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東欧へ

2021年4月に東欧の国、ジョージアへ移住しました。

きっかけは色々あるのだけれど、一番大きい部分は自分の手でワインを作ってみたいということが最終的には一番大きい。私は一人の農業者であり、農業ベンチャー企業の役員も勤めていた。それまでの経緯は下記noteに記した通りなので時間のある方は読んでもらえたらと思う。

組織的に農業生産を始め、私は指導者としての役割を担うことになった。農業経験の無い者に対して、私はプロとして今まで培ってきた技術を教えていく中で、育っていく若手たちと彼らの畑に対するハツラツとした姿勢にとても心を打たれたのだ。自分の中に忘れていたものが蘇るような。

なんだって同じだが、物事の進め方は一つではない。農業技術に関しても同じだ。とりわけ有機農業は自然現象という不確定要素の影響が極めて大きく、農薬や化学肥料を使わない為に、畑で発生した現象に対して対処できる技術的選択肢も少ない。その中で人に対して「正しいやり方はこうだ」と声高に宣言することは、私にはできなかった。誤解を恐れずに言えば私だってなにもわからないのだ。ただ自然の恵みや驚異に対しての経験と畏怖が彼らより多少あるだけだ。
だから私は農業者というよりもむしろ経営者の立場で接した。私は「日銀方式」と言って、皆を指導をした。つまり、目標の設定と結果の責任は政府(会社)が担うが、それを達成する為の手段は日銀(畑メンバー)に任せるという形だ。もちろん生産計画の妥当性の検証や、個別のQA対応などは随時行っていたが、私は自分の経験に基づいた方法論を強要せずに、自分が農業者として辿ったプロセスをなぞらせた。自分で感じ、考え、行動すること。

結果、若手たちは目覚ましい技術的成長を遂げ、私がやってきたやり方をバージョンアップさせた。彼らは畑に対する敬意や消費者の喜びを糧に急成長した。その姿を見るにつけ、思い出した。かつて私もそういう魅力に取り憑かれて有機農業をやってきたんだ。道なき道を行く独創性、それが有機農業の魅力だった。ああ、おれも再び彼らのように独創性を発揮したい。

私は旅をした。バレンシア、ビルバオ、ポルト、リスボン、グラナダ、ネルハ、マラガ。ワイナリーを訪れ、生産者に触れた。
私はワインが好きだが知識はない。ただその味やエフェクトが産地や生産者によってまったく違うことを自分の身をもって感じた。
そして訪れた1度目のジョージア 。壺を地中に埋めて醸すワイン。科学的な製法と比べたら原始的とも言える製法。しかしその中にある生産者の確かな技術と自然への敬意で作られる産物。その独創性に胸を打たれた。

そしていま再びジョージアへやってきた。知り合いもいないし、言葉もわからないけど、おかげでいつになく謙虚でいられる。おれはいま赤子同然。
日本を出るに当たって、本当にたくさんの人に助けてもらった。信じがたい程の愛されている実感。今はこの地で誰も助けることができないけれど、おれは忘れない。みんなありがとう。好き勝手やってきたつもりだったけど好き勝手やらせてもらえているんだ。その幸せを噛み締めながら、これからも農の力で世の一隅を照らします。

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