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めんどくさい彼氏(ゲイカップルの話)

年下の元カレの話です。
元カレのことを面倒くさいとか言っちゃいけないんだけどね。
だいぶ前のことだし、もう笑い話ですよ。

こんなことがあった。

俺の職場と彼の職場が歩いて10分くらいの距離で。
お互いの職場から同じくらいの距離にある「TCAT(東京シティエアターミナル)」のロビーで仕事帰りに待ち合わせをして、「今日はこんなことがあったよ」「次の休みはどこに行こうか」なんて、会ってウダウダするのが楽しみだった。

まだ付き合いたての頃のカップルにありがちな光景ね。
付き合いたての頃って、とにかく会いたい。
なにをするわけでもなく、ただ会って顔見て話したい。
楽しい時期だよねー。
そう、俺らも付き合い始めてからまだ日の浅いカップルだった。

さて。

仕事帰りに二人で飲みに行き、会社近くのビジネスホテルに泊まった次の朝。
不調だった彼の携帯を、俺の職場近くのショップに修理に出した。
「夕方までには修理が終わる」とのことだったので、仕事帰りに俺が受け取って、いつものTCATで待ち合わせをして彼に渡す手はずだった。

定時に仕事を終えることができた俺は、ショップで彼の携帯を受け取りTCATへ。
待ち合わせ時間より20分くらい早く着き彼を待った。

しかし、待ち合わせ時間まであと数分というところで尿意がやってきた。
「とりあえずスッキリして彼に会いたい」とトイレに向かったのが運の尽き。

トイレには先客がいて、ちょっと待ってから用を足し、待ち合わせ時間を1分過ぎてしまった。
1分ね、1分。

待ち合わせ時間の少し前に到着したという彼は、すごい形相で俺を睨んでいた。
(なにかやったか、俺はなにかやらかしたのか、、、)

「ごめん、ちょっとトイレに行ってた」
(え、1分遅れでそんなに怒らないよね、なにやらかしたんだろ俺)

しかし、だんまりをキメている彼。

「どうしたの? なにか気に障ることしちゃった?」
そこでようやく彼が口を開いた。

「待ち合わせの時間に着いてさ、相手が来てなくてさ、携帯も持ってなくてさ、俺がどれだけ不安だったかわかる?」
(え、わかんない...)

「トイレなんてさ、俺が来てからでもいいじゃん。なんでそんなこともわかんないの?」
(え、だからわかんない...)

いや、わかるよ。
待ち合わせ時間に行ったら、その場にいなくて「ちっ、いねーよ」と思う気持ちも。

でもさ、
「まだ、来てないか。ちょっと待ってるか」って思わ...ないから怒ってるんだよね。そっか。

寂しがりやなんだか気が短いんだかよくわかんないけど、付き合ってみないとわからないことってありますよね...
(1分遅刻で激怒されるとか)

まぁ、頭がぐちゃぐちゃになりながらも、彼を怒らせしまったことは事実だし、必死に謝った。
すごく好きだったし。

いかに彼のことが好きか、彼のどういうところが好きか、もはや謝罪とは関係ない話を終電がなくなった後まで必死に語り、けど頭の隅には「TCATもう営業終了だし」「あぁ、今日もホテル探さなくちゃ」「なにこれ?」なんて考えがよぎりつつ、「あー!けど大好き!!(ガバっ)」のような感じで、その場は収束した。

結局その日もホテルに泊まり、仲直りのエッチ(のつもりだった)をしてホッとして眠りについたのだが。
翌朝、二人で鏡に向かってネクタイをしめている最中、「結局さ、俺のことはわかってもらえなかったよね」と。

もう、返す言葉もありませんよ。
今ならね、「めんどくさ」で終わることかもしれないけれど。
遅刻したのは自分ですからね。(1分)

恋は盲目。

つづく。

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