福祉って本当にこれでいいの? ~「自立や成長」「知識や技術」だけが支援なのか
自分を見つめ直すことが、より良い福祉を実践する第一歩になる
福祉の仕事をする上で、ほんとうに大切なものってなんだろう?
知識、技術、利用者とのあたたかな気持ちのやりとり……。
「いい支援とは何か」を福祉業界で10年以上問い続けてきた著者が見出した、ひとつの答えとは。
「たくさんの方に支えられ、いろいろなことを学びとって、なんとか今日までやってきた、そんな私が福祉を志すあなたに何かできることをしたいと思い、こうして本ができました。よかったら福祉について一緒に考えてみませんか?」(著者より)
出版社からのコメント
福祉は「技術」や利用者の支援をしたいという「気持ち」が大切だと思われやすい仕事です。
しかし、本当に技術があれば、気持ちがあれば、良い支援ができるのでしょうか?
著者の金原知宏氏は、学童施設と障害者向けのグループホームに勤め、福祉業界で10年以上、仕事をしてきました。
その中で見出したのは、技術だけでも、内発的な動機だけでもない、自分自身の過去をも見つめ直して利用者と向き合う姿勢の大切さと、組織とのかかわりの持ち方、社会のあり方への疑問でした。
福祉を学ぶ学生、福祉業界を志す方、福祉の仕事を始めてまだ日の浅い方、福祉業界で働く中で「良い仕事とは」という問いに悩む方……。
福祉に携わるすべての方にお届けしたい1冊ができあがりました。
読者の反応集
○本書は,「『いい支援』のために勉強は必要か?」という,ちょっと意表をつくような問いかけからはじまる。そして,支援をするという営みの根幹的な部分について,福祉に従事してきた筆者自身の歩みを辿りながら,真摯な思索が重ねられていく。とくに胸を打たれたのは,たとえつまずくことがあったとしても,その都度,そこで何が起こっているのかを正面から見据えて,時には自身の成育歴にも立ち返りながら,支援者としての成長が遂げられていくプロセスである。
一般に,福祉をはじめとする対人援助職では,自分自身の課題に向き合わされることが多い。そのため,いわゆる「自己覚知」が必要だとされる。それは端的にいえば,自分と出会い,自分と対話をすることである。しんどいこともあるが,しかし,自分が前に進んでいくための契機ともなる。本書には,筆者自身の自己覚知(自己対話)プロセスが,誠実かつ丁寧に描かれている。だからこそ,筆者の思索を通して見出された主張の1つひとつが胸に響いてくる。
そして,おそらくそうした書き方がされているからだと思うが,本書は,福祉のありようを支援者自身の目線から問い直すものであるのと同時に,「福祉の仕事を通して,自己実現を果たしていく“自分自身のありよう”」についても,深く考える機会を与えてくれるように感じた。
実は,この感想を書いている私も,福祉の現場で働いていたことがある。今は別の仕事をしているが,またいつか福祉の現場で働く日がくるかもしれない。福祉の仕事は,もちろん大変なこともあるが,それにもがくことも含めて,自分を賭けるだけの価値のある,魅力ある仕事である。本書を読んだことをきっかけに,当時の利用者との関わりやその時々に感じていた気持ちが生き生きと蘇ってきた。本書が多くの人の目に触れ,福祉や支援についての対話が広がっていけばと思う。
○一回読み、今もう一度線をひきながら深く読み直しています。
私は講師をしている和菓子の生徒さんに病院の看護師の方がいて、
それがご縁で長年、作業療法に関わったり、グループホームに教えにいったりしているうちに、もっと人と深く関わってみたい、と思ってパートに入りました。
どちらかというと、子育ての経験からの「感覚」で支援をしているので、支援に関する知識があるわけではありませんので、こういう本が読んでみたかった!という感じでした。
本を読みながら、こういう考え方でよかったのだと安心したり、迷いがあった部分は答えをみつけたり(特に今は関係性の線引きの部分に迷いがあります)しました。
そういう意味でただ読むのではなく、本と会話しながら読めました
本の表紙もイラストも優しさがこもっていて、あたたかいですね
○本が苦手だけど面白くて一気に読んだ
○まだすべては読めてないけど児童の分野の職員にぜひ勧めたい
○福祉についての本はいくらでもあるけど、職員について語った本は全然ない。ありそうでなかった本
―――――――
目次
まえがき 「いい支援」のために勉強は必要か?
https://note.mu/welfare/n/n8a44a921a426
一章 福祉に出会う
1 きっかけ:街と死の関係性から考える福祉
https://note.mu/welfare/n/n9cb060be39c3
2 学童:教科書通りにはいかない
https://note.mu/welfare/n/n1ab915239269
3 つまずき:怒ると叱るは違う
https://note.mu/welfare/n/n016ae8da529f
4 過去回想:支援の歪みは成育歴から
https://note.mu/welfare/n/n0bebff4c9d0a
5 進路選択:就職先に学童を選ぶ
https://note.com/welfare/n/n64c622dca7ed
6 研修:子供の権利
https://note.mu/welfare/n/n5f66c1e574c5
二章 児童福祉から障害福祉へ
1 再始動:学生時代の問題意識を抱えて
https://note.mu/welfare/n/n4d90d9bc54ad
2 知的に障害があることを踏まえて
https://note.com/welfare/n/n6c3c3597c9d5?magazine_key=m8d74f67f43fb
ⅰ 家出をする:https://note.mu/welfare/n/nbc1fdb793c04
ⅱ 買い物をする:https://note.mu/welfare/n/n8f30808df26d
3 「自立」と「幸せ」
https://note.mu/welfare/n/nf34737ddd9a6
4 「ただの他人」から支援は始まる
https://note.mu/welfare/n/nc0e799bece85
三章 支援の在り方を探して
1 支援者はなぜ必要なのか
https://note.mu/welfare/n/n8c4a4b17d938?magazine_key=m8d74f67f43fb
2 支援者は眼になろうとしている
https://note.mu/welfare/n/n4f106e1a3b01?magazine_key=m8d74f67f43fb
3 「やってあげること」が支援なのか
https://note.mu/welfare/n/n404f1f69d02f?magazine_key=m8d74f67f43fb
4 支援における価値観とは
https://note.mu/welfare/n/n99cdf004876b?magazine_key=m8d74f67f43fb
5 福祉という会社、支援者という会社員
https://note.mu/welfare/n/nf8a55d686047
四章 「児童」と「障害」の領域を超えて
1:幸せな生活とは
https://note.mu/welfare/n/n73135b14462f
2:グループホームについて
https://note.mu/welfare/n/nde59e8fc1bab
3:作業所について
https://note.mu/welfare/n/nc72723da69b1
4:放課後等デイサービスについて
https://note.mu/welfare/n/n8ea50ee673fe
5: 三事業所から福祉について考える
https://note.mu/welfare/n/n28552291792f
五章 社内研修とSNSのお悩み相談室
1 社内:社員の悩みを聞くようになって
https://note.com/welfare/n/n2a4e5790a509
2 自分:支援のつまずきを機にカウンセリングを受ける
https://note.com/welfare/n/nee42a76c28db
3 社外:SNSで悩み相談をするようになって
https://note.com/welfare/n/n2bd2ac187883?magazine_key=m8d74f67f43fb
あとがき 技術と人間性の間にある支援を探して
https://note.mu/welfare/n/na39ffdb9f69f
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