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外貨建て保険の苦情件数が過去最多に・・・なぜ苦情が起こる?【前編】


こんにちは!

普通の30代会社員がお金の不安を解消する『大人のマネートレーニング』のまっしーです。

さて、先月の朝日新聞に、2019年度の外貨建て保険に対する苦情件数が過去最多を更新したという記事がありました。

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外貨建て保険とはどんな商品なのか?円建て商品との違いは?

そもそも保険の種類は、掛け捨てタイプ(医療保険や定期保険など)と、積立てタイプ(終身保険や養老保険や年金保険など)に大別されます。

外貨建て保険は基本的に積立てタイプで、保険というより運用目的で加入される方が多いです。


<終身保険>

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<養老保険>

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<年金保険>

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「米ドル建て○○終身保険」のような外貨建てに対し、日本の保険会社が販売している普通の「終身保険」などは、円建てと言われます。

ただ、外資系でも国内の保険会社でも、商品が同じであれば、仕組みは一緒です。違うのは商品の運用方法です。


保険会社は契約者から保険料を預り、後々、解約金や満期金を返金しても、会社に利益が残るよう、保険料を運用して増やします。

日本国内の保険会社は、公社債(日本国債や外国債券)を中心に、日本株、外国株などを織り交ぜて運用のポートフォリオを組んでいます。

死亡保険金や解約金を支払う責任があるので、リスクの高い株式などの割合は抑え、国債の割合が多く、安全運用です。

ただ、日本は景気が悪く、国債の利回りも低いので、保険会社の運用成果も厳しく、結果、商品の利率も低下して、世の中から「貯まりの良い商品」が無くなっています。


<第一生命の2019運用ポートフォリオ>

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これに対し、外貨建て保険は、預かった保険料を外貨(アメリカドルやオーストラリアドル)だけで運用します。

具体的には、毎月、日本円で預かる保険料をドルに換金し、利回りの高いアメリカ国債などの公社債を購入します。

<直近10年間の10年国債利回りの差>

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各社の外貨建て商品を平均すると、利率は年2~3%程です。

しかも、最低保証2%等のセーフティが付いている商品や、契約時の利率が固定される商品もあります。

円建て商品の利率が0.2%~0.4%程なので、外貨建ての利率は大幅に高いです。

なお、死亡保険金は、契約時に設定した金額を、円ではなくドルで受け取ります(死亡時には保険金10万ドル...のように)


苦情が起こる原因

円建て商品に比べ利率も高く、死亡保険金もドルで確約されている良い商品ですが、苦情が多いのは何故なのでしょうか?


原因①:支払時と受取時に掛かる手数料

円で支払った保険料をドルに換金する際と、解約時にドルを円に換金する際に、往復それぞれ手数料が1ドルにつき0.25円~0.5円くらい掛かります。

払うときは少し割高に払い、受け取るときは少し割安に受け取るイメージです。


原因②:短期解約のペナルティ

10年以内で短期解約すると、ペナルティ手数料が解約金から引かれます。例えば3~4年目で解約すると、積立金の1~2%が差し引かれるなど。


原因③:諸経費や保障に掛かる費用

払った保険料のうち、全額が積み立てに運用される訳ではありません。

契約の締結・維持に掛かる諸経費や、死亡保障などに充当する費用を、毎月~定期的に引き去り、残った金額で運用するので、

利率2~3%でも、加入して数年~十数年は 
解約金<払込保険料となります。

原因④:為替

最も大きな原因は為替です!

為替はEntry(入口)とExit(出口)が全てです。

<Entry=保険料を払うとき>

保険料を支払う場合は円高の方が良く

例えば1ドル=110円のレートで保険料を
1万円払うと、約91ドルに換算されますが、

1ドル=100円のレートだと1万円は100ドルに換算され、より多くのアメリカ国債を買うことが出来ます。

<Exit=解約金や死亡保険金を受け取るとき>

逆に、解約金や保険金を受け取る場合は、円安の方が有利です。

例えば1ドル=100円のレートで
解約金1万ドルを受け取り、円に換金すると
100万円になりますが、

1ドル110円のレートだと1万ドルは110万円に換算されます。

ただ、現実的には、毎月同じ日に、決まった保険料を日本円で払っているので、都合よく円高には合わせられません。

毎月100ドルなど、決まった金額を円⇒ドルに換算して支払うので、100ドル=10000円の月もあれば、100ドル=12000円の月もあります。

また、商品によっては、「ドルコスト平均法」といって、円ベースで毎月決まった金額を払うことも出来ます。

例えば毎月1万円を払って、円高の月にはドルを多く買い、円安の時には少なめに買い、購買単価を平準化します。

一時払(一括)で保険料を払う場合でも、円高になるまで何カ月も待って契約することは、あまり現実的ではありません。

なので、Entryの部分では、平準化以外にコントロールは難しいです。

ですので、問題が発生するのは、Exit(出口)の部分です。

円安の時に解約や満期を迎えないと損します。


原因⑤:高齢者への販売

日本では、高齢者の加入が多いです。

投資性のある、変額保険や外貨建て保険(=特定生命保険)の加入者を見てみると、加入者の70%近くが60歳以上です。

若い加入者は意外と少ないです。

<令和元年10月 国民生活センター資料>

特定生命保険


一方で、全国の消費生活センター等に寄せられた、外貨建て生命保険の相談件数を見てみると、毎年、約半数が70歳以上の方です。

相談の内容は、元本割れや為替のリスクについて説明が無かった...というものです。

<令和2年2月 国民生活センター資料> 白:全体/青:70歳以上

外貨保険 相談数

日本は金融リテラシー後進国と言われていますが、
投資性の保険に加入する方の70%が60歳以上で、
外貨保険の相談に来る方の半数が70歳以上...
というのが現実のようです。

~後編も書きます~


最後までご拝読ありがとうございました。

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