の仕事に遅れたこともあり、段々とお弁当生活にシフトしていった。当時のエンジニアの世界は、定時で帰れることなどほとんどなかったから、夕食は100%外食になってしまっていた。

一日二食の外食はキツいので、ランチにはお弁当がデフォになったのだ。

個人的には、たっぷりのランチ時間なんて不要だから、早く帰りたいと思う方で、一人暮らしでの激務のお弁当というものは、冷凍のつくりおき惣菜をお弁当箱につっこんで自然解凍とともに食べるもので(当時、オフィスに電子レンジなどなかったし)、ダイエット中には切ったりんごだけを詰めていくようなこともあり、特にお弁当にまつわる良い思い出など一切ない。

そのうち別職種の同僚との話も合わなくなってきたりして(仕事の愚痴を聞かされても解決してあげられるわけでもなく、一方的に聞き役)、仕事にはやり甲斐はあっても、ランチ時間をやり過ごすのが面倒だなと思ったことは何度かあった。

実母の場合は、さらにクリティカルだった。

私が物心ついた頃から、実母はフリーランスの在宅ワーカーであったのだが、取引先からのリクエストで、一時的に会社に出勤していた時期があった。半年くらいは継続していたようだが、ほどなく在宅ワーカーに戻ったのだが、最大の理由がなんと、この「ランチ問題」だったらしい。もちろん自宅で出来高制の方が圧倒的に稼げるとも言っていたが、それよりもランチ時間の無駄っぷりと精神衛生に与える影響が相当だったらしい。

印刷業界だったからか、女性社長も出入りの業者さんもすべて喫煙者で換気もしないから空気は悪いし、ランチの時間帯には人の悪口ばかりを聞かされていたらしい。

私と同じで、ガールズトークができないタイプである。人の噂話など生産性のない話の、何がおもろいのか分からへんのである。

こんな話題を見つけた。

コンビニのイートインで手作り弁当を食べるのはあかんやろ、という話がしたいわけではない。

この問題の背景にあるのは、前述の「ランチ問題」なのである。

静かに一人で気ままにランチ時間を過ごしたいのに、それが叶わない職場環境は、社員の精神衛生に大きな影響をもたらすのだということが言いたいのだ。

逆に言えば、社員に自由なランチ時間を過ごしてもらえる工夫をしている会社は、社員の定着率も良いのかもしれないってことなのよ。

そしてそれは、Googleみたいな食堂を構えることだけが解ではないってことなのよ。

ちなみに一般的な米国でのオフィスランチは、基本的にデスクで摂るらしい。

それを聞いたフランス人は「げっ」となったかもしれないけれど、コロナ禍で彼らも同じ憂き目(sad salad lunch)にあった模様(汗)。

米国人の日常であるSAD DESK LUNCHを画像検索してみたw

確かに仕事をしているデスクで食事を摂るのは、フランス人ならずともリフレッシュできないなぁと感じるのは分かるのだが.........

こういう記事を書くヤツがいるんだよねぇ。

そんなの本人の勝手やんか!

香港で知りあった台湾系米国人(米国企業のコンサル)の女性は、ランチはそれぞれのタイミングでデスクで摂り、夜は早々に自宅に帰って、その後自宅でも仕事をするらしいのだが、香港人はたっぷりと1時間ほどランチで外出するし、夜も会社にずっと居座って残業するそうで、それに対して憤慨していたな。ランチに1時間もかけるなら早く仕事にケリつけて帰りたいし、家でゆっくり家族と一緒にご飯を食べたらいいのにと、同僚達の考え方が全く理解できなかったらしい。残業するなら1時間もランチを摂らないで仕事しろよと思ったのだろう。ちなみにコンサルの世界は残業代など出ずに、完全に仕事の評価で年棒交渉をするから、仕事をするなら会社ではなく家でやった方が集中できたのかもしれない。

香港人のランチについて理解ができないと話題にはしても、だからと言って彼女がその同僚に何かを言うわけではない。つまり彼女の中に「ランチ問題」などないのだ。

ランチとはデスクでサンドイッチを頬張るだけのもの。どこで食べようか誰と食べようかなんて、悩むもんでもない。確かに、私も二社目の会社が米国資本のベンチャーだったので、デスクでお弁当を摂るようになって、特にランチにストレスを感じたことはなかったので、それでいいような気もする。

「グループで外食したりお弁当を食べたりするのが何よりも楽しみ」という人がいる一方で、ランチくらい一人でゆっくりと食べたいという人もいる。そのためのエリアを確保してあげるか、またはデスクで食べることを許可してあげるのが手っ取り早いかもしれない。会社によってはデスクで食べたらダメというところもあるみたいなのでね(多分、匂いの問題があるのかも)。または会議室を開放するのも良いアイデアかも。個室でゆっくりお弁当が食べられたら、快適だよね。

かつて自宅SOHOだった私は、お弁当の残り物をワンプレートに集めて、デスクでメールを見ながらランチを食べていた。フリーランスだと、集中すべき仕事と、わさわさした中でのんびりこなす仕事(請求書の発行とか)があり、ランチ時間にわさわさ系の仕事をしたりもした。メールのチェックなんかもその一つ。

多分、多くのリモートワークの方も、同じような感じだろうと思う。ランチ中には、仕事ではない個人的なメールやSNSをチラチラ見たりするだろうから、デスクから離れないことも多いしね。

経営者の方に伝えたいのは、本業とは関係のない部分の不満でも、社員は離れていくってこと。この時代に殊勝に文句なく出社してくれる社員に対しては、手厚く環境をKAIZENしていく姿勢が必須よね。

まぁ従業員側としては、外資系のキラキラ企業に転職できたら、色々と解決すると思う気持ちも分からないではない(汗)。

そんな方にはぜひこの本を。めちゃくちゃ面白いよ。無駄のない凄い文章にビビる。リーダーシップというものの定義が明確。ちなみに外資系企業に入ることがゴールだと思っている日本の受験戦争マインドの方は、ガツンと殴られた気分がするかも。


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